とある麻帆良の超能力教師
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とある麻帆良の超能力教師 五話
前書き
こんな駄作を読んでいただきありがとうございます。
感想の中に『一方通行のチョーカーについて』の事が書かれていました。
確かに今回登場する一方通行は打ち止め救出後の一方通行ですので、ミサカネットワークの補助がなければはっきり言って雑魚同然です。
しかし異世界である麻帆良で何故能力が使えるのか?その理由はこれから先の話で少しずつ明かしていくので、気になる方はもうしばらくお待ちください。
2ーAの教室
教室では一方通行が授業をしていた。
しかしその姿は教師という風にはとても見えない。
「あの…先生?授業中にコーヒーはちょっと…」
クラス委員長である雪広あやかが一方通行に声をかける。
コーヒーを飲みながら授業しているから注意して当たり前だろう。
「あァ?朝は眠くてやってらンねェんだよ…」
「でも授業中ですし…」
「ならお前らもコーヒーを飲むのを許可する」
「いや、そういう問題じゃないでしょ…」
一方通行の発言に明日菜はツッコミを入れる。そしてコーヒー限定というのが一方通行らしい。
一方通行は『チッ…しょうがねェ』と言いながら渋々コーヒーを片付ける。
「じゃあこの問題を…佐々木、てめェ解きやがれ」
「また私!?もう5連続だよ~あっくん私を苛めてない!?」
「苛めてねェ、バカだから集中的に当ててンだろ。ベクトルの計算式ぐらい覚えろ」
「私まだ中学2年生だよ!?ベクトルの計算式なんて習わないよ~」
まき絵の発言にクラスの大半が同意する。ベクトルの計算式なんて中学2年生で普通は習わないものである。
「しょうがねェなァ…じゃあテキストのこの問題、佐々木解け」
「だからなんで私なの~!?みんな~あっくんが苛めるよ~」
みんなに助けを求めるが、みんなまき絵から目を反らす。一方通行はあっくんを命名されたのを余程嫌なようで、とりあえず仕返しとばかりに授業は9割まき絵に当てている。
「うぅ…なんで私ばっかり…そんなにあっくんが嫌なのかな?」
「虫酸が走るほど嫌だなァ」
「そんなに!?」
一方通行はあっくんというあだ名をがかなり嫌なようである。
「でも一方通行は言いにくいアルよ~あっくんの方が楽アル」
「おいうるせェぞ、チャイナ娘」
一方通行がチャイナ娘と読んだのは出席番号12番、古菲である、彼女は中国武術研究会の部長でもある。
「私もあっくんの方がいいと思いま~す」
「私も~あっくんの方が可愛いです」
「おいチビ姉妹、賛同してンじゃねェよ」
そう言うのは双子の鳴滝姉妹である。ツインテールが鳴滝風香、おだんご頭が鳴滝史伽である。
二人につられて、他の女子も賛同していく。
「あァァァ~!わかったから!あっくんでいいからてめェら黙れェェ!」
直後クラスから「やったー」という歓声が聞こえる。そして歓声が聞こえる中、ドアが開く。
「相変わらずうるせぇなこのクラス、耳が痛いぜ」
「あ、ていとくんだ」
「よし佐々木、おめぇには特別課題をやる。喜べ」
「え~!呼んだだけなのに!」
「うるせぇその名で俺を呼ぶんじゃねぇ」
教室に入ってきたのは垣根帝督こと、ていとくんである。
垣根はさっそくていとくん呼ばわりしたまき絵に課題をだす。
「この二人、私に厳しいよ~」
「まき絵は二人にあだ名をつけた張本人やからな~でもこれだけ課題出されたら頭もよくなるんやない?」
「こんなことで良くなりたくないよ~!」
まき絵の机には大量の課題が乗っていた。しかしまき絵はこれから先もあだ名呼びを止めないのだった。
………
「はぁ…」
放課後、ネギは一人溜め息をついていた。
そうあの後の授業をしたのだが、なんやかんやで初授業は失敗。おまけに明日菜からは魔法の事を怪しまれているのだ。
一人悩んでいると垣根がやってくる。
「な~に辛気くさい顔してんだよ、授業でも失敗したか?」
「えぇ…そうなんですよ…中々うまくいかなくて」
「まあ若い頃は失敗なんて星の数ほどあるもんだ、一つや二つの失敗で気にしてんじゃねぇよ」
「重要なのはその失敗をどう生かすかだ」
垣根は淡々とネギに話していく。ネギは(あなたも若いんじゃ…)と思いながら話を聞いていた。
「ん…?」
「どうしましたか?」
「いや…あいつ落ちそうだと思って」
「あれは…27番の宮崎のどかさん…あんなに沢山本を持って危ないですね…」
二人の視線の先には図書委員でもある宮崎のどかが本を沢山積んで階段を降りていた
本の量は結構多く、前が見えているのか分からないほどだ。
危ないと思っていた矢先、案の定彼女は足を滑らせ転落してしまう。
「やっぱり!」
「チッ…!」
ネギは杖を掴み魔法を使おうとする。しかしネギの横を白い翼が横切る。
ネギが見たのは純白の六枚の翼が生えた垣根の姿だった。
「よっと……おーいお前大丈夫か?」
垣根はのどかを空中でキャッチすると、静かに地面に降りる。
「垣根…先生?」
「大丈夫みてえだな」
のどかの意識を確認し、ゆっくりと立ち上がる。しかし垣根とネギは気づいていなかった。この光景を目撃されていたのを。
「あ…あんた達…」
「げっ!神楽坂!」
一部始終を見ていたのは明日菜であった。垣根は「しまった」という顔をし、ネギは必死に言い訳を考えている。
明日菜は二人を拉致すると林の中へと強引に連れていく。その間わずか数秒。
そして残されたのどかは呆然としていた。
「あんた達…超能力者だったのねー!!」
「俺は合ってるが、こいつは違う。魔法使いだ」
「垣根さん!?何バラしてるんですか!?」
「悪い、つい言っちまった」
ネギは垣根に涙目で「何やってるんですか~」と言っている。
「ってことはやっぱり朝のアレはあんたの仕業ね!」
「うぅ…ごめんなさい」
「みんなにバレると大変なことになるので内緒に…」
「そんなの知らないわよー!」
ネギは魔法使いであることを隠すよう頼むが、明日菜は中々聞いてくれない。
そこでネギは最終手段に出る。
「仕方ありません…秘密を知られたからには記憶を消させていただきます!」
杖を構えると何やら呪文を唱え始めるネギ。その様子を眺める垣根。
(あれが魔法か…こいつはまだ知らねえ力だな…)
垣根はその様子を眺めつつ魔法の力の分析を始める。この世界に魔法があることは聞いていたが、実際に見るのは初めてである。
「消えろー!」
ネギの声とともに消えたのは、記憶ではなく明日菜の制服だった。
「いやー!!」
叫び声をあげる明日菜。いきなり服がなくなるのだから当然だろう。
(記憶を消すか…今は失敗したが、魔法って奴はなんでも出来るもんなんだな…ってことは魔法を解析できりゃあ俺はさらなる力をてに入れることが出来るわけだ…)
「ピーピー騒ぐんじゃねぇ服なら俺が作る」
「「えっ?作る?」」
二人は垣根の方を向く。すると垣根は能力を使用するため翼は展開させる。
すると数秒後には明日菜の着ていた制服が出来上がった。
「え?えっ?どういうこと?」
明日菜は今の出来事を不思議に感じていた。ネギも同じように垣根の力を不思議に感じていた。
(あれは魔法?でも魔力は感じられなかった…これがタカミチの言っていた未知の力?)
「垣根さん…今のは」
「今のか?俺の能力だよ、俺の能力『未元物質』」
未元物質、ネギがこの力の真髄を知るのはまだまだ先である。
ちなみに明日菜は未元物質製の制服のおかげで騒ぎを嗅ぎ付けたタカミチに発見されても恥をかかずにすんだ。
………
場所は変わり2ーAの教室。
「……なンで俺だけなンだあァ…?」
「しょうがないじゃないですか、ネギ先生もていとくんも今いないんですから~」
現在一方通行はネギの歓迎会をやるということで2ーAの教室に拉致されていた。垣根と主役のネギは明日菜が呼びに行っているのだそうだ。
しかしまだ他の生徒も完全には集まってはいない。
「やあ一方通行君、教師はどうかな?」
「タカミチかァ……まァガキ共の相手は面倒だが、悪いもンじゃねェ…」
一方通行は騒いでいる2ーAの生徒達を見る。その目は何故だか寂しげで、何か別の物を見ているようにも見える。やはり学園都市の闇の中でも生きてきた彼にとってこのような生活はまぶしいのだろうか。
「そりゃ良かったよ、君の教えかたは上手いと評判だからね、教師の素質があるんじゃないのかい?」
「オイオイ、冗談じゃねェぞ…コイツらの教師なンてしてたら身がもたねェよ」
確かに2ーAの担任になったら大変そうである。それをこなしていたタカミチはすごいと思う一方通行だった。
「それよりも一方通行君…何か分かったかい?」
「駄目だなァ、全くわからねェ…」
一方通行は少しずつこの学園を調査していた。一方通行自身早急に知ることもあったため急いでいたのだ。
「君の能力を使うための、『ミサカネットワーク』だったかな?」
「あァ…どうやら異世界であるにも関わらずネットワークは繋がってやがる…」
これは一方通行にとっても予想外だった。脳にダメージを負っている一方通行は日常生活から能力使用まで、全てにおいて『ミサミネットワーク』の代理演算が必要だ。よって電波が届かない場所では一方通行は立つこともままならない。
しかし何故だか異世界であるこの世界でもミサカネットワークに接続出来ているのだ。
一方通行も独自の調査で色々分かったこともあった。そうミサカネットワーク以外にも多数他のネットワークに繋がっていたことだ。まるでミサカネットワークでは補えない場所を補助するかのように。
ちなみにチョーカーのバッテリーは垣根が手回し充電器を作ってくれました。
「そうかい…あまり力になれそうにないが困ったことがあったらなんでも言ってくれ。僕でよければ力になるよ」
「てめェらにこれ以上なにかさせるわけにはいかねェよ、俺達だけでなンとかする」
タカミチや学園長にはここに来てかなり世話になっている。これ以上は迷惑をかけれないのだろう。
タカミチとそんなことを話している間にどうやらネギ達も来たようだった。
「ようこそ!ネギ先生!」
歓迎の声と同時に教室内にクラッカーの音が鳴り響く。それをみてネギは呆然としている。
「よォ垣根、てめェどこに行ってたンだァ?」
「人助けて、服を作って来た」
「はァ?悪い、わけわかんねェ」
「まあ色々あったつーことだ」
「そうかいィ」
一方通行はコーヒーを垣根は適当なジュースをとって飲む。
そこにある少女がやってくる。
「あの…垣根先生…」
「あぁ?確かお前は宮崎のどかだったな…」
垣根の前に来たのは先程垣根が助けた少女である宮崎のどかだった。
「さっきは危ないところを助けていただいて…その……これ、お礼です」
のどかは垣根に図書券を渡す。流石図書委員、お礼も図書券。
図書券を渡すとのどかは逃げるように戻っていく。戻った先の友達にからかわれているのが見える。
「お、おう…ありがとうな」
「おい垣根…お前まさか生徒に手ェだしたンじゃねェだろうなァ…」
「おいモヤシ、宮崎の話聞いてたか?俺は助けたんだからな?」
「そーゆゥことにしといてやんよォ」
「そんなに俺がそんなことするような奴に見えるか…まあ野郎だったら放置してたが…」
「さらっと変なこと言ってンじゃねェよ」
「………」
「なんだァ?急に黙りこみやがってェ?」
「いや悪い、少し考え事してただけだ」
垣根は分からなかった。今の自分の感情がだ。今までに感じたことのない感情が垣根を襲う。それはここに来てからなのか、コイツらと出会ってからなのか、又は先程の出来事からなのかは分からない。しかし今までに感じたことのない思いが垣根を悩ましていた。
垣根自身まだ気づいていない、自分が少しずつだが変わりはじめていることに。
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