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忍術と食を極めし者

作者:青空
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第3巻

 
 
 オスティア国王から完全なる世界の情報を吐かせた後、俺はまだオスティアにいた。

 国王から得た情報によると奴等は原作どおりに黄昏の姫巫女の力を使いリライトによる魔法世界の初期化を行うようだ。黄昏の姫巫女を拉致なりしノアの方舟に連れ込めば計画を阻止することはできるがそれはしない。俺としては、俺個人の計画の為に奴等の計画は必用なのだ。まあ、俺の計画が発動した時点でリライトの発動は失敗に終わるんだがな。

 で、その計画に必須である要の黄昏の姫巫女がいる部屋まで来ている。紅き翼の活躍もありヘラス軍は退却し早めに戻されたのだ。しかし、この部屋は牢獄と称して良いほどの処置が施されているな。肉体的成長を止める術式をはじめ決まった人間しか入れない仕掛けなどが多数ある。しかも、部屋の主である彼女は薬漬けのうえに鎖によって繋がれているか。

 ……何時の時代も国会、世界関係なく老害という者共は酷く醜いものだな。

 さて、本来の目的に取りかかるか。黄昏の姫巫女『アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシ ア・エンテオフュシア』に近づく。


 「……………だ、れ………?」


 目の前で立ち止まった俺を顔を上に向け見上げ誰なのか問うてきたが無視。このままでは術をかけることが不可能なのでブック・オブ・ジ・エンドで斬り無力化の能力を改編。頭の上に手を乗せチャクラと魔力を流し術をかける。かけ終えれば再びブック・オブ・ジ・エンドで斬り元の状態に戻す。

 これで造物主によって術が発動するまでバレることはあるまい。この娘には悪いが俺も計画の為に利用させてもらう。

 せっかく、700年近く専門分野ではない魔法を修行と平行し研究と準備をしてきたのだ。今更止まるわけにはいかない。


 終始、彼女は俺を見上げて見ていたが、やることをやったのでオスティアをあとにした。

 恐らく次にこの地に足を運ぶのは造物主が術を発動させる時だろう。




 △▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽ 





 あの後、俺はトビの姿で裏から完全なる世界の情報収拾を行いつつ素顔で戦場に出ていた。

 元老院をはじめとした組織と繋がり暗躍している奴等を襲うなり神威で施設に忍び込むなどして写輪眼による幻術で自白させて情報を集めている訳だが、造物主の手足として動くアーウェルンクを筆頭に最強クラスの使途が集まる奴等を完全に欺くことなどできない。

此方の足を掴もうと動くだろう、だから素顔をさらし表でも動くことで奴等の戦力分散させる。

 表じゃ戦況をコントロールするために俺を動かすよう動き、裏じゃ俺を探し出す為に動く。表の俺は名が知られている実力者で裏の俺は実力が未知だ、最終的に幹部クラスが動かなければならない。俺の計画の為に存分に踊ってもらう。



 ふむ。連合側にはどうあっても着きたくないから帝国側で暴れているが、弱いな。

 数の多さが厄介ってだけだ。戦争だから数が多いのは仕方ない。だが、兵士人一人の実力が酷く低すぎる。俺の身体は柱間の細胞とグルメ細胞により常人より強靭かつ生命力が溢れ、数々の戦場と自然界を駆け抜けてきた経験によって構築されている。俺が強くなりすぎているのは認めよう。

 だがこれは何だ?


 ― 火遁・豪火球の術


 豪火球を前にいる連合兵が数人固まっている場所向かって吹き放つ。


 「「「 ぎゃぁぁぁあああああああああ!!!?? 」」」


 障壁を貼っていれば怪我をしても死にはしない術だというのに、簡単に障壁を破られ喰らい死んでいく。


 「この化物が――んなッ?!」


 後ろに回りこんで剣で斬りかかってきた奴の斬撃は俺の身体に当たるも逆に弾くどころか剣を折れてしまうしまつ。

 本来は神威で避けるが俺とトビを同一人物だと悟らせない為に使えない。戦いの歌などの確りした魔法ではなく、適当に使っている気の肉体強化でさえ突破できないとはな。練度が低く酷く脆く写輪眼を使う必用もないほど脅威がない。

 これが今の時代の戦争というわけか。

 だとしたら計画の為に戦争に参加しているとはいへ――


 「――興冷めだ。一気に駆逐する 《兵共と鬼神兵を下がらせろ》」

 《ま、マダラ殿。それはいったい》

 《俺が一斉にこの場を制圧する。巻き込まれたくなかったらさっさッと下がれ》


 俺に斬りかかってきた奴の首を手刀―ナイフ―で切り飛ばし念話でこの場の指揮官に兵を下がらせるよう指示しながら眼を輪廻眼にしチャクラを練り印を組む。本当は隕石を落としてやりたい所だが下がりきっていない帝国兵がいる。雑魚共には勿体ない術を喰らわしてやろう。

 帝国側がある程度下がったのを確認し魔法により盛り上りできた岩場に跳ぶ。


 「なんだ! 帝国の奴等が退いていくぞ?!」

 「あそこの岩を見ろ! 一人だけ残っている」

 「アイツは……まさか嘘だろ!? 不味い〝マダラ〟だ!? 全員下がれーーっ!!」


 しばらく戦場に出ていなかったが、どうやら俺を知っている奴がいたようだな。俺を知っている奴が下がらせようとしているが遅い。

 己の弱さを悔い喰らうがいい初代火影の秘術を!!


 ― 木遁・樹界降誕!!!


 術によって生み出された数多くの巨大な木の根が場を埋めつくさんと広がりながら連合兵に襲いかかり押し潰し鬼神兵を絞めあげていき兵共の悲鳴と断末魔が飛び交う。

 急に戦線を退くことになり多少混乱していたが、魔法で根を破壊することも障壁で押し返すこともできんとは。察しが良い奴等は杖か箒で空に逃げてはいる、が。


 「甘いな。その避け方はハズれだ」


 根の先が細かく枝分かれし空に伸び飛んで逃れた者たちの体を貫通し捕獲して落としていく。1000年もの時の間、ずっと鍛え続けたんだ。この規模の術を細かく操り、この程度の進化させるには充分の時間だった。

 地上の制圧は済んだ、次は空に飛ぶ艦隊だけだが……


 「ふっ。今の木遁で俺という存在が戦場に帝国側についていると知ったか」

 
 俺という存在に臆したかのように艦隊が退いていく。

 俺は自身をマダラと名乗り長い間戦場に出続け、いつしかマダラは戦場での脅威の代名詞となり、木遁はマダラだと証明させる物の一つになった。だから簡単に帝国軍に傭兵として参加し指揮官に命令ができる。

 格好もマダラと同じ髪型で服装は鎧と家紋がない、うちは一族の装束でまんまだ。

 退いた艦隊の指揮をする者が古参の者でマダラを知っていたのだろう。臆したか、または俺相手にまともに殺り合えるよう戦力を整える為か。

 どっちでも良いが、これで戦場は帝国側に傾く。簡単にコントロールできず両軍がバランスよく疲弊させるよう動かすことができまい。

 元老院を操り俺に紅き翼を仕向けるかアーウェルンクたち使徒共が直接来るかどうあれ目論見通りトビに仕向ける戦力を分散させることはできる。





  ◆





 その日、連合上層部の人間たちは元老院も含め集まり会議を開いたのだが、アスカが戦場に帝国側として参加したことにより大荒れになった。

 無傷で撤退した艦隊指揮官が迅速に『マダラが帝国側で戦場に出てきた』と連絡したためだが、


 「奴め生きていたのか!?」

 「だが何故今ごろになって出てきた?! 潜んでいるなら引っ込んでいればいいものを」
 
 「この数十年死んだのではなく潜んでいただけだと!!!」

 「しかもよりにもよって帝国の獣共に奴が……!!」


 マダラの名前が出るだけでこの有り様だ。それだけアスカという〝人間〟でありながら1000年生きた化物の影響力は強く恐れられている。


 「奴は長い年月を生きてはいるが〝闇の福音〟のような吸血鬼ではなく人間だろ! 何故、人間である我等ではなく獣なんぞに」

 「野蛮な獣共め、いったいどんな手を使い奴を味方にひきこんだのだ」

 「こうなったら、金だろうが何だろうが用意しろ! 奴が納得する条件を出し此方にひきこめ!!」

 「所詮は戦いたいだけの戦闘狂だ。破格の条件を示せば此方に着く!!」


 彼らは分かっていない。アスカの計画を知らないのだから仕方ないが分かっていない。アスカは金、女、名誉など必用としていない。戦争に参加したのは自分の計画の為だけ。ましてや、完全なる世界に掌の上で踊らされている輩共の下で動く訳があるはずがないのだ。


 ― なかなか不味い状況になってしまったな。我が主の話を信じるのならマダラ、奴は我等では歯が立たない輩だ。どうしたものか……


 そんな大荒れの会議室の端で黒いローブに身を包んだ仮面をした人影が一人、考えにふけていた。己が主の計画を果たさんが為に。





  ◆





 連合を簡単に退けた為、帝国軍はおおはしゃぎだ。が、五月蝿くてかなわん。帝国の戦艦であるインペラルシップに用意された部屋にいるのだが一般兵共がはしゃぎまくっている。若い奴等だからしょうがないのかもしれないが、もう少し静かにできないものなのか。

 ミーハーな奴は俺のことを知ると恐れ震えながらもサインを求めてくるし、最近の若い奴の考えがわからん。


 長い間、戦争に参加し魔法世界に多くの血を計画の為に刻んできたが今回で最後だ。

 しかし、ある漫画を思い出して何となく思い付いた方々が実験で成功したとはいへ、生前はただ普通の人間だったというのに、良く決断したものだよ我ながら。人間の命を数多く必用とする計画をな。

 しばらくは表は俺自身が、裏は木遁分身にトビをやらせるか。

 まあ、先ずは腹ごしらえだ。方舟に入って食事を
持ってくるとしよう。













  
 

 
後書き
 
第2巻より短いし酷い気がする……
  
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