ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
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BFO編ーダブルファイター編ー
37.芽生えた感情
前書き
第37話投稿!!!
罪悪感、違和感、感じてはいけない感情が芽生える決勝戦前!!
「やったね、シュウ!!」
控え室に戻ると勢いよくレイナが俺に抱きついてき、控え室の床に倒れる。
「ゴメンな.......レイナ。.......守れなくて......」
俺もそっとレイナを抱きしめる。
「ううん。あたしが弱かっただけだよ。シュウが気にすることじゃないよ」
笑顔で振る舞うレイナを見ていると罪悪感がこみ上げる。
(リーファの前では、俺が生きてる間はパーティーは殺させないなんて言っと言って.......これかよ.......)
「..........ホントにゴメン」
「シュウ........」
上を見上げると心配そうな顔でレイナが俺を見ている。すると不意にレイナが顔を近づけ、頬にほのかに温かく柔らかな感触が.......
「.....れ、レイナ!?」
「元気でた?」
レイナの頬がほのかに赤みを帯びている。
「な、何してんだよ、お前!?」
「何ってキスだよ。なに、頬じゃなくて唇の方が元気でた?それなら今からでもしよっか?」
今度は悪戯でもするような笑顔で俺を見る。
「それじゃあ頼むって言ったらどうする気なんだよ。とりあえず俺の上から退いてくれないか」
「ゴメンゴメン。.....もちろんするよ」
レイナは俺の上から退きながら、またも笑顔を浮かべているが頬はほのかに赤くなっている。俺も立ち上がり、レイナの頭に手をのせて撫でる。
「ありがとな、レイナ」
「ちょ、やめてよね!........恥ずかしいから.....」
照れながら俺の手を振り払う。
控え室に少しの沈黙が続く。
その沈黙を破ったのは、控え室につけられたモニターだった。
『さーて!!それでは準決勝二回戦目を開始します!!選手の入場です!!』
さっきと同じ実況者の声がモニターから響く
『第二ブロック代表、その可憐な姿に見惚れない男はいない!!カナ、神楽、ペア!!』
俺らの声援とは比べものにならないくらいの声援がモニターを通して聞こえる。しかもそのほとんどが男性の声だ。
「すごい人気だな.......」
「そうだね.......」
「俺はあいつらよりもレイナの方が魅力的だけどな」
横に座るレイナを見ると顔を赤らめ下を向いている。
「そんな反応されるとこっちまで恥ずかしいじゃねぇかよ」
よく考えてみると......いや、よく考えなくても俺の言ったことは恥ずかしいの言葉以外の何物でもない。
顔が熱くなり赤くなっているのがよくわかる。だが、モニターから流れる実況者を聞いた時に俺はモニターへと集中した。
『第四ブロック代表、その強さはまさに伝説級!!ルート、グランド、ペア!!』
モニターに二人の男の姿が映る。
ゴツイ体にかなりの装甲を身に纏う男と俺のように防具は腕のみで残りは、白色の服装の男だ。
「シュウ.......?」
「あ、ああ、わるいな」
今からあいつらの試合だ。
これで違和感の正体がわかればいいんだが.........
「そういえば、シュウ?」
「なんだ?」
「試合に勝ったら、シュウが考えてたこと教えてくれるって約束だったでしょ?教えてよ」
(そういえばそんな約束してたっけな)
「わかったよ。言うけど、俺から話すより実際に見てもらった方がわかりやすいかも知れない」
モニターを見るともう試合は始まっており、どちらのペアも一進一退の攻防を繰り広げている。
「この試合.......今はお互いの実力は互角に見えるよな」
レイナは小さく頷く。
「でも、もうそろそろ............ほら今!!」
モニターを指差す。モニターには、普通に互角の攻防を繰り広げているように見えるがさっきは一瞬だけ、神楽の動きが遅くなったように見えた。
「わかるか?」
「うん.......なんとなくわ。神楽の動きが一瞬だけ遅くなったね。でも、それって疲労が原因じゃないの?ほら、もう試合してから結構経ってるし........」
試合が開始してから十分........
確かに動き続けていれば疲れるというのは当たり前だが.......それにしても急すぎるだろ。しかも、こいつらの試合は全部、最初は互角か、それ以上......そして後半は圧倒的な力の差でねじ伏せている。
「.......俺の思い違いならいいんだけどな」
この大会でアシストは、物理戦闘スキルしか使用することは出来ない。追加効果の麻痺、毒、睡眠系のスキルは使用することが出来ない。だが、やつらと戦った相手が全員同じ負け方をしている。そしてあいつらの試合を見ると俺が違和感を感じるということは..........
「.........不正」
ボソッと口から漏れた。
「.........不正?」
「いや、なんでもない」
さすがに考えすぎか.......
大勢の観客の前で不正なんてできるわけがない。
やはりこの試合の勝者は、ルート、グランド、ペアとなった。
しかもいつも通りの勝ち方で。
「やっぱり、あの二人が相手か.........」
「大丈夫だよ、シュウとあたしなら。さっきまでと一緒で全力で戦えば勝てるよ」
俺の手をそっと握る、レイナ。
「........レイナ」
互いの目を見つめ合い少しの間、動きが止まる。まるでそこだけ空間が切り取られたように.........
俺とレイナの距離が徐々に狭まっていく。
(やばい.......やばすぎる........)
もうあと数センチというところで我に戻る。
「.......シュウ?」
「.......ダメだ........俺は.......」
躊躇いながらもレイナに思いを伝えようとするとレイナが俺の言葉を遮り口を開く。
「それなら優勝したら........して......くれる?」
(ダメだ........俺にはスグがいる。こんなのダメだ.......)
答えを出そうと口を開く。
「俺は.......」
するとアナウンスが俺の言葉を遮りながら鳴り響く。
『一分後に決勝戦が開催されます。選手は、会場の前まで来て下さい』
「それじゃあ、行こっか」
レイナはさっきのことなどなかったかのような振る舞いで俺の手を握り会場手前まで向かう。
決勝戦が終わったら真実を伝えなければ..........どんな結末になろうとも
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