久遠の神話
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第零話 炎の覚醒その六
「このままずっと彼女いないで通すの?」
「そんな奴いるかよ」
「ゲイの人だったらそうでしょ」
「俺はゲイじゃないからな」
そのことはムキになって否定する。
「俺だってちゃんと募集してるさ」
「募集してるだけじゃないの?」
「今度はそう言うのかよ」
「だって。実際に彼女いないじゃない」
この現実をあくまで冷酷に話す美和子だった。
「そうでしょ」
「そのうちできるさ」
「そのうちかよ」
「そうだ、そのうちだよ」
こう妹に返すのである。
「だから大丈夫なんだよ」
「だといいけれどね。それはそうとよ」
「今度は何だよ」
「お兄ちゃん旅行行かないのよね」
美和子は話を変えた。そこにだ。
「そうよね」
「ああ、残念だけれどな」
そうだとだ。彼はまたとーストを食べながらそうだと話す。
「合宿だからな」
「大学の部活って多くない?」
「そんなに多いか?」
「この前あったばかりじゃない」
そのだ。部活の合宿がだというのだ。
「それでまたって」
「大会が近いからな」
それでだとだ。中田はトーストにマーガリンを塗りながら話す。
「それでだよ」
「大会ね」
「ああ、今年こそはってなってるからな皆」
「八条大学の剣道部って強いからね」
「ああ、余計にな」
「だからよね。成程ね」
それを聞いてだ。頷く彼女だった。
その話をしてだった。父と母も息子に話した。
「なら留守番頼むな」
「御願いね」
「犬の散歩と猫の餌御願いね」
「しっかりしてくれよ」
「わかってるさ。あいつ等のことは任せてくれよ」
ペット達のことはあっさりと受けるのだた。
「それじゃあ楽しくな」
「金沢だからな。土産は期待しておけよ」
「お魚たっぷりだからね」
「それはいいな」
魚と聞いてだ。彼もだ。
笑顔になってだ。こう両親に言う。
「北陸って魚が美味いからな」
「だからな。楽しみにしておけよ」
「是非共ね」
「それじゃあ。楽しくやってきてくれよ」
笑顔で話してだった。彼は学校に向かうのだった。
バイクで大学まで行き講義を受けてから部活に入る。まずは黒いジャージを着て走った。それが終わってから同じ部の仲間達とこんなことを話すのだった。
「なあ、聞いたんだけれどな」
「何だ?」
「どうしたんだよ急に」
「何かフェシング部に凄い奴がいるって聞いたんだけれどな」
こう仲間達に尋ねるのだった。
「何ていったかな」
「ああ、牧村か」
「あいつのことか」
すぐにだ。この名前が出て来た。
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