オズのカリフ王
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第十幕その九
「人は小さい、実にな」
「神の前では全てが小さなものですからね」
天使さんも言いました。
「オズの国においても」
「全くじゃな」
「オズマ姫もそう言われていますね」
「いつも言ってるわ、私一人では何も出来ないって」
トロットがオズマの言葉を述べました。
「皆がいてそしてね」
「神々がですね」
「おられてね」
そうしてというのです。
「いつも何かが出来ているって」
「そうです、私達もです」
「天使さん達もなのね」
「私達だけで何が出来るか」
穏やかな真面目なお顔で言いました。
「果たして」
「何も出来ないわよね」
「そうです、人はまことにです」
「小さいわね」
「それで自分が偉いなぞ」
「ないわよね」
「それは勘違いもです」
それこそという口調での言葉でした。
「実にです」
「はなただしいわ」
「まことに」
「かつての前王がそうであったのう」
ノーム王はしみじみとして思いました。
「妖魔達やウグもだったか」
「そうじゃな、神様を信じないでな」
「自分だけになってな」
ドワーフ王にも応えました。
「そしてな」
「日本で言う天狗か」
「いや、天狗というか悪い意味での唯我独尊か」
「自分しかなくなっておったか」
「もう信仰も何もなくてな」
そうした考えになっていてというのです。
「それでじゃ」
「神様は頭にない」
「信仰もな」
「それで自分だけでな」
それでというのです。
「勝手気ままになっておったら」
「それでは失敗するのう」
「事実何度も失敗してな」
「ラゲドー氏は王でなくなった」
「今は心が変わって楽しく暮らしておるが」
「かつてはな」
「全く以てな」
それこそというのです。
「なっておらんかった」
「そうであったな」
「そうじゃ」
こう言うのでした。
「あれでは失敗するのも当然じゃ」
「自分だけではな」
「本当にな」
「そうしたことがわかることもです」
まさにとです、天使さんがここでも言いました。
「信仰の素晴らしさですね」
「全く以てな」
「ではこのままですね」
「宗教画もな」
全てというのです。
「このままな」
「ご覧になられますね」
「うむ」
笑顔での返事でした。
「そうさせてもらう」
「それでは」
天使さんは笑顔で応えてでした。
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