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X ーthe another storyー

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第五十三話 幸福その四

「確かに」
「私もいるから」
「僕だけでなく」
「二人であの娘を育てていきましょう」
「これからも」
「そうしていきましょう」
「はい」 
 妻に笑顔で応えた。
「それでは」
「ええ、それで帰ったら」
 妻はそれからのことも話した。
「晩ご飯だけれど」
「今晩は何でしょうか」
「海老フライよ」
 この料理だというのだ。
「あの娘が好きな」
「そして僕も好きな」
「そうでしょ、あとホワイトシチューもね」
 こちらの料理もというのだ。
「あるから」
「いいですね、では夜も」
「皆でね」
「楽しみましょう」
 二人でこうした話をした、そして。
 護刃は今実家にいた、そこには犬鬼もいてだった。
「もう随分な」
「戻ってきましたね」
「そうだな」
 草薙は子犬から大きくなった犬鬼を見て微笑んで話した。
「これならあと少しでな」
「元の大きさになりますね」
「いいことだ」
「はい、それで草薙さんは」
 護刃は彼にも言った、今は二人と一匹で山の奥険しい崖の横の道を歩いている。そのうえでのやり取りだった。
「お怪我は」
「この通りさ」
 草薙は護刃にも笑顔を向けて答えた。
「全快したよ」
「それは何よりですね」
「犬木と同じだよ」
「嬉しいでしね」
「とてもな」
「本当に。あと戦いも終わって」
「俺達も争う理由がなくなったな」
 護刃にこうも言った。
「もう」
「そうですよね」
「それで嬢ちゃんはどうするんだい?」
 護刃に問うた。
「これから」
「大学までクランプ学園にいまして」
 護刃はすぐに答えた。
「それでそれからも天の龍として」
「人間を護るか」
「はい」 
 そうするというのだ。
「そうします」
「東京でか」
「そうなります」
「俺は地球を護ってな」
 草薙は今度は自分のことを話した。
「それで東京にな」
「おられますか」
「ああ、ただちょっとな」
「ちょっと?」
「実は幹部候補生の試験に合格したんだよ」
 護刃に微笑んで話した。
「それで今度学校に行くつもりなんだよ」
「幹部候補生学校ですね」
「知ってるか」
「はい、そちらに入られて」
「八ヶ月ばかりな」
「東京におられないですか」
「どうも俺が地の龍ってことは相当上の方も知ってて」
 それでというのだ。 
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