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オカママッサージ

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第二章

               オカママッサージ
 マッサージ師の西脇信はその腕前を極めて高く評価されている、その為彼が所属している店の来客は多い。
 金髪に染めた髪の毛をセットしていて細面で流麗な顔立ちでホスト風の趣だ。背は一七二位ですらりとしていてファッションもお洒落な感じだ。
 それで女性から人気だが。
「あたし女の子に興味ないのよ」
「じゃあ熟女ですか?」
 後輩の真鍋志保が聞いて来た、黒髪をショートボブにした大きな目で丸い顔の小柄で胸が大きな若い女性だ。
「趣味は」
「女性自体がよ」
 西脇は真鍋に返した。
「恋愛対象じゃないのよ」
「そうですか」
「そう、あたしは男女同権でね」
 そうした考えでというのだ。
「平等であるべきと思うけれど」
「それでもですか」
「お友達なら大歓迎だけれど」
 それでもというのだ。
「交際相手としてはね」
「ないですか」
「そうなの」
 絶対にというのだ。
「あたしはね」
「男性ですね」
「ええ、恋愛対象はね」
 こう言ってだった、彼は仕事をして恋人を探していた。そんな彼に対して彼が通っていた中学の剣道部の顧問平雄経市、大柄で太っていて髪の毛をパーマにした教師というよりはヤクザ屋さんの雰囲気の男が中学の同窓会の場で彼に言った。
「お前男か女か!」
「生物学的には男ですよ」 
 西脇は平雄に平然と答えた。
「あたしは」
「そんなになよなよしてホモでもか!」
「あら、外見や思考の問題ではないですよ」
 やはり平然と返す平雄だった。
「性別は」
「オカマでもか」
「オカマでも男で」
 それでと言うのだった。
「しかも男だからどうなんですか?」
「男らしくしろ!」
 平雄は自分が言いたいことを言った。
「このオカマ野郎!」
「オカマが何ですか」
 西脇は至って落ち着いた顔で返した。 
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