忍術と食を極めし者
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第4巻
アスカがマダラとして本格的に魔法世界の大戦に参加し両軍共に震撼させてから一ヶ月後の戦場。
「ギァァァァァァァァァァッア!?」
「うがーー!!」
「くそッ!! くそッ!?」
「ち、チクショーーガー!! 」
メセンブリーナ連合軍の兵士たちが次々に、戦場を駆け巡る赤黒い影に抵抗など無意味だと虚しく斬り裂かれては悲鳴と断末魔をあげていた。
影の正体はマダラという名で恐れられ意味嫌われているカガミ・アスカだ。
大剣、いや大刀を振り回しては一定の場所に留まらず常に地を駆け尋常じゃない速さで走り回って連合兵を斬り捨てている。
アスカが振るっている大刀はNARUTOの世界において霧隠れの鬼人として名を轟かせた『桃地 再不斬』の愛刀にして忍刀の証である断刀『首斬り包丁 』。もはや刀というより剣じゃないかと言いたくなるような大きさの刀だ。
人一人程の大きさだがアスカは片手で軽々と振り回しては対峙した敵兵を斬り、時には真っ二つしていく。そんな姿を見れば実は見た目ほど重たくないのではと思いたくなるが、違う。実際に見た目どおりの重量だ。
アスカは細身であるが気が遠くなるほどの長い時間鍛え続けた土台に、千住柱間の細胞とグルメ細胞によって筋肉の質その物が常人のそれではない。それに彼は食林寺の作法を修得している。無駄が無い肉体操作で、より無駄が無い動きで大刀を振り回すことが可能。
そして何故、忍具を種類問わずに無限に取り出せるポーチを持つアスカが首切り包丁を選択しこの場で使用しているのか。
その理由は首切り包丁の最大の特徴にある。
首切り包丁は忍刀七人衆が持つ刀の中でもっともシンプルな大刀だが忍刀が持つに相応しい能力を持つ。血中に含まれている鉄分を吸収し刃こぼれ等の刀身へのダメージを修復してしまうのだ。
普通の剣ならば人だろうと何であろうと斬れば斬るほど刃こぼれをおこし手入れをしなければ折れてしまうが、首切り包丁はそれのまったくの逆。
人を血を通わせている生物なら斬れば斬るほど血を飲み再生し切れ味を維持していく。
刃こぼれの心配をする必用がなく、例え折れたとしても人を斬れば修復するのだ、これほど戦に適した刀はないだろう。
しかも、アスカの首切り包丁はブック・オブ・ジ・エンド改良型の能力で情報を書き換えチャクラを吸収しチャクラの特性を加えることができる鉱石にしているためチャクラ刀に変化している。
戦場なんだから魔法障壁や肉体を被う肉体強化は当たり前だというのに、それを無視するかのよう簡単に障壁や魔力の鎧を切り裂いているのは、チャクラ刀に変化している首切り包丁に震動で切れ味を上げる雷属性のチャクラとチャクラ属性で一番攻撃力が高い風属性のチャクラを纏わせているからだ。
ちなみに血継限界でないと同時に別属性のチャクラを練ることができないのに何故二つの属性を纏わせられるかというと、チャクラ刀は吸収したチャクラを一定時間内包し留め続ける。
つまり交互に吸収させたチャクラが消える前にチャクラを練って吸収させているという至って簡単な方法である。
まあ、簡単そうで実は高等技術であるそれを簡単に実行できる集中力を持ちチャクラコントロールができるアスカが異常な訳だが。
なお、アスカは風のチャクラ性質を持っていないため今回は常に全てのチャクラ性質を使える輪廻眼状態だったりする。
なので、近づいて攻撃すれば問答無用で斬り殺されるから遠距離からだと大丈夫だと思った兵士が魔法を放ってきたら餓鬼道の吸収能力で魔法を吸収しては放った輩たちを驚愕させまくっていた。
魔法の射手ならともかく一般的な魔法使いが比較的によく使う魔法で一番威力が高い魔法の『赤き焔』や『白い雷』がはたから見れば簡単に無力化されたように見えるのだ。
『魔法が効かねー!! 遠距離からでも殺すどころか傷すらつけられねー!?』で、もはや驚愕どころか絶望なのかもしれない。
チャクラを吸収すら餓鬼道の能力で魔法を吸収できるのは『精神=魔力』『スタミナ=気』といった風にチャクラの源である二つのエネルギーだからかもしれないといったのがアスカの考えだ。
そんな荒業を軽々とやってのけ連合兵を斬っては斬っているアスカだが苛立っていた。
実は今現在、戦線で戦っているのはアスカ一人だけなのである。
それは何故か?
帝国軍が痛手を負い撤退する中で自分だけ残り戦い続けている、つまりは殿だ。
撤退を余儀なくされた帝国軍はアスカが出した提案に乗り撤退することに。アスカが提案した案とは自分の知名度を利用した作戦。
悪い意味で知名度があり恐れられているアスカが残れば一人になった所を全軍を用いて今戦争にて最大の障害になるであろう彼を全力で排除しにくるだろう。
己が名をあげる為に欲望のまま狙ってくるバカもいるはず。
それに人一人だけで地上で戦うのだ見方の兵もいるわけで、たった一人を狙うために船艦から砲撃もできない。
なら下がる敵艦を狙えば良いじゃないかと思ってもそれはできない、アスカが電気震動と風で貫通力を上げたありえない速度を出すクナイを投擲しては主砲を潰しているかである。
そのような賭けにも近い作戦が見事にハマり今のアスカ一人だけが首切り包丁を振るい戦場を駆け巡り、人間が脆い物体でできているんじゃないかと錯覚してしまいそうになりそうなぐらい簡単に人を斬り捨てている現状になっているということだ。
実際に提案を受け入れたこの場全体を統括し指揮する指揮官は『そんなバカな作戦が!?』と最初に思ったが『いやまて、あの人なら戦場に一人だけ残しても生き残れんじゃね? つーかあの人だけで充分じゃね?』とアスカが参戦してからアスカ無双を見続けてきたため思い直し提案を受け入れ賭けにでた。
彼はアスカの異常な力量のせいで色々と感覚が麻痺しているのかもしれない。
結果、指揮官の彼は賭けに勝ち撤退に成功する。
そんな訳でアスカは船隊が充分に戦線を下がるのをまだかまだかと待ち続けた為に苛立っていた。が、やっと安全に撤退できる距離まで下がったのを見て苛立ちがなくなっていくのを感じる。
― やっとか……
待ってましたと言わんばかりにニヤリと口をつり上げる。これで自分も撤退できると安生したからじゃない、これでやっとまともに暴れまわれるからだ。
あれだけ連合兵士たちを斬り捨てては無双していたというのに、まだ暴れ足りないご様子。
それはしょうがない。
本気を出せば一国を堕とせるどころか地図を書き替えなければならないほどの力を持っているのだ。
なのに軍の作戦に付き合い合わせて戦ってきた、そりゃあフラストレーションが溜まる溜まる。
ぶっちゃければ一つの戦場に彼一人だけ居れば圧勝しちゃうので、彼を運ぶ足だけあれば充分だったりする。
― さて、暴れるとしよう。
次の瞬間、アスカの身体が雷によって包まれその場から消えた。その瞬間を見た連合兵たちは呆気にとられるが、実際に消えた訳ではなく真上に跳躍しただけ。
上に跳び一気に浮遊術で船艦が飛ぶ高さまで飛び上がる。ポーチから三ツ又に別れた刃を持つ術式が書かれたクナイの束を二つ取りだし、回転しながら戦場全体に行き渡るようばらまいた。
ついでと言わんばかりに須佐能乎を右腕二本に頭だけを発動して、二本の須佐能乎の右腕で三つの勾玉が輪で纏まった物を艦隊目掛けて次々に投擲していく。
須佐能乎を発動している状態で使える遠距離攻撃方の八坂ノ勾玉だ。八坂ノ勾玉は船艦に直撃しては魔力防壁を貫き本体を貫通し地に堕としていく。
その状況を見て連合兵たちは逃げ出しはじめる。
もう手柄や名をあげるとかそんなことはどうでもいい兎に角、自分の命が最優先。だが、何故か逃げ出した先には先程まで空中で船艦を堕としていたアスカの姿が。逃がさんとばかりに雷を身体に纏ったアスカは首切り包丁を右肩に担ぎ道を遮るよう立ちはだかる。
よく見れば30人もの首切り包丁を持たないアスカが場を連合兵士たちを囲むように同じ状態で仁王立ちしている。
当然本人ではなく多重木遁分身で作り出した分身体たちだ。
アスカの身体を覆っているのは雷の性質変化による肉体活性をおこなうためのチャクラの鎧。雷チャクラの効果によって通常の肉体活性とは違い細胞を活性化させ電気信号の伝達速度を上げ通常時より数倍のパワーとスピードを発揮できる状態。
空に上がった際にばらまいた三ツ又クナイは時空間忍術の飛雷神の術を使うための術式をマーキングした物。飛雷神の術はマーキングした術式の元へ転移する時空間忍術。
つまり空中で連合兵たちが逃げ出していくのをみてチャクラの鎧を纏った状態の自身を多重木遁分身で即座に作り出し、自分も含め飛雷神の術で場を囲むように飛び逃げ場を塞いだと言うわけだ。
しかも雷チャクラによる肉体活性の状態で飛んだ訳だから通常の飛雷神の術より速かったため連合兵が気づくことができなかった。
「貴様らは俺の計画の為の贄だ。逃がすわけがないだろ」
その言葉を合図に自身を含め木遁分身体たちが須佐能乎のを発動。チャクラでできた二面四椀の阿修羅のような鬼が姿を現し、さらに胴体だけではなく足も展開され巨人となった。須佐能乎第二段階に下半身を加えた巨人形態。
本体のアスカは更に首切り包丁を三本取りだし、計四本の首切り包丁を須佐能乎に装備。装備させた首切り包丁は須佐能乎のチャクラが纏わり一体化して、より長大な大刀に。
準備が完了したのだろう、そこからは一方的な虐殺による殲滅が開始された。
巨人と化した須佐能乎が逃げようと必死にもがく者たちを斬り裂きながら動き回り、縦横無尽に飛雷神の術で高速で飛び回りながら連合兵士たちを次々と無慈悲に徹底的に殺していく。
生き延びるため魔法を放ち抵抗する者も中にはいるが、最強の矛であると同時に最強の盾である須佐能乎の前では無意味。
傷一つ着ける事もできずに抵抗虚しく須佐能乎が振るう剣の餌食に。
数十分後、そこは血の海と化していた。
全ての血はアスカが殺した連合兵士たちの物。一定の範囲で血が流れたためか海のように血の水溜まりに。
「ハァッハァ……ハァ…ハァハァ……ハァグッ」
「貴様で最後か。もう少しモツかと思ったが意外と早く終わりを迎えたようだな」
血の水溜まりに立つのは二人。
この惨状を一人で作り出した張本人である須佐能乎巨人形態を纏ったアスカと、最後の最後まで抵抗し抵抗虚しくこれから本当の意味で最後を迎える連合兵士だ。
「ば……バケモノめ……」
「ふん」
最後まで足掻いていた兵士もアスカが纏う須佐能乎が持つ首切り包丁により着ていた甲冑ごと縦真っ二つに切り裂かれ死を迎えた。それを持って圧倒的な力を持っての一方的な虐殺行為による殲滅は終わりを告げる。
そしてやることを終えたアスカは飛雷神の術で予めマーキングを施してある船艦の自室へと飛んだ。
まるで何事もなかったかのように涼しい顔で。
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血の海にと化した戦場から数キロ離れた岩場。その岩場の影に隠れた男が一人。
10代後半で毛先が無惨に跳ねた金髪ロン毛で神父が着るような上限真っ黒な無地の服を着て皮製のブーツを穿き首にはシルバーのクロスのチェーン。
その男は疲れたようにヤンキー座りで煙草を吹かしながら岩場に隠れていた。見た目が不良っぽく神父なのかヤンキーなのか判断がつかない。
「はぁ、やってらんねーぜ。たくよ! 何で糞爺の老害共の為に戦争なんざに出なきゃなんねーんだよ!! しかも初の参戦であんな化物がいやがんだ!?」
一人愚痴るそんな彼の名前は「クロヴィス・ザ・フィール」。こんなんだがキリスト教に属するちゃんとした神父でキリスト教に準じた魔法を扱う魔法使いのなかなかイケメンな男だ。
今回の大戦に参戦したのはキリスト教の上層部の老人たちに「メガロメセンブリアの連中に貸しを作ってこい」と言われたため。
キリスト教とメガロメセンブリアは過去に魔女狩り等で魔法使いを殺し殺された仲。なので、かなり仲が悪い。そこで、これから交渉ごとで優位に立つために、どうしても帝国に勝利したい連合に戦力として若い連中を貸しを作るため数人ほど派遣した。
その若者数人のうち一人が彼だ。
今回の派遣に選ばれただけあって実際に彼は19歳の若さで最強クラスの実力を持つ。しかし彼は若いだけあって戦争とかそんなもんどうでも良かったし老人たちの考えなど知ったこっちゃなかった。家系のせいでキリスト教信者となり神父になったが、暇さえあれば酒、女と遊びまくって青春を間違った方向で謳歌していたというのに今回の派遣。
そのうえ嫌々出た初の戦場であんな化物がいたのだ、たまったもんじゃない。
あの化物を見て直で感じ勘が『アレには敵わない』と警告した、自分も実力にそれなりにある。が、アレはダメだ。次元が違う。殺り会うにしても相応な覚悟が必用だし、確実に命を賭けることになる。それでも良くて相討ちで自分が生き残る道がない。
だから化物―マダラ―が本格的に動き出す前に連合兵士が多く密集している場所に移動し彼らの影に隠れて後ろから逃げたし、数キロ離れた此処まで瞬動を連続で使い走ってきて隠れた。
「戦争なんざ、やりたい奴だけでやりあえってんだ……てか、どうすっかなー。このまま基地に戻っても処罰されんだよなー。マジめんどくせーなチクショウ」
このまま近隣の連合の基地に戻っても敵前逃亡で処罰を受ける。派遣された者のため、ま逃れられるかもしれないが結局は自分が属する組織でしょっぴかれるのは確定事項。
頭を抱え此れからのことを悩み考える。本当にどうしたものか……
「よし、逃げよう!? ほとぼりが冷めるまでか、転機が向くまで逃げ回ろう!?」
考えに考え抜いた結果は潔く帰投する等の物ではなく最低の考えだった。他にもっと良い案は考えつかなかったものか。
直ぐ様、子供の頃にイタズラするためだけに練習した変身魔法を使い姿を変えその場をあとにした。
彼は知らない。近いうちに逃げた先でバカに気に入りられ、ある団体の一員となり化物と称したマダラと相対することを。
後書き
ただ単にオリ主の無双を書いただけになってしまった……
お気に入り登録件数がたった三話だというのに凄いことになってる。
嬉しいんですが解せぬ。
新キャラのクロヴィスはD.Gray-manに登場する金髪版の若いクロス元帥だとでも思ってください。
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