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神々の塔

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第四十一話 深き者共その四

「果たしてな」
「あれやね、何で悪魔が悪か」
 綾乃が答えた。
「神様、キリスト教の」
「その神が絶対の正義とな」
「その前提条件があって」
「悪魔は悪となるんや」 
 リーはその綾乃に話した。
「神という絶対の正義に敵対するから」
「そうなるね」
「しかし悪魔を見てな」
 キリスト教の彼等をというのだ。
「果たしてほんまに悪か」
「行いや主張を見て」
「ただ神に反していて」 
「別に悪やないね」
「行い自体はな」
「もう一つの正義やね」
 綾乃は考える顔になって話した。
「キリスト教の悪魔は」
「現代の目で見るとな」
「そやね」
「それで混沌やない」
「秩序やね」
「その世界はな」
 彼等が形成しているそれはというのだ。
「そう言ってええ、しかしや」
「ラグクラフト神話の神々は」
「混沌、無意識、本能といった」
「そうした存在や」
「そこが他の神霊さん達とちゃうね」
「そや、そうした神々もや」
「この世界を司ってて」
 そしてというのだ。
「そのうえでな」
「この塔にも出て来て」
「私達と戦うことによってな」
「試練を与えて来るんやね」
「そういうことや」
「そやね、しかしうちとしては」
 綾乃は考える顔のうえで首を傾げさせた、そのうえで言った。
「この世界を脅かす危機は」
「ラグクラフトの神々やとやな」
「考えたけど」
「それな、私もやった」
 シェリルも言って来た。
「他の神界の神霊さん達は秩序を形成してな」
「文明とか理性とかの世界におられるね」
「そやからな」
 そうした存在だからだというのだ。
「それでな」
「それでやね」
 綾乃はシェリルにも応えた。
「あの神霊さん達こそが」
「この世界を脅かす危機やと思ってた」
「混沌と悪意、本能の損じやから」
「そう思ってた」
 まさにというのだ。
「キリスト教の考えやとサタンさんになってたけどな」
「シェリルちゃん確か宗教は」
「プロテスタントやけどな」
 キリスト教の新教と言われる宗派の一つだというのだ。
「そやけど元々のや」
「アボリジニーの信仰も持ってるんやね」
「自然のな」
「そやね」
「それで悪魔も別にな」
「絶対悪とは思ってへんねんやね」
「邪悪な存在は他におる」
 悪魔とは別にというのだ。
「外道、吐き気を催すまでの」
「邪悪があるね」
「人やったり組織やったりな」
「そこは色々やね」
「悪魔は自分達の秩序に人を引き込むだけや」
 彼等が正義を掲げる世界にというのだ。 
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