異世界からチートな常識人が来るそうですよ(タイトル詐欺)
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第十五話 GW中に全く執筆できなくなるのは何故?
前書き
すいません更新が遅れました。
理由は全身筋肉痛。運動不足はいけませんね………
それではどうぞ!
____境界壁・舞台区画。大祭運営本陣営、個室。
証は"審議決議"によって戦闘が中止された後、耀とレティシアの治療を行っていた。
「まあ、春日部さんもレティシアも軽度の疲労みたいなもんだから休んでれば大丈夫だよ」
「そう、……ありがとう」
「どういたしましてっと」
そう言って立ち上がるが、彼の顔には僅かに焦りが見られる。それを見てレティシアが不安そうに尋ねる。
「やはり飛鳥は見つからないのか?」
「そうらしい。やっぱり連れ去られたとみて間違いないな」
悔しそうに言う証を見て耀は不安そうに呟く。
「飛鳥、大丈夫かな?」
「解らん。けどまあ、主催者の狙いは屈服だから最悪な事にはならないだろうけど……」
そこで言葉を切り、今までに無い様な声音で呟く。
「もしも、万が一のことをあいつらがしたら、奴等の全てを滅ぼしてやる」
誓う様にして貴賓室の方向を見上げる。その言葉に二人は言いようの無い不安を覚えた。
「あ、証?」
「え? どうかした?」
「い、いやなんでもない。………あれ?」
慌ててなんでも無いと告げようとするが、急な眩暈と寒気に襲われる。少しよろめいたことを不思議に思い、証が耀の額に手を当て、
「まずい、失礼!」
「え? きゃ!?」
いきなり押し倒した。
「あ、証。こんな時になにをやって……!?」
びっくりした様にレティシアが耀から剥がそうとするが、彼女の腕に出来ている腫れのような赤い斑点を見て動きを止める。
「やっぱりか。この出血斑、敗血症の……、やっぱりあの少女は黒死病ってことか」
「黒死病だと!?」
「それってあの……」
二人は驚いて尋ね返すが、証は強がって笑い、
「大丈夫なはず。一応俺でも治療は出来る―――」
「た、大変です‼ 証さんはいますか!?」
バンッ‼ と勢いよく扉が開き、息を切らして黒ウサギが飛び込んできた。
「どうした、黒ウサギ。今からもう一度治療をするから―――」
「その事なのですが、主催者からの条件で『黒死病の治療を行う事を禁ずる』と言う条件をだされてしまい」
「ちょ」
つまり、今症状が出始めた彼女に治療が出来ないと言うことではないか。堪らず証は八つ当たりしてしまう。
「なんでやねん!!」
「古すぎません!? い、痛いです!!」
遠慮なく彼女のウサ耳を引っ張る。黒ウサギが悲鳴を上げると、呆れた様に十六夜が入ってくる。その後ろにはジンも付いて来ている。
「おいおい、黒ウサギのせいじゃないんだからその辺にしとけ」
「む、それもそうか……」
見当違いの八つ当たりは流石に酷いかと思い、手を放す。
しかし依然として緊張した表情のまま、十六夜に尋ね直す。
「ルールはどうなったんだ?」
「一週間+二十四時間で手を打った。―――それで、その間春日部は大丈夫なのか?」
ベッドに座っている耀を見て事情を理解した十六夜が尋ね返す。証は顔を顰めたまま頷く。
「まあ、春日部さんは身体が丈夫に出来ているから二週間は持つと思う。けど、他の種族は微妙だな。今から発症すると危ないかもしれない」
「クソ、結局はこのギフトゲームに勝たないといけないってわけだな。おい、御チビ。早速解きに掛かるぞ。書庫の場所を教えろ」
「は、はい」
いきなり振られたジンは驚きながらも頷いて十六夜と共に出て行く。
黒ウサギは不安げに耀を心配する。
「大丈夫でごさいますか?」
「大丈夫だよ。ちょっと辛いけど証もいることだし」
治す術を持っているのにそれを使うことの出来ない証は悔しそうにしながらも病状を抑えるために部屋を出て行く。
「薬を調合してくる。二人とも診といてくれ」
「分かりましたのです!」
「ついでに黒ウサギのウサ耳を引っ張らせて貰う」
「何でですか! って、どうしてわざわざ戻って来るのですこのお馬鹿様!!」
スパーンッ‼ と軽快な音を立ててハリセンで叩く。耀とレティシアは苦笑し、緊張していた肩を降ろすことができた。
▽
_____境界壁・商業区。商店街のとある露店。
「これ四つ」
「あいよ、餡子味四つね」
ゲームの中断から六日が経った。明日の夕方にはゲームは再開されるが、未だに参加者側の意見は纏っていなかった。大した案の出せない証は耀や他のコミュニティの治療をする傍ら、甘いものを求めて商店街まで来ていた。
「しかし鯛焼き屋のおっさんも酔狂だな。こんな時に売れると思ってんのか?」
「おうとも、この店は魔王襲来! ってな時でも営業するのが自慢でな、結構前に魔王本人が来たこともあったぐらいの名店だぞ」
「へえ? その魔王はどんな奴だったんだ?」
証が興味深そうに尋ねる。一介の店主が魔王と遭遇しているとは思いもしなかった。
どんなことを言っていたのか気になるところだ。店主は頭を掻きながら苦笑いして、
「そんな大層なこと言ってねえよ。ただ『この箱庭を派手に飾るための景気祝いに二つほどもらっていってやる』とか言って無銭飲食していきやがったんだ! あの野郎、払わないまま死にやがって」
「………ふーん?」
そう言いながらも笑っている。恐れられているだけじゃないんだな、と思いながら買ったたい焼きを口に咥えて本陣営へと戻っていった。
―――――大祭本陣営・隔離部屋個室。
「ただいま~、て十六夜も来てたのか」
「おう、旨そうなの持ってきたな」
ヤハハと笑いながら耀のベットの隣で読んでいた本を閉じた。証は十六夜と耀にたい焼きを渡す。
「それで、何かわかったか?」
「いいや、あと少しなんだがなあ。証、なんか思いつかないのか?厄病払いはお前の特技じゃないのか?」
しかし証は首を振って不可と応える。
「違う、治療術師と退魔師は。それは兎も角、どうして白夜叉が封印されるはめになってるんだ? ハーメルンと夜叉は関係ないだろう?」
「さあな。それでも仏神側の白夜叉を封印するんだからな、太陽の運行を任されている白夜叉が―――?」
ふと、いきなり考え込む十六夜。それを不思議に思う間もなく黒死病の本を読み漁り、叫んだ。
「そういうことか! ナイスだ春日部、証! 後は枕高くして寝てな!」
「いや、俺は参加するから。状況を教えてくれ」
しかし十六夜は取り合わず、ドアを開けて飛び出して行った。呆気に取られた耀と証だったが、溜息をついて、
「ま、あいつが解けたんだし間違いは無いだろ。後は魔王を倒すだけだな。……勝ってくる」
「待って」
そう言って耀は出て行こうとする証を止める。証が振り向くと決死の表情で見つめる彼女がいた。
「私も連れてって」
「無理だ。その体じゃ戦えないだろ? 黒死病は治療できないんだし」
「けど、………症状を抑える薬なら作れるんじゃ?」
む、と顔を顰める証。確かにそれなら可能だ。〝契約書類"のルールにも抵触しないし、作ることも可能ではあるが、
「けどなぁ、副作用とかもあるし………」
「………? どんな?」
「効果が切れると淫靡に「証……」ゴメンナサイ」
耀の冷たい視線に首を振ってそれでも難色を示す。
「どちらにせよ薬を飲んでも万全の状態で戦えない。危ないし、……その分頑張るからさ」
そう言ってドアを開けて出ていく。耀はその後ろ姿を静かに見つめた。
▽
春日部耀は起き上がり、いつもの服に着替える。
(飛鳥が庇ってくれたのにこんなところで寝てちゃいけない。魔王と戦えなくてもゲームクリアには貢献しないと)
『お、お嬢……』
「大丈夫だよ三毛猫」
心配そうに見上げてくる三毛猫を撫で、扉に手を掛ける。が、
「あれ、開かない……?」
ドアノブは動くのだが、ドアがビクともしない。仕方なしにドアノブを壊し、それでも開かないので仕方なしにドアを叩き割る。少しふらっとしたがドアの後ろに光るものを見つけ拾う。
「これは、……証の」
投擲剣がドアが開かないように刺さっていた。柄には粉の入った袋と『この剣も持って行ってくれ』というメモが掛かっていた。どうにも彼は友人に甘いらしい。苦笑いしながらも薬を飲み下し、剣をギフトカードにしまう。
ふと、一瞬不安な思いに晒されるが、首を振って外へと向かった。
(まさか本当に副作用があったりしないよね………?)
後書き
決して耀は主人公は破壊魔ではありません。多分。
ギフトの紹介すると言って殆どしていないのは如何に?
『治療の印璽』
治療用の恩恵。元は印璽として持てば誰でも使うことの出来るお手軽ギフトだが、現在証の体の中に埋め込まれているので証以外は使用できない。………取り出せば別ですが。
基本的に不治の病も治せるが、何故か症状が重いほど早く、軽いほど時間がかかってしまう。
呪いに近い黒死病も治すことは可能だがこのギフトゲームでは使用を禁止されている。
どうでしょうか? 主人公は神格級五つの他に中途半端に強いギフトを多く保持していたりします。
感想を頂けたら幸いです。
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