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神々の塔

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第四十一話 深き者共その五

「しかしな」
「そうした邪悪は」
「そういうの一切なくてな」
 それでというのだ。
「私利私欲、若しくは悪意のままな」
「悪いことをして」
「そしてその悪事がな」
 それがというのだ。
「極めて卑劣で醜悪や」
「そうした連中こそ悪やね」
「そやから悪魔はな」
 キリスト教の彼等はというのだ。
「この世界を脅かす存在とはな」
「考えてへんかったんやね」
「そやった」
「それでやね」
「あの神々かと思ったけどな」 
 今話しているラグクラフトの神々だというのだ。
「ちゃうかったな」
「そやったね」
「ほな世界を襲うという危機は何か」
「今の時点でも全くわかってへんし」
「気になるな」
「そやね、ほんまに」
「そのことも考えながら」
 そうしつつと言うのだった。
「今の私達はな」
「塔の踏破を目指して」
「そして」
 そのうえでというのだ。
「ラグクラフトの神々もな」
「倒していこな」
「試練としてな」
 こうした話をしてだった。
 一個は不気味な海底の迷宮を進んでいった、そしてその迷宮も踏破してさらに上の階に進んでいき。
 宿屋神霊達との戦の前に入ったそこでだった、芥川は宿屋の者達を見て唸ってこんなことを言った。
「深き者共とな」
「思われていましたか」
「そやったわ」
 宿屋の主の山羊人黒い毛の親父に言った。着ている服も普通の宿屋の親父らしいラフで動きやすいものである。
「実は」
「私達はお仕えしているです」
「人やな」
「あの方々の世界において」
「ラグクラフト神話の神々のやな」
「はい、ですが」
「僕が今言うたやな」
「その方々は眷属でして」
 神々のというのだ。
「私達とはです」
「またちゃうな」
「はい」 
 そうだというのだ。
「また違います、そしてです」
「そして?」
「私達は普通に文明的な暮らしもです」
 これもというのだ。
「営んでいます」
「あの神界でもか」
「あの方々は文明とは無縁の」
「混沌の存在やな」
「ですが我々は人であり」
 それでというのだ。
「やはりです」
「人はやな」
「文明とはです」
「離れられんか」
「左様です、文明を生み出し育て」 
 そうしてというのだ。 
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