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久遠の神話

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第零話 炎の覚醒その十八


「それは約束します」
「じゅああんた何者なんだ?」
「確かに霊的な存在です」
「霊的ねえ。精霊か何かか」
「そう考えて頂いていいです」
「わかった。じゃあ精霊って考えてな」
 そのうえでだとだ。声に言う彼だった。
「あんたは俺に何か用なのかい?」
「貴方は今お金が欲しいですね」
「さっきも言ったと思うけれどな」
「必要ですね」
「三億な」
 それだけの額が必要だということをだ。声に話すのだった。
「それだけ必要なんだよ」
「わかりました。三億ですね」
「出せるかい?三億」
 出せる訳がないと思いながら声に問うた。
「それだけの金な。どうだい?」
「若しも貴方がです」
「俺が?」
「これから剣を手にして戦われるならです」
「何だ?殺しでもしろっていうのかよ」
 そう考えてだ。中田の顔が曇った。
 ヘルメットの中の顔をそうさせてだ。声にこう返した。
「悪いけれどそうしたことはな」
「いえ、殺人ではありません」
「何だよ、じゃあ何なんだよ」
「貴方が望まれるならです」
 前置きを強調してだ。そうして言ってきた声だった。
「私は貴方に剣を授けます」
「それで戦えっていうんだな」
「魔獣達と戦い倒し」
「魔獣ねえ。話が洒落にならない方向に進んでるな」
「そして他の剣士達ともです」
「戦って勝てばだな」
「その都度お金が入ります」
 そこまで聞いてだ。中田は話をまとめてこう言った。
「成程ね。それで三億ね」
「どうされますか?」
「他の剣士ってのが気になるけれどな」
 それでもだとだ。中田は言った。
「魔獣を倒したら金が入るんだな」
「黄金としてですが」
「わかったぜ。じゃあ黄金、金貰うぜ」
「では。剣士になられますね」
「ああ、なるさ」
 バイクを運転したまま声に答える。
「そうさせてもらうな」
「わかりました。それでは」
「で、剣だよ」
 話が決まったところでだ。中田は早速声に尋ねた。
「剣は何処だよ」
「剣ですか」
「契約成立だろ?じゃあ早速」
「はい、丁度いい具合にです」
 どうかとだ。声の具合が変わってきた。
「魔獣が来ました」
「何処だよ。何処に出て来たんだよ」
「前に」
「前?」
「はい、前から来ます」
 声はこう言うとだ。実際にだ。
「貴方の前からです」
「前から・・・・・・んっ!?」
 目をこらすとだ。そこにだ。馬がいた。
 しかし只の馬ではない。首がある筈の部分には人間の上半身がある。若い濃い髭の男がだ。首の場所に生えていたのだ。
 その姿を見てだ。中田はすぐに言った。
「あれってよ」
「おわかりですね」
「ケンタウロスだよな」
「はい、ケンタウロスです」
「ギリシア神話に出て来るあれかよ」
 その姿でわかった。すぐにだ。 
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