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ある白猫の生涯

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1-6

「岩 聞いたわよ お隣さんに お前 庭に降りてきたカラスを追い払っているんだったね 見たってー それに 多分 夜中にイタチも見張っているんだろうってー そ~いえばトマトの基に埋めたとこ 荒らされてないわー いつも 何者かに掘り返されるんだけどー 今年は立派なトマトになりそうね! すごい用心棒だね いや ボディガード? ボディキャッツかな?」

 と、言いながらお母さんはさっきから 干したジャコの頭と内臓部分を取り続けているのだ。ミナツちゃんが学校から帰ってきたみたいで

「あー ミナツ このジャコの頭 ご飯と混ぜてー 岩のご飯 この子 もう直ぐ夕方の見廻りに行くからね」

『うぅー うまそー 早くくれ! お母さんは 俺が毎日 夕方 見回りに行くことを知っているんだぁー』

 うまい! こんなのはノラ猫だったら 絶対に食べられないよなー 『フニャ フガー』と、感激しながら噛み締めていたのだ。食べ終わって、お母さんが玄関から表に送り出しくれた。俺は、腹ごなしを兼ねて辺りを見廻りした後、隣の家のアンテナに止まっているカラスに向かって『ニャー』と、俺はここに居るぞと威嚇した後、駐車場に居住まいを決めて、見張りを続けたのだ。

 お父さんが帰って来るまでそんな調子で、車の音がして、降りてくると

『ニャーン』と 側に寄って行って、甘えているようにするのだ。そうすると、お父さんは単純に喜んで「おぉー お出迎えかー」と、また、一緒に家の中に入って行って、お父さんの晩ご飯のおすそわけをもらうのだ。

「岩はね ウチの菜園を守ってくれているみたいなのよ 最近 植えたものが荒らされていないのよー」と、お母さんが言っていて

「そうかー イタチとかカラスかな」

「そうみたい お隣さんが お宅の猫ちゃんがカラスを追っ払っているの見たってー」

「ふ~ん 岩 えらいぞー」と、食べていたすき焼き風の肉をくれたのだ。

「だけどな 岩 イタチを追っ払うのはいいけど 取っ組み合いはするなよ! 奴等はどんな病気を持って居るかわからんからー 引っ掻かれでもしたら うつるからな」

 と、注意されたけど 俺は あいつ等にはきっと負けないと思っていた。そして、その後はベランダから外に出て、駐車場の屋根の上から見張りを続けたのだ。そんなに、この家の人から喜ばれて大切にされるのならお易いことだと思っていた。
 
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