魔法絶唱シンフォギア・ウィザード ~歌と魔法が起こす奇跡~
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AXZ編
第162話:作られた日の出を明けて
戦いから一夜明けて、S.O.N.G.の移動本部として機能しているトレーラーの内部では、司令である弦十郎が苦虫を嚙み潰したような顔をしながら口を開いた。
「敗北だ。徹底的にして完膚なきまでに……」
「遂に現れたパヴァリア光明結社統制局長、アダム・ヴァイスハウプト。そして……」
「錬金術師共のファウストローブッ!」
弦十郎の言う通り、先の松代での戦いはS.O.N.G.側の完全なる敗北と言う形で幕を閉じた。前線で戦っていた装者の内、奏を除く初期メンバーと言える響達3人は決戦兵装であるイグナイトモジュールを容易く打ち破られた。何をどうしたのか、何をされたのかも分からぬままの敗北は、装者達の心に苦い記憶として刻まれる事となる。
「打ち合った瞬間にイグナイトの力を無理矢理引き剥がされたような、あの衝撃は……」
特に何かをされたと言う感じはしない。本当にただぶつかり合っただけで、イグナイトモジュールを強制的に解除させられた。力を無理矢理引き剥がされたあの感覚は、心身ともに翼達にとって大きな衝撃として記憶に刻まれていた。
何がどうしてああなったのか未だに分からない。ともすればあれは夢だったのではないかとすら思ってしまう。
その答えは、錬金術に関する高い知識を持つアルドにより齎された。
「あれは、恐らく賢者の石の力によるものです」
「賢者の石……確かに言っていた……」
アルドの言葉に響はサンジェルマンと対峙した時の事を思い出す。確かにあの時、彼女は賢者の石と言う単語を口にしていた。
だが響と違い立ち塞がる形で対峙していた奏は、その時彼女達が気になる事を口にしていた事も思い出していた。
「そう言えば、純正がどうとか言ってた気がするけど……」
「それは恐らく、あの賢者の石が生み出された経緯にあります」
「と言うと?」
何やら意味深なアルドの発言に弦十郎が問い詰めると、彼女は少し言い淀んだ後小さく息を吐き続きを話しだした。
「……以前、ジェネシスは人々を集めサバトを行い、それによって配下となる魔法使いを増やしているとは話しましたね?」
「あぁ、あの胸糞悪くなるような話ね」
「ペテン師達はそれを防ぐ為に戦って来たんだよな?」
「そう。ですが、実はサバトによって得られるのは実は魔法の才能の開花だけでは無いのです」
実を言うとウィズが積極的にサバトを潰しているのは、人々を救うと言う事は勿論だが同時に”もう一つ”の理由を防ぐことも視野に入れての事であった。
と言うより、ある意味ではそちらこそが本命と言う見方も出来る。
何を隠そう、サバトによって生み出される物質こそが賢者の石に他ならないのだから。
「賢者の石が、そんな方法でッ!?」
その話を聞いて尤も驚きを露にしたのはこの場でアルドに次いで錬金術の知識を持つエルフナインだった。キャロルから錬金術に関する知識を受け継いでいる彼女は、当然賢者の石の精製についても知識を持っている。だがそれは錬金術的に構築した、触媒としての賢者の石であった。
万象黙示録により解析された世界構造のデータを用いて構成される錬金思想の到達点にしてその結晶体。完全を追い求める錬金術の推移の結集。
だがそれは颯人により防がれた為、本来であれば手にする事ができない物の筈だったのである。
それを別の方法で手に入れたと言うのは、錬金術の知識しかないエルフナインにとって衝撃的な事実であった。
「サバトとは、元々人々の中に眠る魔法の力を開花させる技術。ですが全ての人々が同等の才能を持っている訳ではありません。才能を開花させても微々たる魔力しか持っていない者も居れば、逆に膨大な魔力を秘めている場合もあります」
「そしてその才能も、強い精神力が無ければ開花と同時に本人の身を滅ぼしてしまいかねません」
問題となるのはその身を滅ぼすほどの強さを秘めた魔力の向かう先だ。颯人の様に魔力を制御し己が力とする事ができれば問題ないが、膨大な魔力を持つ者が無理矢理才能を開花させられた結果耐えきれず息絶えた場合、その秘められていた魔力はどうなるのか?
その結果が人々の想いの凝固であり、それにより生まれるのが賢者の石なのである。つまり、サバトでは新たな魔法使いと同時に賢者の石も生み出されるのだ。
「実は以前、まだ颯人が二課に加入する前にですが、サバトを防ぎきれなかった時に賢者の石が生成されてしまった事があるのです」
「えっ!? そうなの!? その賢者の石は今どこに?」
「もうそれはありません。櫻井女史、あなたを蘇らせる為に砕け散りましたから」
「ッ!? あの時の指輪かッ!」
ルナアタック事変の最後、颯人がフィーネから了子を引き剥がす時に使った魔法。弦十郎の想いを糧に起こした奇跡の源こそが、賢者の石を使って作り出された指輪だったのだ。
そしてウィズがそうして賢者の石を手に入れられたと言う事は、サンジェルマン達が満床黙示録に頼らず賢者の石を手に入れた方法にも見当がつく。
「錬金術師の連中も、サバトやって賢者の石を手に入れたのかな?」
「と言うより、ジェネシスが作り出した賢者の石を奪い取ったのでしょう。サバトを行う為には色々と手間の掛かる準備を要します。自分達でそれをするくらいなら、勝手にやってくれる連中の成果を奪う方が簡単です」
つまりパヴァリア光明結社は、人々が犠牲になるのを黙って見て、そして目的の物が出来たらそれを横からかすめ取ったと言う事だ。悪辣なやり方に奏は反吐が出そうだった。
「そんな連中が颯人を……クソ」
――サンジェルマン……あの方でも流石にそれを黙認するとは思えませんが……まさか――
顔を顰める奏の前で、アルドは顎に手をやり何事かを考えこむ。
一方、響は賢者の石の入手経路以上にそれの何がイグナイトモジュールを打ち破ったのかが気になった。
「でも結局、何でイグナイトが解除されたんだろう?」
「それは、賢者の石の持つ性質です」
首を傾げる響にエルフナインが分かり易く説明する。
賢者の石とは卑金属を金に変える際の触媒であり、人間に不老不死の永遠の命を与える霊薬。つまり、病を始めとする不浄を正し、焼き尽くす作用をもって浄化するのだ。それは即ち、呪いと言う悪しき力を浄化する事も可能と言う事。
「とどのつまりはイグナイトの天敵……、この身を引き裂かんばかりの衝撃は、強制解除によるもの……」
「決戦仕様である筈が、こっちの泣き所になっちまうのかッ!?」
何とも頭の痛い問題である。イグナイトモジュールを制御するのにだってかなりのリスクを負い、困難を乗り越えて手に入れた力だと言うのにそれが逆に弱点となってしまっているのだ。あれだけの苦労が水の泡になったなど、考えるだけで気が滅入る。
憤りを露にするクリスに対し、響は今この場に居ない人物達へと思いを馳せた。
「マリアさんと颯人さん……大丈夫かな?」
***
数時間前…………
突如姿を現したパヴァリア光明結社の統制局長、アダムは手の上に作り出した小さな太陽の様な物を更に強く輝かせた。するとその瞬間彼の衣服が燃え尽きる様に消し飛び、引き締まった裸体が露わとなった。
「何を見せてくれるワケダッ!?」
唐突に男のストリップショーを見せつけられ、プレラーティが忌々し気に口走る。実際それはこの場の全員の気持ちの代弁だっただろう。何が悲しくていきなり見ず知らずの男の裸体などを眺めなければならないのか。アダムが手にする光が逆光となっている為見える部分は限られているのだが、正直に言って目のやり場に困る。
だがそれでも彼女達に彼から目を離すと言う選択肢はなかった。目を離せば最後、次に何が起こるか分からないからだ。
そしてその予想は正しかった。
「金を錬成するんだッ! 決まっているだろう? 錬金術師だからねッ! 僕達はッ!」
そう言ってアダムが光の珠を頭上に掲げると、光は更に強く大きく輝いた。その様は正しく小型の太陽。嘗て魔法少女事変においても、行き場を失った獅子機の魔力の暴走が小型の太陽に例えられた事もあるが今度はその比ではない。
後方で観測していたエルフナインは、アダムの手の中で何が行われているのかを理解した。
「まさかッ! 錬金術を用いて、常温下での核融合をッ!?」
核融合とは正しく太陽の光と炎の源。核分裂で留まっている人類が、未だ完全に手にする事の出来ていないエネルギー源。それをアダムは、超常の力を用いているとは言え片手でそれを成し遂げているのだから驚愕に値する。
その一方で、朔也が別の問題に声を上げた。
「新たな敵性体に加え、交戦地点にて、アガートラーム、シュルシャガナ、そしてイガリマの反応を確認ッ!」
「マリアさん達がッ!?」
朔也からの報告に慎次が思わず目を見開く。彼女達は今住民の避難誘導に努めている筈なのだ。
「LiNKERを介さずの運用ですッ! このままでは、負荷に体が引き裂かれますッ!」
あおいの言う通り、マリア達3人は身を引き裂かれるような激痛を堪えながらアルカノイズと戦い、そして響達を救出すべく戦場へと赴いていた。現場には既に颯人達魔法使いが居るとは言え、動けない響達を守りながらでは全力を出す事が難しい筈。彼女達は少しでも彼らが戦いに集中できるようにと、己が身に鞭打って行動しているのだ。
「仲間の危機に、ただ指を咥えて見ているなんて出来ないわッ!」
「我が身可愛さに、尻込みなんてしてられないデスッ!」
「今、戦わなければ一生後悔するからッ!」
仲間の為、己が矜持の為、捨て身の覚悟で前に出る彼女達を止められる者など居ない。
マリア達の決死の参戦に気付いたと言う訳では無いが、サンジェルマン達パヴァリアの幹部3人は撤退に移った。それは偏に、これからアダムがやる事に巻き込まれない為にだ。
だがその際にサンジェルマンは、颯人にも後退を促す事を忘れなかった。
「くっ! 逃げなさいッ! このままだと、局長の黄金錬成に巻き込まれるわッ!」
言いながらサンジェルマンは転移結晶を地面に叩き付けその場から姿を消した。それに続く様に、カリオストロとプレラーティも錬金術で後退した。
後に残されたのは颯人達と、今正に錬金術を発動しようとしているアダムのみ。
その様子を計測している朔也は、計器が叩き出した結果に信じられないものを見たような声を上げた。
「膨張し続けるエネルギーの推定破壊力、10メガトン超ッ!」
「ツングースカ級だとぉッ!?」
1908年にロシア帝国で起こった隕石の大爆発。直径50~60メートルの隕石が上空で爆発し、爆心地から半径30~50キロメートルの森林が炎上、約2,150平方キロメートルの樹木が薙ぎ倒された他、1,000キロ離れた家の窓ガラスも割れたほどの大爆発、それがツングースカ大爆発である。
東京都を丸ごと飲み込むほどの爆発力を、アダムは片手で扱い今正に下に振り下ろそうとしていた。
「ヤバい、逃げろ皆ッ!?」
もうあれは止められないと、颯人が全員に避難を呼び掛ける。そんなの言われるまでもないと、マリア達は倒れた響達を担いでその場を離れ奏とガルド、透もそれをサポートした。
だがただ1人颯人だけはその場に残り、それだけに留まらず逆にアダムへと立ち向かっていった。
「え、ちょ、颯人ッ!?」
「あのまま放っておいたら、どれだけの被害になるか分からねぇ! 少しでも被害を抑えてやるッ!」
「――そうらッ!」
自分に向けて立ち向かってくる颯人を見下ろしながら、アダムは火球を投げつける様に振り下ろした。
視界を埋め尽くすほどの劫火を前に、しかし颯人は怯む事無く突き進む。
「そう言う事にばっか、力使ってんじゃねえよッ!!」
気合を入れる様に颯人が吼えると、それに呼応して彼の内に宿るドラゴンが咆哮を上げた。するとその瞬間、彼の身から飛び出したドラゴンがウィザードの姿をオールドラゴンへと変え、大きく翼を広げてアダムの放った黄金錬成を受け止めた。
その事に誰よりも驚愕したのはアダムであった。
「何ぃッ!?」
己の錬金術が、たかが一人の魔法使いの小僧に受け止められている事実が信じられない。しかも颯人は受け止めるだけに留まらず、徐々にだが黄金錬成の魔力を打ち消していた。次第に太陽の如き輝きが小さくなっていくのを、アダムは唇を震わせながら見ていた。
「な、なぁ……!?」
「ぐ、ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ……!!」
驚愕のあまり思考が停止するアダムだったが、颯人の方も余裕がなかった。何しろ東京都を丸ごと飲み込むのではないかと言う程のエネルギー、本来であれば受け止める事等出来る筈がない。
だが今彼が考えているのは、これ以上人々に犠牲を出さない事。何より、奏を守る事であった。
しかしそれでも限界と言うのは近付いてくる。一時は勢いを失いつつあったアダムの黄金錬成だったが、時間が経つにつれて勢いを取り戻し逆に颯人を飲み込みつつあった。
灼熱の劫火が身を焼く苦痛に、颯人の口から苦悶の声が上がる。
「う、ぐ……ぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁ……!?」
「燃え尽きたまえよ。そのままッ!」
颯人の行動が無駄な抵抗と分かり、アダムは余裕を取り戻した。その彼の予想が正しい事を証明する様に、拮抗が崩れた颯人は弾かれるように吹き飛ばされた。
「颯人ッ!?」
吹き飛ばされた颯人を奏が受け止める。ウィザードに変身している為中身がどうなっているかは分からないが、身に纏っている鎧に関して言えば焼け爛れてボロボロになっていた。これでは中身の方も決して無事とは言い切れない。
急いでその場を離れるべく、力尽きて動かなくなった颯人をマリアと共に担いで逃げる奏。
その背後でアダムの放った黄金錬成が地上に炸裂し、灼熱の劫火を周囲に広げていく。地上の全てを飲み込まんとする炎が、一番最後尾を行く颯人達に到達した。
全身を焼き尽くされそうなほどの熱量をその身に受けつつ、奏とマリアは諦めずに走り続けた。
「例えこの身が砕けてもぉぉぉッ!」
「諦めて、堪るかぁぁぁッ!」
魂からの言葉を吐き出す様にマリアと奏が吼える。するとその声に呼応するように、2人が纏うギアが仄かな光を発した。
瞬間、颯人が目を覚ましたように顔を上げ――――
そして辺り一面が強い光に包まれた。その光は遠く離れた避難場所にまで届き、夜だと言うのに昼間と見紛う程の明るさになる。
だがその光は長くは続かず、唐突に収縮し小さくなって消えていった。
光と炎が消えた場所、そこは風鳴機関の中枢がある筈の場所。だがそこは先程まであった山が抉れるように消し飛び、後には火山の火口の様に赤く熱を持った穴だけが大きく口を開けていた。
その穴の上で、全裸のアダムは手の中に小さな金色の珠を持って笑っている。
「ほう……。ははははははッ! ビタイチかッ! 安いものだなッ! 命の価値はッ! ふはははッ! はははははッ!」
風に乗って流されるアダムの哄笑。それを聞きながら、意識を取り戻したクリスが大穴を見ていた。
「何が……一体、どうなって――」
「風鳴機関本部が……跡形もなく……?」
クリスと共に風鳴機関本部があった場所を呆然と眺める翼。その後ろで、響と切歌達が最後尾に居た筈のマリア達の姿を探していた。
「マリアさん達はッ!?」
「マリアーッ!? 奏さーんッ!? 何処デースッ!?」
辺りは瓦礫も散乱しており、何処に誰が居るかも分からない状況。その中で響達は姿の見えない颯人達の姿を探した。
すると、穴の縁の瓦礫の一つが大きく揺れ動き、下から奏が瓦礫を持ち上げて立ち上がった。
「――ぶはっ! ふぅ……こっちだ!」
「奏さんッ!」
「奏ッ! 大丈夫なのッ!」
「あぁ。颯人とマリアのお陰だよ」
あの瞬間、マリアが手助けしてくれたからここまで逃げ切る事ができた。そして何より、最後の最後で颯人が力を振り絞って彼女達の事を守ってくれたのだ。お陰で3人共大きな外傷はなく、マリアもまたギアの無茶な運用で体に負担を掛けつつも五体満足で居られた。
「生き……てる……?」
消耗して朦朧とした意識の中で、それでもマリアは自分が生きている事を実感して安堵と疲労に息を吐いた。
だが颯人は相当無茶をしたのか、既に変身も解除され意識を失いピクリとも動かない。息はしているので死んでいない事が幸いだが、それでも医者に急いで見せた方が良い事は明白だった。
こうして奏達は、風鳴機関本部を守りきる事も出来ず、また颯人にマリアの2人を東京の病院に搬送されると言う事態になってしまったのだった。
***
そして現在、響は搬送された2人に思いを馳せていた。
不安を思わず口にしてしまう響。だが彼女は口に出してからそれを後悔した。この場で誰よりも2人の身を案じているのは、最後尾に残っていた中で唯一ピンピンしている奏自身の筈なのだ。響は言ってから慌てて口を手で塞いだ。
「ぁ……!?」
「そんな気にしなくていいよ響。2人ならきっと大丈夫だって」
「精密検査の結果次第だけど……奇跡的に大きなダメージは受けていないそうよ」
「颯人の場合は魔力の過剰行使による疲労が主な原因です。直ぐに戻ってきますよ」
「きっと……無事です」
奏に続いて、あおいにアルド、そしてエルフナインが響を元気づける。だがあおい達の言葉は、同時に奏に対しても向けられた言葉でもあった。特に颯人の安否に関しては、誰よりも奏が気になっている事の筈だ。
アルドからも墨を付けてもらい、奏の表情が若干和らいだ。
「な?」
「は、はい……そうですよね。大丈夫……絶対」
奏と響の不安を取り除く事に成功したアルドとエルフナイン。だが2人は何てことは無い風を装いつつ、脳内では思考を巡らせていた。
――あの時、颯人は指輪を介さずオールドラゴンへと至った。何故? 指輪もタイマーも使わず、ファントムが自らの意志で飛び出した? 颯人の魔力は既に限界まで熟した筈なのに?――
――LiNKERを介さないギアの運用。ましてやイグナイトによる身体への負荷。絶唱級のバックファイアを受けてもおかしくなかった筈……なのに……――
極力表には出さないようにしつつ、明らかな異変に内心で頭を抱える2人。そしてもう1人、ある事で疑問を感じ奏に注目しているものが居た。
それは了子だった。彼女は先の戦闘の最中、奏のバイタルを計測している時に明らかな異変を目にしていたのである。
――あの炎に巻き込まれる直前、奏ちゃんのLiNKERは確かに限界時間を過ぎていた筈。にも拘らず、適合係数は下がるどころか逆に上昇してる?――
S.O.N.G.が誇る頭脳班が各々、不可解な現象に頭を悩ませる。
その不可解な現象が後々大きな波紋を生むのだが、この時の彼女達にそれを知るすべはなかった。
後書き
と言う訳で第162話でした。
今回はちょっと変則的に、一旦原作5話冒頭に入ってから4話ラストを振り返ると言う形でお送りしました。
大きな違いとしては、アダムの黄金錬成を颯人が受け止めようとしたところですね。当初は颯人により一度はアダムの黄金錬成が完全に防がれ、続く二発目で奏達に助けさせる予定でしたが流石に颯人が凄すぎる事になってしまうので、僅かに拮抗した後に吹き飛ばされると言う形で落ち着きました。
執筆の糧となりますので、感想評価その他よろしくお願いします!
次回の更新もお楽しみに!それでは。
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