異世界からチートな常識人が来るそうですよ(タイトル詐欺)
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第七話 シュトロム、アニメでも何もしなかったな………
前書き
こんにちは。筆の進んだ何かです。今回は前よりも短いです。
―――〝ノーネーム″本拠、宝物庫
宝物庫には数々の貴重なギフトが眠っている。宝剣・聖槍・魔弓など、名だたる武具が揃っているがそのどれもが使い手を選ぶものばかり。今まで使用する機会もなく眠っていたのだが、
「へえ? こんなに有名なのがあるのか、どんだけ凄かったのかやら、前のコミュニティは」
一人場違いな問題児がいた。道着のような服を着て今は宝物庫の中で紅い魔槍を振り回している。非常に物騒だ。言うまでもなく証だった。
「ちょうどいいな。槍は持ってきてなかったからな~」
そういってギフトカードに槍をしまう。これで八つ目である。しかもそのどれもが証が使うと呼応するように様々な色で輝く。全ての武具が証を使い手として認めたらしい。他の武具もしばらく感触を確かめていると入口の方から声がした。
「ここにいたの?」
「ああ、春日部さんか。まあ、今帰ってきたところだよ」
そういって振り向く。三毛猫を抱いた春日部が扉から覗いていた。
「心配した。十六夜と一緒に愛想つかしたのかと思った」
「ん、連れが男ってのも嬉しくないな。女の子だったらそれでも良かったかも」
「………そういう問題なの?」
春日部は呆れる。が、ふと思い出したように言う。
「暇なら黒ウサギの部屋に来て。レティシアさんを取り戻すために作戦会議するから」
その言葉に少し驚いたような顔をしたがすぐにニヤリと笑って頷いた。
「わかった。十六夜もそろそろ白夜叉のところから帰ってくるはずだしな、会ったら言っとくよ」
「……? 白夜叉のところ?」
「ああ、何か天体観測がなんとか」
「………そう、じゃあ後でね」
「はいよ」
そう言って別れた後、何個か物色してから、荷物を持って黒ウサギの部屋に向かっていった。
▽
―――黒ウサギの私室
「旗印………! そうだわ、それを奪えば交渉材料になるかもしれない」
「はい、ですが伝説に挑むのですから相応の資格が問われます。残念ですが今の黒ウサギたちにそれだけの時間は………」
「邪魔するぞ」
その時、ドガァン! と十六夜がドアを蹴り破って現れた。黒ウサギは驚いて声を上げる。
「い、十六夜さん今までどこに、って破壊せずにはいられないのですかあなた達は!?」
「お邪魔します~」
その時、ドゴォン! と証が扉の横の壁を蹴り壊して現れた。黒ウサギは驚いて声を上げる。
「あ、証さん!? 今までどこに、って何で壁を壊してるのですか貴方は!?」
証は悪びれることもなく肩を竦める破壊魔。
「だってもうドア壊されてたし」
「壊すこと前提になってるんですけど!このお馬鹿様!!」
ドアノブを力いっぱい投げつける。証は避け、十六夜が大風呂敷で受け止める。その大風呂敷を耀が不思議そうな目で覗きこみ、―――目を丸くした。
「これ、どうしたの?」
「ゲームの戦利品。黒ウサギ、逆転のカードを持ってきたぜ、これでお前が"ペルセウス"に行く必要はない。後はオマエ次第だ黒ウサギ」
黒ウサギは信じられないような表情で二人を見つめる。ありがとう……ございます。これで胸を張って挑めます」
「礼を言われることじゃない。寧ろ面白いのはこれからなんだからな」
証も頷く。黒ウサギは毅然と立ち上がる。その瞳には何の迷いも感じられない。
「ペルセウスに宣戦布告します。我らの同士・レティシア様を取り返しましょう」
後書き
感想を頂けたら幸いです。
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