久遠の神話
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第零話 炎の覚醒その十九
そのうえでだ。声に尋ねるのだった。
「あれと戦って勝てばいいんだな」
「黄金が手に入ります」
「わかった。黄金だな」
「では。戦われますね」
「三億の為にな。それでな」
「はい、それで」
「剣は何処だよ」
ここで尋ねたのはまたこのことだった。
「その剣ってのは何処にあるんだよ」
「念じて下さい」
「念じる!?」
「はい、念じて下さい」
こう彼に言うのだ。
「その手に剣があると」
「それでいいんだな」
「はい、そうすればです」
「剣が出てくるんだな」
「今度からそうして頂ければいいですから」
今からではないとだ。こうも話す声だった。
「ですから」
「ああ、わかったぜ」
中田もその言葉に頷く。そうしてだった。
バイクに乗りながらだ。両手をハンドルから放し。そうして。
両手に同じ大きさの日本刀を出した。刃のところにそれぞれ波がある。赤い唾と柄でだ。刀身も赤く輝く。そうした異様な刀だった。
その刀を見てか。声がこう言ってきた。
「その刀が貴方の刀ですか」
「何だ?おかしいか?」
「刀は。貴方がイメージされるものがそのままです」
「出て来るってのか」
「貴方は二本ですか」
「二刀流なんだよ、俺ってな」
笑顔でだ。こう返す中田だった。
「それが俺の剣道のスタイルなんだよ」
「そして力はそれですね」
「力?」
「剣士はただ剣で戦うだけではないのです」
「その力も使うってのか」
「そうです。そして貴方の力は」
「赤いな。ってことは」
どうなのかだ。中田は自分で考えて話した。
「火か?」
「はい、炎です」
声もだ。それだと答えた。
「それが貴方の力になります」
「火ねえ。何か面白いな」
「面白いですか」
「この力であのケンタウロスと戦えばいいんだよな」
「その通りです」
「わかったぜ。じゃあな」
バイクを足だけで操りながらだ。そのうえでだ。
自分に向かい突き進むケンタウロスを見据える。魔獣は。
中田に向かいつつだ。その手にだ。
何かを出してきた。それは槍だった。
手槍をだ。中田に向かって投げてきたのだった。
「槍かよ」
「槍はどうされますか?」
「どうするかこうするかもないからな」
これが中田の答えだった。それでだ。
その左手の剣を一閃させて。そのうえで。
自分に向かって飛んで来る槍を上から両断した。槍は真っ二つになり燃えて消えていった。その闇の中で燃えて消える槍を見てだ。
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