赤髪の刀使い
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経験は大事ですよね
「ユウちゃんはホームはどこ?」
俺を抱えたサチが聞いてくる。
というかなぜ俺はサチに抱えられてる!?
「可愛いから!」
…読心術でも身に着けているのでしょうかねー
なんで俺の言いたいことが分かったのだろうか。
「で、ホームはどこ?」
「8層」
まぁ隠すことでもないから普通に答える。
今俺たちは8層で暮らしている。
この層なら俺たちの中で一番レベルが低いリズでも安全マージンは十分すぎるほど稼いでいるし
なんといってもこの層のレストランのチーズケーキがうまい。
3人で何度も食べに行ってる。
あの味の再現はちょっとどころの努力ではできないだろう。
「あそこかぁー
チーズケーキがおいしいよね!」
おぉう結構穴場だと思ってたんだが、知ってる人がいたか。
「ねぇいつか一緒に食べに行きましょ!」
「いいですよ」
俺とサチはフレンドの登録をする。
そういや男衆は何をしてるんだろうな。
「「「眼福。眼福」」」
こっちを見ながら両手を合わせ拝んでいるのが三名。
「サチも女の子だったらすぐに話せるのか」
なにやら優しく見守るのが一名。
「…」
そっぽを向いているのが一名。
なんというか皆、個性的だな。
*
「そういえばユウちゃんって何レベルなんだ?」
キリトが聞いてくる。
隠していることでもないし正直に答えると皆に驚かれた。
「攻略組と遜色ないじゃないか!」
「でもボス戦に参加したことは一層以来ありませんよ。
あそこはほとんど固定の人たちで集まってて、入りにくいですから」
固定のギルドとソロプレイヤーでほぼ独立したコミュニティーになってるからな。
最近攻略組に参入したクラインが率いる《風林火山》は参入組としてはうまく入って行った感じだ。
一層のときに一緒にパーティを組んだアスナもずっと攻略組で《攻略の鬼》とまで言われている。
アルゴに聞いた話だとギルド《血盟騎士団》にはいった今でもソロでダンジョンに潜っているという話だ。
「ふーん。
じゃぁうちのギルドに入ってみないか?」
勧誘か…
「やめておきます。
ソロの方が気が楽なので」
休みたいときに休む。
最近は刀を作りたいがためにダンジョンに潜りっぱなしだったが、マッピング以外ではほとんど俺は狩らない。
ほとんどリズと一緒に露店で武器を売ったり屋台を出して自分の料理スキルで作ったものを売ったりしてのんびり暮らしている。
なぜレベルが攻略組まであがっているか…それは…まぁいっか。
「そうか、いやいいんだ」
ケイタが普通に落ち込んでいるが俺はギルドに入るつもりはない。
*
《月夜の黒猫団》+俺は20層の《ひだまりの森》に来ていた。
なぜ俺が付いてきているか。
それはケイタ達についてきてほしいと言われてたからだ。
一応全員安全マージンはとっているが、複数に囲まれたときはあんまり対応ができないから手伝ってほしいというものだった。
俺はキリトに視線を向けたが、キリトに目線を外された。
(あんまり本気は出してないみたいだな)
別にキリトをとやかく筋合いは俺にはないと思ってる。
だって俺だって性別誤魔化して…あれ?俺が自分で性別を言ったことってあったっけ?
もしかして相手が勝手に勘違いしてるだけか、うん。
まぁ簡単に言おう、複数に囲まれることなく今日の狩りは終わったみたいだ。
一応俺は脇差と大太刀を出しておいたのだが意味なかったな。
大太刀はメイン武器だが脇差は投擲もできるサブ武器として使っている。
*
「ユウちゃん。
サチに戦いの心得を教えてやってくれないか?」
ケイタが俺に言ってくる。
なぜに俺?
「今日はユウちゃんは戦わなかったけど、俺たちみたいに素人の歩き方じゃなかった。
なんというか…熟練した戦いの猛者って感じで…」
は?
俺はそんな猛者なんてもんじゃないぞ。
「私なんてここに来る前はちょっと剣道をやってただけですよ?」
剣術なんていったら引かれる可能性があるからな、一応剣道部に入ったことあるし…三週間ほど
うちの学校の剣道部は弱すぎて…
「いや、十分だろ」
キリトが言ってくる。
こいつは俺に教えろと言っているのか?
「んー・・・まぁいいけど・・・
まずは・・・」
俺はサチの目の前に脇差を一瞬で突きつける。
「キャッ」
サチはやはり目を瞑ってしまった。
「まずは攻撃が来たときに目を瞑らないことからだね」
これは必須。
一体どんな攻撃が来たかをちゃんと見極めておかないと次の行動に移ることが出来ないからな。
俺の場合は目の前に攻撃が来た場合大太刀で切り捨てるか横に避ける。
「・・・はい」
サチが答えてくれた。
他のメンバーは急に俺がサチに脇差を振るったことに驚いていたがまず当てるつもりはなかったから気にしない。
俺が自分の使う獲物のリーチを間違えると思うか?
まぁ知らない人からしたら思われるかもしれないが・・・脇差はあまり使ったことはないが大太刀は俺の手足といってもいいようなものだからな。
長さも使っていた奴とほとんど一緒だし。
大太刀よりもリーチの短い脇差なんかで間違わない。
「まぁ明日からだね。
今日はもう疲れてると思うから休んだ方がいい」
疲れてる状態で教えても身には入らないだろう。
実際俺がそうだったし。
*
サチside
私はいつもより早く目が覚めてしまった。
私よりも年下に見えるユウちゃんに戦い方を習うことになったのはまぁいいとして。
ケイタの奴…
でも実際、私の戦い方がなっていないことは自分でもよくわかってる。
昨日は休んだ方がいいと言った後ユウちゃんは友達がいるからって自分のホームに戻って行った。
一緒に寝ようって言おうとする前に戻って行っちゃった。
でも戦いの素人の私から見てもユウちゃんが戦い慣れてるというのは火を見るより明らか。
常に周りに気を張ってるって感じ。
持っていた武器はNPCの店で買える最上級品。
攻略組に匹敵するレベルだからその程度は軽く買えちゃうのだろう。
でもあの武器は只者ではない気もする。
なんというかおかしいほど強化をしているような禍々しい感じがした。
って色々考えてたらのどが渇いてきちゃった。
なんでゲームの中なのにのどが渇くのか分からないけど、何か飲みたい。
私は止まっている宿の一回にある酒場に下りて行った。
―――キンッ
なにか金属が当たる音がする。
誰か戦っているのだろうか。
この音は裏?いってみよう。
*
私が宿の裏に来るとそこではキリトとユウちゃんがいた。
キリトが投擲スキルでどこからか拾ってきた石を大太刀を構えたユウちゃんに向かって投げている。
キリトの投げる石はすべてユウちゃんがソードスキルを使わないただの通常攻撃ですべて叩き落としていっている。
よく見ると石はきれいな断面をして切れていきポリゴンの欠片となって消えて行っているのが分かる。
私はキリトと寝るときがあって偶然キリトのレベルを見てしまったからキリトの本当のレベルを知っている。
キリトのレベルから言って投擲スキルもある程度あげていると思うけど…
ユウちゃんはすべて余裕を持って切り落としている。
まだまだ遅いといった感じで身長の半分以上もある大太刀を両手でたまに片手で扱って石を切っていく。
次は避ける練習に入ったみたいだ。
ユウちゃんが大太刀を鞘に戻してキリトの投げる石を最小限の動きで避けていく。
眼前を石が通っても目を瞑ることなくすべての石の軌道を先読みするように軽々と避けていく。
「もう石がない」
「んーありがとうキリト君。
いい練習になったよ」
「なんか俺自信なくすんだけど…」
「あははー刀を握っている経験が違うの」
「まぁ俺の投擲スキルのスキル値もあがるから文句はないんだが…
なんか悔しい」
なんか悔しい。
急に現れたユウちゃんにキリトを取られたみたい。
「あっサチさんもそこから出てきて―
もう大丈夫だからー」
ユウちゃんに呼ばれた。
私は逃げようとして…
「へ、わ、きゃっ」
転んだ。
「大丈夫?」
いつのまにか近くに来ていたキリトに手を差しのべられた。
「あ、ありがとう」
sideout
後書き
数日更新が止まってしまいましたが、
私は元気です。
入院してたけど(ボソッ
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