茨の王冠を抱く偽りの王
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14.反乱
14.反乱
「だから!そんな誤魔化しなんていらねんだよ!」
体育館に男子生徒の怒鳴り声が響く。
「誤魔化してなどいません。事態がはっきりするまで請求に動くベキではないと言ってるんです。間も無く私の祖父、供奉院家からも連絡がくるはず.....もう少しの辛抱です」
「もっとよ、事実を見つめようぜ。どうせもう俺たちは存在しないことになってんだよ。.......ウイルスと一緒に始末されんだ。......みんな死ぬんだ.......お終いなんだよ!!!」
すると一人の女子生徒が泣き出す。
「ちょっとやめてよ、そんなの誰もわかんないじゃない!!」
「そうです、怒鳴らないで。発言はマイクを受け取ってからとお願いしたはず」
するとメガネの男がマイクを受け取る。
「僕が思うに状況がわからないことが今、最も問題だと思うんです。誰かが責任を持って環七のウォールを視察してくるベキでは」
その男の声にほとんどの生徒が賛成するように供奉院にヤジをとばす。
「何であんな連中まともに取り合っちゃうかな会長ちゃんは。律儀っつうか、なんつうか」
映像を見ているツグミが言う。
「ちゃんとみんなの話を聞こうとしてるだけだろ。いいじゃんか」
颯太が言うがツグミは......
「平和な時ならね」
「シュウ、どうしたの?」
いのりが心配そうに集を見ている。
「あっ、いや....もしガイがいたらこんな時どうするかな....って」
映像に映る体育館の舞台に上がり
供奉院に助けを求める女性徒。
「お願いです。何とかしてくださいパパとママに会いたいんです」
「何であれ会長には今後の方針を決めてくれってことです。おじいさんが助けに来てくれるから待ってなんて....リーダーの発言とは思えない。.......そうでしょ?」
男の発言に言い返せない供奉院。
「生徒会規則第三十二条第参考に基づき、生徒長の不信任決議ならびに新会長の選出を要求します」
「ついに吹き出したって感じだな」
「吹き出るって何がだよ?」
「裏サイトの天王洲アンダーグラウンド見てみろ」
八尋の電子端末を見る。
「えっ、ネット復活してんの!?」
「ほんとだ」
「学内のローカルネットだけジャミングがいきなり解除されて復活した。外とは相変わらずだ」
学内だけ回復ってなんか怪しい。
「見せて見せて」
「あっ、私も」
そこには生徒たちの不満が書かれていた。
供奉院ってどうよ???
リーダーの器じゃないしー
てか頭悪すぎなんぢゃ?
見かけ倒しだったかなー
「会長結構やり玉に上がってるね」
「ちゃんと頑張ってんのにひでぇよな」
「わかんないでもないけど」
ツグミがいきなり口を開く。
「会長ちゃんあんまりリーダー向きじゃないし」
「おい!そんな言い方ないだろ!!俺たちの大事な仲間じゃんか!!」
颯太がツグミの発言に腹を立て怒る。
「仲間って.....別にいきがかり上一緒にいるだけだし」
「ツグミ!!」
その発言には俺も腹が立った。
ツグミは「ベーダッ」と言って小馬鹿にした顔をして去っていった。
夕暮れで空が赤く染まるなか俺たちは集に集められ学校のとあるベンチへと向かった。
そこにはいつものメンバー(まぁ供奉院はいなかったけど)がいた。
「ゲノムレゾナンスゲージ?」
「そう、ぶっちゃけいえばヴォイドの強さを測る装置みたいなものね」
黒色のペン状のものからアンテナが出てきた。
「昨日攻めてきた連中の車のそばに落ちてたの」
そんな装置があるんだ。
「トータルの数字が大きいほど強いヴォイドが出せるみたい」
集が試しに祭の数値を測ると......その数値は1832〜4の間
「なるほど、おっスゴイスゴイ!!」
綾瀬が祭を褒めるが照れ臭いのか祭は手をうちわのようにして扇ぎながら照れる。
次にいのりを測るとOVERの表示が......綾瀬は1755.....集は測定不能だった。
「次はシオンを」
シオンを測ってみると.....OVERの表示が。
まぁだろうな......
次に俺を測ると.......測定不能
面白みがないな。
ツグミを測ると1486〜7となった。
「そういえばツグミのヴォイドって」
「出したことはない....けど」
一斉にツグミに視線が集まる。
そして綾瀬と祭が取り押さえる。
「こんな状況だものみんなのヴォイドを把握しといた方がいいわよね」
「大丈夫、痛いのは最初だけだから」
「痛いの!?」
「それじゃあ、桜満先生どうぞ」
草間がツグミの顔を合わせる集に向けさせる。
「それじゃあ.....ゴメン、ツグミ」
「いやぁぁぁぁぁ!!!」
「ねぇ王様、聞いた?」
「あぁ、虐殺のことだろ」
俺とシオンはいつもの場所.....映研部室の近くの広場で話す。
「あいつらは何を考えてるんだよ.......ダァトもアンチボディーズも」
「わかんない......けどわかることは.......まだ全てが終わったわけじゃないってこと」
「まぁ、考えてもしょうがないからみんなと合流しようぜ」
立ち上がった瞬間、右手がうずきだした。
「どうしたの、王様?」
「静かに!」
誰かの声?
この声は綾瀬?
声のした方に行ってみるとそこには数人の男子生徒に囲まれる綾瀬とツグミの姿が。
口は白い布で縛られしゃべれない状況だ。
「綾瀬さんとツグミちゃんが!!」
「シッ、静かに」
すると放送がかかる。
『予定を前倒して今から10分後に生徒総会を実施します。生徒の皆さんは至急体育館に集合してください』
「ほら、行くぞ!!サッサと歩け!!」
男子生徒は綾瀬とツグミを連れて多分体育館へと向かう。
「いいか、シオン。お前は集たちと合流してこのことを知らせろ」
「王様はどうするの?」
「俺はあいつらを一発ぶん殴らねぇと気がすまない!」
「そんなのデマです!!ここに葬儀社の人間がいるという事実もありません!!」
「それがいたんだって!何と俺ら葬儀社発見しちゃいました」
みんなと合流した時にはもう遅かったかもしれなかった。
舞台の上にはさっき綾瀬とツグミを捕まえていた男子生徒のたちが。茶髪の長髪と黒髪のメガネが首謀者みたい。舞台に綾瀬とツグミが口を白い布で縛られ、手錠かけられている。
「彼女たちは我が校の制服を着てますが封鎖される前に一度でも見たことある日といるかな?」
黒髪のメガネが全生徒に問うと一人の男が
「葬儀社には背中にタトゥーがあんだろ!!」
「え〜、まじで〜。じゃあここは一発みんなの前で確かめた方がいいかな?」
生徒たち.....主に男子生徒が盛り上がる。
なんて連中なの。
王様はまだなの?
「おやめなさい!!」
供奉院さんが止めるも今の供奉院さんの言葉を誰も聞かない。
「葬儀社っつたらウイルステロ起こした犯罪者だ、許すわけにはいかねぇだろ!!だからやるしかねぇんだ!!」
ツグミを茶髪の長髪が退かす。
今にも抵抗しそうなツグミにメガネが頭に銃を突きつける。
「おっと、大人しくしてもらおう」
舞台にいる男子生徒が綾瀬の服を脱がそうする。
「マズイぞ、供奉院は完全に場のコントロールを失ってる」
早く......早く来てよ........王様
すると綾瀬のまわりを赤い布のようなものが囲む。
「あれは......壊のヴォイド!!」
「王様!!」
「大丈夫か、綾瀬」
綾瀬の口を縛っている布を外す。
「........カイ?」
綾瀬は今にも泣き出しそうだ。
「ふぅ〜危なかった。あいつらがお前になんかしたら俺はマントじゃなくて処刑剣で殺すとこだった」
「良かった、カイが人を殺さなくて......それと........ありがとう」
頬を赤く染め照れながら言う綾瀬とても可愛かった。
「もうそろそろいいかな?」
マントの大きさを俺の体のサイズに戻す。
すると集が舞台のすぐ近くまで来ていた。
「僕も葬儀社のメンバーだ」
「せっかく俺が全部の罪受けようとしたのになにしてくれるんだよ、集」
「罪を受けるのは壊だけじゃない、僕の罪でもある」
集の真っ直ぐな目に俺は少し驚いた。
「みんなも悪いけどここは僕に預けてもらえないかな。僕に考えがあるんだ」
車に乗り向かったのは環七ウォール。
茶髪が車を降りると壁の前にいたエンドレイヴが一斉に銃口を向ける。
「ま、待ってくれ。俺は葬儀社を連れてきたんだ、ホラ」
俺、集、綾瀬、ツグミは車から降り外へと出る。
「まだ、学校には避難してる生徒がたくさんいるんだ。こいつらを差し出す。だから、助けてくれ.......行けよ」
俺たちは壁から発せられる赤い光に侵入すると同時にエンドレイヴが一斉に俺たちに発砲。
「これで.......俺は......」
続いて茶髪に銃口が向けられ、何の躊躇もなく発砲。
「なっ、何故だ.....葬儀社を差し出したら解決だろ!?一体どういうことなんだよ!!?」
「これでわかったでしょ?政府を頼っても無駄だって」
「それにシュウのヴォイドの力もわかったでしょ。私のヴォイド!!人形を作るハンドスキャナー、それで作ったコピー人間も本物そっくりでしかもリモコン操作可能。凄すぎだよね」
「僕にはみんながいろんなことがわからなくて怯えてるように見えた。だから一つ事実をはっきりさせた。これで考えを先に進められるでしょ?みんなに落ち着いて欲しいんだ」
「何だよそれ!!」
メガネは今にも気が狂っておかしくなりそうな勢いだ。
「国もお前の力もみんなインチキだ!!」
メガネがシュウに銃を向ける咄嗟にマントでシュウをガードする。
マントのヴォイドを銃弾ごときが貫けるわけもない。
俺がマントを縮めたと同時にシュウが後ろにいた長髪からヴォイドを取り出しそのヴォイドをメガネの持ってる銃に向かい投げつける。
銃は弾き飛ばされ、ヴォイドは茶髪に戻るが茶髪はショックで気を失う。
「落ち着いてって言ったでしょ。僕を怒らせないでよ」
集は全校生徒の方へと向く。
「昨日も見てもらったように僕らには戦う方法もある。そこは安心してください。だからリーダーになる人にはちゃんと考えて欲しいんです。みんなが助かる方法を.......それだけです。お邪魔しました」
「待てよ、シュウ。まだ終わってない」
生徒の間をかき分けて八尋が舞台の前まで出てきた。
「なぁ、みんな、俺もシュウのいうことは最もだと思う。じゃあ聞くが今、壇上にいる人間で一番リーダーにふさわしいのは誰だろうな」
八尋が全校生徒に問う。
すると全校生徒からは、シュウ!、オウマシュウだ!、シュウ君!、と言った声で溢れかえった。
「.....八尋、何を?」
「新会長に桜満集が就任することに賛成のものは拍手を」
すると体育館全体を響かせるほどの大きな拍手が......もちろん俺も
「八尋、どういうこと?」
「俺もサポートする、やってみろ。これがお前の今やれることだと思わないか?」
「そうだぞ、集。足らない所は俺たちでカバーするやってみろよ、集」
そして次の日の生徒会室でのことだ。
「今なんて言ったの、八尋?」
スクリーンには全生徒が映し出されている。
「全生徒をゲノムレゾナンス指数でA〜Fにランクわけし、その頂点にシュウとカイ、お前たちが君臨する。これからはヴォイドの価値がその人間の価値になるんだ。.......いわばヴォイドランク制だな」
ヴォイドランク制........
その言葉を聞いた瞬間、右手が激しく疼いた。
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