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蕾の少女

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第二章

「誰を好きになってもね」
「子供のことか」
「だから私達はね」
「親として見守るか」
「そうしましょう、むしろあの娘もね」
 青空、自分達の娘がというのだ。
「誰かを好きになる位まで成長した」
「そのことをか」
「お祝いしてあげましょう」
「そうすることか」
「ええ、二人でね」
 夫に笑顔で話した、そうしてだった。
 二人で紅茶を飲んだ、その紅茶はミルクティーでそれぞれ砂糖も入れたのでかなり甘いものであった。
 これまでは青空もそうした紅茶を飲んでいた、だが。
 ある日だ、彼女は朝母にこんなことを言った。
「お母さん、ロイヤルミルクティーにして」
「えっ、ロイヤルって」
「ホットミルクを入れた」
 紅茶にというのだ。
「それにして」
「いいけれどどうしたの?」
「いや、ミルクティーよりもね」
 娘は母にこう答えた。
「恰好良いしそれにね」
「それに?」
「あっ、何でもないわ」 
 そこから先はだった。
 青空は急に戸惑った感じになってだ、こう言った。
「気にしないで」
「そうなの」
「ええ、それでお砂糖は入れないで」 
 それでというのだ。
「それで飲むわ」
「そうするのね」
「ええ、これからね」
 こう言ってだった。
 青空はこの日から紅茶はロイヤルミルクティーそれも砂糖を入れないものを飲んでいった。そうしてだった。
 ファッションにも気を使う様になった、服は子供用のファッション雑誌を参考にする様になってだった。
 ツインテールを止めてロングヘアになった、そうして。
 仕草もお洒落になった、修はそんな娘を見て言った。
「間違いないな」
「あなたもわかったわね」
「うん」
 妻に確かな声で答えた。
「もうな」
「誰か好きな人がいるのよ」
「それでだな」
「もうね」
「その人の好みもか」
「知ってね」
 それでというのだ。
「ああしてよ」
「お洒落もか」
「していってるのよ」
「何かな」
 夫は妻の話をここまで聞いてだった。
 考える顔になって腕を組みこう言った。
「完全に恋する乙女だな」
「そうよ、まさにね」
 妻はその通りだと答えた。
「今のあの娘はな」
「相手の好みを知ってか」
「それに合わせてね」
「お洒落をしてか」
「それで背伸びもしてよ」
 このこともあってというのだ。
「変わっていってるのよ」
「そうなんだな」
「まだ子供って思ってるでしょ」
 くすりと笑ってだ、妻は夫に問うた。 
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