ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル
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第135話 戦いは続く!イッセーを狙う執念の刺客!
side:イッセー
「ガルァァァッ!」
勢いよく飛び掛かってきた『ウィングソードウルフ』の鋭利な角から放たれた斬撃を避けた俺はバックステップで距離を取る。
俺は現在第2の刺客である猛獣達と戦っていた。既に10体以上は倒しているが中々手ごわい奴もいるみたいだ。
「ゴアァァァッ!」
そこに全身をマグマで覆ったゴリラ、『サラマンダーコング』がマグマの纏った拳で殴りつけてきた。
「フォークシールド!」
その拳をフォークシールドで受け止めてサラマンダーコングの腹部を前蹴りで攻撃して押し飛ばした。
「キキュッ!!」
追撃しようとした俺の腕に電気を纏った糸が絡みついた、それは『エレキンスパイダー』の吐いた糸だった。
「ぐっ!」
体を電流が走り動きが止まった俺に他の二匹が一斉に攻撃を仕掛けてきた。斬撃とマグマの拳が容赦なく俺に襲い掛かった。
「舐めるな!」
俺は拳で糸を掴み大きく振り回した、そしてエレキンスパイダーごと振り回して他の二匹に激突させる。
「36連!ツイン釘パンチ!!」
そして動きが止まった3匹を纏めて攻撃した。奴らは宙を何度も跳ね上がり最後には地面に叩きつけられる。
「はぁ……はぁ……やったか」
俺は荒くなった息を整えながら倒れた猛獣達に手を合わせる。
「後で必ず美味しくいただくからな、今は少し待っていてくれ」
こいつらは特殊調理食材なので焼いただけでは食べられない、後で必ずその命を頂くと約束して俺は先に進もうとした。
『ははっ、随分とボロボロになったじゃないか』
「ディオドラ……」
そこに不快な声が聞こえた、ディオドラの奴だ。
『しかしあの男の言葉も当てにならないな、強い猛獣を貸してくれると言ったのにあっけなくやられちゃったじゃないか。本当に無駄な買い物をしちゃったよ、こんな事なら僕が君を殺していたほうが安くついたかもね』
「お前には無理だよ、あの猛獣達の方がよっぽど強いぞ」
『安い挑発だね、そうだ、ようやくアーシアが目を覚ましたよ。挨拶くらいしてあげなよ』
「なに?」
すると魔法で幻影が宙に映った、そこには縛られたアーシアがいた。
『イッセーさん……』
「アーシア!大丈夫か!?」
『はい、私は大丈夫です……ごめんなさい、私のせいでイッセーさんやみんなに迷惑をかけてしまって……』
「気にするな、アーシアは何も悪くないだろう。悪いのはそこのクズなんだからな」
『アーシア、君にぜひ見て欲しい物があるんだ。そこの赤い蜥蜴が君と同じ聖女を殺した映像さ』
俺とアーシアの会話の出しゃばってきたディオドラは嬉しそうに先程の聖女達との戦いの映像をアーシアに見せた。
『どうだい、アーシア?赤龍帝は命を大事にするとか言っておきながら平気で他者を殺す最低最悪の冷酷な殺人者だったんだよ?悪いことは言わない、あんなクズは捨てて僕にしなよ』
「……」
俺は黙ってそのやり取りを見ていた。
『……可哀想な人ですね、そんな事で私がイッセーさんに愛想をつかすと思ったのですか?』
『強がらなくていい。今まで堕としてきた聖女達の何人かにも同じものを見せたけど全員が愛想をつかして僕のモノになった。君だって内心はアイツの事が嫌いになっただろう?』
『そう思いたいのならそれで結構です。私とイッセーさんの愛を貴方に理解してもらおうとも思っていないので』
一人盛り上がるディオドラを冷めた目で見るアーシア、そもそもアーシアならあれが殺したのではなくノッキングしたのだって直に分かるだろう。
俺はそれに気が付かないディオドラに呆れた感情しか湧かなかった。
『さあアーシア、ここからが本番だ。この先には最強の刺客たちが奴を待ち構えている、そいつに無残に殺される奴を見ながら僕と契りをかわそう』
『……』
『ははっ!見たか赤龍帝!アーシアの心は完全に僕に向いてるよ!あのもの欲しそうな眼差しがその証拠さ!』
(呆れてモノも言えなくなっただけだろう……)
俺とアーシアの冷たい視線に一切気が付かずに一人だけテンションを上げるディオドラ、はたから見たらなんだこりゃ?……としか思わないぞ、この光景は。
『さあ赤龍帝、先に進みなよ。そして最後の刺客に殺されてしまうと良い。万が一勝てたら僕が相手をしてあげるよ』
ディオドラは爆笑しながら映像を消した。そして俺は映像が消える際、アーシアが声を出さずに唇の動きで『愛してる』と伝えてくれたのでサムズアップしていた。
「なんだか哀れに感じてきたよ、ドライグ……」
『所詮奴の愛など一方通行だからな、まともな恋愛など一度もしたことがないのだろう』
「ドラゴンのお前にすらそう言われるならマジでどうしようもないな」
恋に興味を抱かないドラゴンのドライグにすら呆れられる始末だ、俺は溜息を吐きながら先へ進んだ。
「ここか……」
俺は真っ暗闇の広い空間に出る、だが気配は感じない。敵は何処にいるんだ?
「血の匂い?」
するとそこに濃密な血の匂いが鼻を触る、俺じゃなくてもすぐに気づくほどの濃い血の匂いだ。
すると燭台に火が生まれて暗闇の中に明かりが広がった。そしてそこには夥しい量の死体が転がっていた。
「人間に悪魔、獣人に堕天使……妖怪や神の力を感じる奴もいるな」
『恐らく信仰を失ってはぐれたはぐれの神だろう、大した神ではない』
「ディオドラは行き場を失ったD×Dの強い奴らを片っ端から集めてグルメ細胞を与えたんだろうな」
俺は色んな種族の死体を見てそう推測した。体の筋肉の付き方や死体とはいえ強い魔力などを感じた、恐らくこいつらはD×Dではそれなりに名を広めた強者なのかもしれない。
「だが何故死体に?誰がやったんだ?」
問題はこいつらを殺したのは誰だという事だ。ディオドラは最強の刺客達と言っていた、つまり本来ならこいつらが俺の相手だったはずだ。
旧魔王派がこいつらと戦う理由は無い、では曹操か?あいつならなんなくこの連中を殺せるだろう。
だが死体の中には眉間を銃で撃ち抜かれたようなものもある、曹操が銃を所持しているようには見えなかったが本当に奴なのか?
そもそもなんで曹操がこんなことをする必要がある?奴は一応ディオドラの手伝いをしていた、つまり奴らの仲間、もしくは協力関係にある。
理由もなしにそんな事をするような男には見えなかった。俺は直感で曹操ではないと判断する。
「血濡れた~道を~僕は進む~♪今日も~躯を~重ねて~♪」
すると突然誰かの声が聞こえてきたので振り返る、そこには死体の山が出来ておりその天辺にフードを被った誰かが座って歌を歌っていた。
(気配を感じなかったし匂いも無かった、何者だ?)
「舐めた~奴は~許さない~♪こま切れ~みじん切り~三枚おろし~♪……キヒヒッ、君はどっちがいい?イッセーく~ん♪」
「お前は……フリード!?」
フードを外して顔を見せる者、それはよく知っていた顔だった。行方不明になっていたフリードだったんだ。
「何でお前がここに?こいつらを殺したのはお前か?」
「exactly!!その通りでございます!いやぁこいつらイッセー君を殺して賞金を貰うって息巻いていたからちょっと遊んであげようと思ったのにあっさり死んじゃってさぁ、マジで拍子抜けだよね~♪」
「相変わらず訳の分からない奴だ。コカビエルとの戦いの後に死体が無かったのは禍の団に拾われていたからか?」
「まぁね、こうして再び君に会いに来たって訳なのよ。嬉しいでしょ?」
「まったく嬉しくないな。今忙しいんだ、お前に構ってる暇はない。とっとと失せろ」
フリードが生きていたのは禍の団に救われていたからだったんだな、でも見つけた以上さっさと気絶させてアーシアの所へ向かわないといけない。
俺は奴を怒らせて突っ込んでこさせようとしたがフリードは怒らずに高笑いをする。
「はっはっは!君こそ相変わらず俺を舐めてくれるねぇ!でもそうだよね、俺は君より弱いんだから当然だよね!誰だって自分より弱い奴が調子こいたことしてたらムカつきますよねぇ!俺だって同じだよ、そんな奴皆殺しにしちゃうもんねぇ!」
「俺はお前にムカついてるわけじゃない、面倒だなって思ってるだけだ」
「素直過ぎて草wwwムカつき通り越して愛おしくなっちゃうよ!」
フリードは一人テンションを上げて大はしゃぎする、不気味な奴だな。何が面白いんだ?
「なあイッセー君、俺の生まれって知ってる?」
「時間稼ぎか?さっさと終わらせるぞ」
「まあ聞けって。俺はさ、試験管ベビーなんだよ」
「試験管ベビー?」
それを聞いた俺は握っていた拳を緩める。
「そそっ、教会の暗部組織『シグルド機関』っていうのがあってさ、そこは英雄シグルドを人工的に生み出すのを目的としてるわけよ。んで英雄を作る為だけに俺っちは生まれたのさ、そんで滅茶苦茶厳しい特訓に明け暮れて自由なんざ無かったって訳。酷くね?」
「そうか、生まれには同情するし改めて教会はクソだなって思うがそれはそれとしてお前がしてきた事が正当化されるなんて思うなよ?お前が悪魔を召喚しただけの無実の人間を何人も殺したのは知ってるんだからな」
「そんなこと言わないよぉ、狂ったのはそっちの方が楽しそうだったからね。でも同情の一欠けらも見せてくれないなんてイッセー君ってばキビシッ!鬼!悪魔!」
「俺は鬼でドラゴンだ」
『そうじゃないだろうが……』
俺の的外れの回答にドライグがツッコミを入れた。すまん、つい反応してしまった。
まあでもフリードが試験管ベビーなのは驚いたな。今更教会の闇を見せられても何とも思わないがある意味コイツも人の狂気の被害者でもあった訳か。
だからといってフリードがやってきた事を認める事は出来ないがな。
「俺は優秀でさ、あっという間にトップクラスの実力を得たんだよね。でもさぁ弱いくせに偉そうなことばかり言う奴らしかいなくてさぁ、うんざりしたからそいつら殺して教会を飛び出したんよ」
「それで?」
「んでレイナーレの部下になってそっからは自由よ、自由!好きなもん食って良い女を抱いてムカつく奴をぶっ殺してやったり思うがままに生きてやった!アーシアちゃんも可愛かったなぁ、一発ヤっておけばよかったよ」
「もう喋るな、不愉快だ」
俺は我慢の限界が来てフリードをぶちのめそうと奴の顔面に拳を振るう。何か情報得られるかと思って好き放題話をさせたが時間の無駄だったな。
「でもさぁ、そんだけ好きに生きてやったんだけど俺の心は満たされなかったんだよねぇ」
「なっ……!?」
だがフリードは指一本で俺の拳を止めてしまった。奴は真顔になって頭をかきながら心底つまらなそうにそう呟いた。
「お前、一体なにを……?」
「つまらないんだよ、なにをしても心から満たされたことは無い。自分が生まれた意味、やりたいこと、何一つ分からなかった……君と出会うまでねぇ」
フリードはねっとりとした視線を俺に向けて気持ち悪い笑みを浮かべた。
「覚えてるかい、イッセー君?君と俺が初めて出会ったあの日の夜を……俺は君を雑魚だと思い込んで殺そうとした。でもあっさりと返り討ちにされて挙句命も見逃された」
フリードは自身の頬を撫でながら話を進める。
「心底キレたね、俺をここまで舐めやがってって……でも同時に心の中に怒り以外の感情も目覚めていた。初めは俺も分からなかったが後になって理解した、俺はイッセー君に勝ちたいんだって」
「……」
「俺があそこまで何もできずにボコボコにされたのは君が初めてだった!だから俺はコカビエルに取り入ってエクスカリバーを貰い今度こそ君を殺そうと思ったんだ。まあ結果的には君とは戦う事すらできずに挙句にはバルパーのクソ野郎に殺されかけたけどね」
ヘラヘラと笑いながらフリードは俺に視線を向けた。
「イッセー君を殺せずに死ぬのか……そう思いながら俺は死を迎えようとした。でも奇跡が起きたんだ、俺の中に眠っていたグルメ細胞が目覚めて生を掴んだ!」
「グルメ細胞だと!?」
俺は奴のグルメ細胞という言葉に驚いた。つまりこいつは俺や小猫ちゃんみたいに最初からグルメ細胞を体内に宿していたという事だ。
「まさか英雄シグルドは……!?」
「さっすがイッセー君、察しが早いね。その通りさ、俺のオリジナルである英雄シグルドはG×Gの人間だったんだよ!」
俺達みたいにG×GとD×Dを行き来している人間は他にもいるんじゃないかと思ってはいたが、まさか英雄の一人がそうだったとは……
そしてそのコピーであるフリードにもグルメ細胞があったという訳か、最悪の可能性が実現してしまったか。
「正直に言うとさ、俺は黒幕ちゃんにグルメ細胞をやれないって言われたんだよ。最初はマジでショックだったぜ、なにせバルパーすら貰えたのに俺は駄目だったんだからな。でも後になって分かった、俺はとっくにグルメ細胞を持っていたからあげないって意味だったってな!」
「お前もやはりD×Dにグルメ細胞をバラまいている奴を知ってるんだな?一体何者なんだ!」
「知りたきゃ俺と勝負だ!君のために俺はこ~んな素敵なボディを用意してあげたんだからね♡」
フリードは全身を隠していたフードを勢いよく外した。
「なんだ、その体は……!?」
そして奴の体を見て俺は驚いた。様々な生物の体を混ぜ合わせて作ったような異質な体……そして奴の全身から凄まじいオーラを感じ取った。
「これが俺の新しい体だ!G×Gの人間界に生息している屈強な猛獣100体の細胞を使って生み出したオリジナルボディ……イッセー君、君を殺す為だけに作ったんだぜ?」
「俺を殺す為にそんな怪物になったのか?」
「そうだ!俺は君に……お前に勝ちたいんだよ!生まれて初めてだ、うぜぇからとかじゃなくて純粋に勝ちたいって思ったのは!」
フリードは飛び上がって俺の側に落ちてきた、砂煙が上がり俺達を包み込む。
「ほらよ」
フリードは猛獣の肉をいくつか渡してきた。
「なんのマネだ?」
「ここに来るまでに多少は消耗してるだろ?俺は全力のお前とやりたいんだ、それ食って回復しな」
「なら有難くいただくぞ」
俺はフリードがくれた肉にかぶりついた。毒が仕込まれてる可能性もあったが今のこいつはそんな姑息な事はしないと直感で感じ取ったので気にしなかった。
「……ふう、ごちそうさまでした」
俺は手を合わせて合掌する、そしてフリードに向けて戦闘の構えをする。
「さあ始めようぜ、イッセー!俺とお前の最高のデートをなぁ!!」
「肉のお礼だ、最後まで付き合ってやる。フリード、今度こそお前を捕える!」
もうこいつは今までのフリードじゃない、俺もマジでやらなければ殺される可能性がある。
「はっ!」
まず先行したのは俺、体をひねりながら左足で回し蹴りを放つ、フリードはそれを右の肘で受け止めた。
だが一瞬動きの止まった隙を見逃さずに左拳で奴の腹部に打撃を打ち込んだ。
(硬い!)
最初に感じたのは奴の硬さだった、鋼鉄すら凌ぐほどの硬さに俺の拳は手ごたえの無さを感じていた。
「でやっ!」
「ひゃはっ!」
互いに上段回し蹴りを放ち蹴りがぶつかり合う、だが先に攻撃を仕掛けたのはフリードで奴の拳が俺の顔面に突き刺さった。
「ぐっ!」
間髪入れずに俺の首目掛けて奴は鋭い蹴りを打ち込んできた。俺はしゃがんでそれを回避するが後ろにあった大きな柱が綺麗に切断された。
「はぁっ!」
「ぬあっ!」
お互いに握り拳を作りストレートで打ち込む、互いの拳がぶつかって大きな衝撃が走り広い部屋を揺らした。
「ぐおっ!」
「うがぁぁっ!」
そして衝撃波が発生して俺とフリードは地面を転がった。
「……強いな」
俺はフリードの強化された肉体を実際に戦って強いと感想を言う。パワー、スピード、耐久……すべてが格段に上がっている。
「ひゃはは、まだまだこれからだぜぇ?」
フリードは楽しそうに笑いながら立ち上がった。
「おりゃぁぁぁっ!」
「うおっ!いきなりですかい!?」
俺はトップスピードで奴に組み付くとそのまま腕力で前方に投げ飛ばした。
「レッグナイフ!」
そしてレッグナイフで追撃を放つ、だがフリードはそれを回避して俺に接近すると顔に蹴りを入れてきた。
それをまともに喰らった俺は錐揉み回転しながら壁に叩きつけられる。
「甘い甘い♪」
「ならこれならどうだ!」
俺は壁をナイフで切り取るとその切り取った瓦礫をフリードに向かって投げつけた。
「こんなもの!」
奴は腕からなにか剣のようなものを取り出すとそれを片方の腕で掴んで振るう、すると瓦礫は豆腐のように斬られてしまった。
だが俺はその瓦礫の隙間をかいくぐって奴に打撃の雨を降らせた。
「フルコース・インパクト!」
「ぐぉぉぉぉっ!?」
俺の激しい連撃に全身を打たれていくフリード、だが奴は攻撃を喰らいながら前進してきた。
「そりゃぁぁっ!」
「はぁっ!」
フリードが放った剣の突きをフォークシールドで受け止める、そしてお返しにナイフを放つが奴の硬い腕に止められた。
そこからは怒涛のド付き合いだった。どちらかが攻撃すればそれを受け止めて反撃する、激しく動き回りながら拳と剣がぶつかって衝撃が走った。
「はっ!」
「がはっ!」
裏拳を回避されて顎を蹴り上げられた俺は天井に激突する、追撃して剣を振るうフリードだが……
「真剣白刃取りならぬ白歯取りだ……!」
「マジかよ……!?」
手ではなく歯で剣を受け止める俺、そのまま驚くフリードの顔面を殴り飛ばした。
「うおおおっ!」
「痺れるねぇっ!」
地面に着地した俺は釘パンチの構えで奴に突っ込んでいった。対するフリードは剣を上段に構えてオーラを込めていく。
「13連!釘パンチ!!」
「カイザースラッシュ!」
拳と剣がぶつかって凄まじい衝撃が生まれた、しばらくは拮抗していたがお互い体に衝撃を走らせながら後退する。
「……なんだ、その剣は?硬いぞ」
俺は奴の持つ剣の硬さに眉を歪めた。俺の全力の攻撃を受けても刃こぼれ一つない、いくらなんでも硬すぎるぞ。
「コイツは天界の秘宝『覇者の剣』だ。オリハルコンで作られたこの剣を折ることは出来ないぜ?お前との決戦に向けて天界から曹操に盗んできてもらったのさ」
「オリハルコン……どおりで硬い訳だ」
俺はオリハルコンという言葉に納得する。オリハルコン……それは神が生み出したこの世界で最も硬い物質だ。それなら俺の攻撃でもびくともしないのも納得だ。
「だがそれはD×Dでの話……この先のステージに行くために寧ろオリハルコンくらい折れなきゃ話にならないはずだ!ミカエルさんには悪いがその覇者の剣、へし折ってやる!」
「ぎゃははははっ!即折る宣言とはイカれてるぜ、イッセーくぅぅぅん!!」
「お前ほどじゃねぇよ!!」
俺とフリードはナイフと剣をぶつけ合い鍔迫り合いになった。
まっていてくれ、アーシア。フリードを倒して必ず助けに行くからな!
――― オリジナル猛獣紹介 ―――
『ウィングソードウルフ』
捕獲レベル56の猛獣で名刀に匹敵する鋭い角と巨大な翼をもつ狼。その角から振るわれる斬撃は山すら斬ると言われている。肉は不味いが角は一本1400万円ほどで取引されるほど高価。
『サラマンダーコング』
捕獲レベル62の猛獣で火山地帯に生息するゴリラ、その全身はマグマで覆われており触れるだけで危険だ。肉はマグマの熱で熟されておりシチューなど煮込む料理と相性が良い。
『エレキンスパイダー』
捕獲レベル53の昆虫、雷雲の中に巣を作って怪鳥などを捕えて食べる。全身に電気を纏っており吐く糸から電流を流し込んで獲物を感電させる。あまり美味いとはいえないがお腹の部分は珍味で一部のマニアに人気がある。
後書き
イッセーだ、まさかフリードがここまでパワーアップしていたとは思わなかった。でも俺は負けられない、必ず勝ってアーシアを取り戻す!
だが別の場所でも戦いは続いているみたいだな。次はセラフォルーさんの本気が見られそうだ。
次回第136話『女の戦い!魔王セラフォルー・レヴィアタンの本気!』で会おうな。
次回も美味しくいただきます!
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