FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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共闘の虎
前書き
最近こちらのサイトFAIRYTALEの二次創作誰も更新しないからなんか孤独感半端じゃない・・・
ハーメルンの方もたまに見てますがあっちはめっちゃ稼働してますよね、この差はなんなんだ・・・
五神竜を倒せるほどの兵器と言われているアテナ。彼女が在籍しているという錬金術ギルド・ゴールドオウルに俺たちは向かっているのだが・・・
「もう二度と船には乗らん・・・」
「誰か助けて・・・」
「ううう・・・」
俺たちは安定の乗り物酔いになっており、床に倒れ込んでいる。
「なんであんたたちがいるの?」
「ギルティナには行ったことなかったので一度行ってみたくて・・・」
「乗り掛かった船だ」
その船に一緒に乗船している剣咬の虎のみんな。もちろん滅竜魔導士の三人は俺たちと同様に乗り物酔いで干からびている。
「やれやれ・・・遊びじゃねーんだぞ」
「まぁ、味方は多いに越したことはない」
「そういうことだ。白魔導士はゼレフと対を成すと呼ばれた存在」
乗り掛かった船なのはジェラールさんも同じだったようで、彼も同席している今回。その際ハッピーたちに茶化されていたみたいだけど、彼は顔を真っ赤にして否定していた。
「少し話をまとめようではないか。その白魔導士アテナは兵器として作られた人形。エレフセリアの弟子が作った」
「そのお弟子様はどうなったのですか?」
「もう100年も昔の話だ・・・とっくに亡くなっていると聞いた」
普通の人間は100年以上も生き続けることはあり得ない。ゼレフや初代が特殊な例ではあったけど、普通はそんなこと起こり得ないのだ。
「エレフセリアもアテナが兵器としかわかってなかった。存在は知ってたけど実際に見たことはなかったのね」
「兵器として生まれたアテナはやがて白魔術教団リベリアスを創設する」
「人形が人の上に立つってのもスゲー話だな」
そのアテナに成り代わり白魔導士として君臨していたのがファリスさんなんだけど、彼女の行動理念としてはエレンティアを救うことだったのでほとんど白魔術教団での活動はしていなかったらしい。
「だが突然失踪・・・今は錬金術ギルドの一員となっている・・・」
「全く経緯がわからん」
なぜ魔導士が錬金術ギルドにいるのか、なぜ突然白魔術教団から姿を眩ましたのか、謎が多すぎる。
「それにそのゴールドオウルってギルド、北の大陸じゃ有名なんですよね?」
「うん・・・ディアボロスの反応だと有名人とかもいるみたい」
ゴールドオウルとディアボロスはギルティナ大陸に置いて錬金術ギルド、魔導士ギルドの頂点にいる。それぞれの情報はそれなりに持っているはず。
「だけどアテナの存在までは知らないとなると・・・」
「最近まで隠されていた・・・あるいは最近加入した」
「フローもそーもう」
それだけ有名なギルドならある程度メンバーの情報は漏れるはず。うちなんて至るところから知られていることもあるくらいだし。
「とにかく、ソラノが情報を掴んだというフィランの街まで行ってみよう」
「念のためセレーネにも手紙を書いておくとするか」
「そ・・・それはあたしがやる」
まずはその場所を目指すことで話がまとまっている様子。ただ、俺たちはこの乗り物酔いが早く終わることを祈りながら、静かにその場に伏せていた。
ギルティナ大陸南東にあるフィランの街。この街には鉱脈があるらしく、錬金術で使う貴重な鉱石もたくさん取れるんだとか。
「錬金術ねぇ・・・」
「この街はギルドとも深い繋がりがあるのだろうか」
「ゴールドオウルってギルドが街の一部になってるんだろうな」
街の様子を見ながら三大竜がそう言う。ただ、俺たちはそんな彼らの声は聞こえていなかった。
「おい見ろよ!!かっけぇ石がいっぱい売ってる!!」
「ホントだ!!」
「きれー!!」
「ガジルは宝石も食べられるのかなぁ?」
「鉄と宝石は全く違うのよ」
「ガジルくんなら気にせず食べそうだけどね~」
鉱石がたくさん取れることもあってか、至るところにある出店で宝石や見たことがないような石がたくさん売っている。せっかくなら買おうかとも思ったけど、値段を見て俺はそっと財布をしまったけどね。
「よし!!この宿を中心に情報収集といこう」
「ミネルバ様、この街には素敵なカフェがあるようですよ」
「観光する気満々じゃねーか」
「フローもそーもう」
荷物を宿泊する宿へと置いた俺たちはさっそくアテナの情報を入手するために行動を開始する。剣咬の虎の皆さんは手伝いというより観光のような感じになっていたけど・・・
「なんでセイバーの奴らがついてきたんだ・・・」
「手伝ってくれる感じでもないし・・・」
「まぁまぁ、たまにはいいじゃないですか」
「賑やかでいいよね~」
「てかあんた服!!」
いつの間にか着ていた服を脱ぎ捨てていたグレイさんは上半身裸になっている。その格好だけで不審者なのだが、直後に緩んだ顔を見せる彼はよりいっそう変質者という言葉がお似合いになってしまう。
をそれにしてもフロッシュはかわいいよなぁ」
前々から思っていたけど、彼はローグさんの相方であるフロッシュのことが大のお気に入りのよう。その顔は普段の印象を一瞬で吹き飛ばしてしまうほどにゆるゆるになっている。
「キモッ!!顔キモッ!!」
「そういうこと言わないの~」
それを見ていつにもまして口が悪くなっているシャルル。そんなシャルルをセシリーが宥めていた。
「シャルルだってかわいいよ」
「セシリーもまぁまぁだよ」
「別に張り合ってないんだけど!!」
「まぁまぁって何~!?」
ウェンディと俺がフォローすると火に油を注いだようでますますヒートアップするシャルル。セシリーはなんだか不貞腐れてたけどーーー
「!!」
反応が面白い二匹を見ていたところ、誰かから見られているような気がしてそちらに視線を向ける。ただ、人が多すぎてその正体が誰なのかはわからなかった。
「どうしたの?シリル」
「いや・・・」
誰かに見られているのかと思っていたけど、どうやら気のせいのようだ。いや、正確に言えば気のせいではないだろう。ただ、誰か一人に見られているわけではない。その理由は・・・
「あの愛嬌がある感じが可愛いんだよなぁ」
上半身裸で、満面の笑みで、俺やウェンディといった少年少女に話しかけているグレイさん。その姿が端から見ればショタコンロリコンの類いに見えているのだろう。街の人全員がこちらを見てヒソヒソと話しているのが耳に入る。
「ぐ・・・グレイさん!!早く行きましょう!!」
「あ?どうしたんだよ急に」
彼の手を引き人気が少ないところへと向かうことにする。ここでこんな格好の彼が居続けたら、不審者として通報されかねない。そう考えた俺たちは人通りの多い通りを外れ、別の道へと入る。
「はぁ・・・これでひと安心か」
突き刺さるような視線から逃れることができた俺はホッとひと安心。ただ、おかげで街の中心部から外れてしまったため、情報収集はしづらくなってしまったか。
「全く・・・どうしたんだよ突然」
「気にしなくていいですから」
「ほら!!早く行きましょう!!」
ウェンディもその痛い視線に気が付いていたらしくそれから解放されて安堵している様子。唯一そのことに気が付いていなかったグレイさんだけは、訝しげな表情を浮かべていたけど。
「物質の絆!!」
とりあえず真っ直ぐ進もうとしていたところ、背後から聞こえてくる何者かの声。それに気が付いて振り向いた時にはもうすでに遅かった。
パッ
「な・・・なんだ!?」
「身体が・・・」
「宝石に!?」
「動けない・・・」
「えぇ~!?」
突然身体が宝石へと変えられてしまい動けなくなってしまう俺たち。そんな俺たちの元へ歩み寄ってくる顔に刺青を入れた人相の悪い男。
「後はこの宝石を回収して・・・本部で元に戻す・・・あれ?思ったより簡単だったな。他の奴はうまく行ってるかな?捕獲」
何が起きているのかわからずそのまま連れ去られる俺たち。動こうにも動けない危機的状況に陥った俺たちは訳がわからないまま、その男に弄ばれるように運ばれていった。
グラシアンside
宿に戻ってきた俺たち。そこには全員が集まっているはずだったんだが・・・
「遅ぇ!!みんなして迷子になりやがって」
俺たち剣咬の虎は全員が揃っているんだが、情報収集に動いていたはずの妖精の尻尾のメンバーがナツ以外戻ってこない。指定された時間はとっくに過ぎているというのに。
「意外だなぁ、一番ナツさんが時間にルーズそうなのに・・・」
「エルザさんなんかは時間きっちり守りそうですもんね」
「まぁうちは誰一人守ってなかったけどな」
「だって色々あったんだもん!!」
いかにも俺たちは時間通りにここに集合したような雰囲気だが、フィオーレでは見たことがないようなものが多すぎて時間を大幅に遅れて宿に戻ってきている。ただ、その時は誰もいなかったためいかにもな雰囲気を醸し出しているだけだ。
「少し心配だな、誰一人として帰ってこないというのは・・・」
「フローもそーもう」
ただ、ナツだけが戻ってきていて他の誰も戻ってきていないのは少々違和感がある。遅れているにしても、どこか一組くらいは戻ってきていてもいいはずなんだが・・・
「捜しに行きましょう」
「待て・・・それよりも一つ気になることがある」
心配になり探しに動こうとした俺たちだったが、お嬢は先ほどナツから聞いた話が引っ掛かっているようだ。
「ナツ・・・炭鉱夫ギルドなる輩に絡まれたと言ったな」
「あぁ・・・全員燃やしちまったけど」
錬金術ギルドも聞いたことがないのに、炭鉱夫ギルドという謎のギルドが現れ襲撃してきたらしい。ただ、ナツはくしゃみ一つで全員を吹き飛ばしてしまったらしいが。
「奴らは妖精の尻尾だと確認した上でナツに絡んだ。その上錬金術で鍛えた武具を持っていた」
「何か引っ掛かりますか?」
お嬢が何に気付いたのかわからず問いかけるユキノ。それを聞いて俺たち三人は何が言いたいのかおおよそわかった。
「昼間・・・街を回って気づいたことがあるだろう」
「穴がいっぱいあるー」
「炭鉱だ」
「鉱石を掘り出してるんだろ」
至るところから鉱石が取れるから炭鉱夫ギルドが成り立っており、そいつらが力を持っているのもうなずける。
「宝石屋も多かったですハイ」
「それだねじゃねぇ・・・薬屋も多い」
「至るところにあったよね」
同じような店がところ狭しと配置されていた。そしてこれらには全て共通点がある。
「うむ・・・この街は錬金に使われる素材を多く取り扱っておるのだ。予想通りゴールドオウルと深く繋がっている街と言えよう」
「それが何だって言うんだ」
それを聞いてもいまだに理解が追い付いていない様子のナツ。いや、うっすらと理解はしているのだろう、その目は鋭くなってきている。
「ゴールドオウルの命令で街全体が妖精の尻尾を見張っているとしたら?」
「何のために・・・」
「そのまではわからん。だが・・・ゴールドオウルの命令で街が動いた。その結果・・・ナツは相手を撃退したが他の者たちはやられてしまった」
実に的を射ているお嬢の推測。ただ、それを聞いてどこか納得できない気持ちもあるにはある。
「バカ言うなよ!!エルザさんやグレイさんがそう簡単に・・・」
「あぁ・・・俺もシリルたちがやられるとは思えない」
スティングとローグの言う通り、まともにやり合えばあいつらが負ける確率は相当に低い。
「普通に考えればそうだろうな、普通に考えればな」
「何が言いたいんだよ」
「相手は錬金術師。魔導士ではない。今までの道理が通じる相手ではないのだ」
錬金術がそもそもどんなもんかイマイチわかっていないが、不意打ちや物量による襲撃などやりようはいくらでもある。そのことを突かれナツは背けてはならない現実に気付かされたようだ。
「なんでゴールドオウルが妖精の尻尾を・・・」
「そりゃ色々やりすぎるギルドだからな」
「ディアボロスとかいうのを倒したからだろ?有名なギルドならなおさら」
大陸一の魔導士ギルドを撃破したとなればその情報は当然出回る。それによってその戦いに参戦していたメンバーの情報が漏れていれば、似た特徴の者がいれば襲撃の対象になってもおかしくはない。
「捕まったのか・・・」
「何!?」
すると、ナツが何かを思い出したらしく顔をうつ向ける。その表情は後悔の念に駆られていた。
「奴らの一人が言ってた。連れてくつもりだったって・・・あいつら・・・」
ベッドを殴り付けて立ち上がるナツ。彼はそのまま扉へ向かって走り出した。
「今すぐ助けに行くからな!!」
「待ちなよ」
扉に手をかけた彼を呼び止める。こうなったらもう乗りかかった船だろう。
「妖精の尻尾はお前一人しかいないんだ」
「剣咬の虎が力を貸すぜ」
こうなったからにはとことん付き合ってやる。彼一人で仲間を助け出せないわけではないが、何もやらないのもギルドの恥だ。
「いや・・・セイバーに入る気はねぇ」
「誰が入れるかー!!」
「こっちから願い下げだー!!」
「こっちもそんな気はないが」
「フローもそーもう」
真面目な顔で強烈なボケを放つ火の竜に突っ込まずにはいられない。彼は冗談冗談と笑って見せたので、今回は水に流し俺たちはすぐさま行動に移った。
それから俺たちはこの街にある炭鉱ギルド・ガガロックを襲撃していた。
「も・・・もうか・・・勘弁してくれ~。黄金の梟の連中に頼まれただけなんだよ~」
顔面がアザだらけのマスターらしき人物。その後ろにいるメンバーたちも全身血まみれのアザだらけになっており、何だか可哀想な気持ちになる。いや、やったのは俺らなんだが。
「何のために俺の仲間をさらったんだ?」
「し・・・知らねぇよそんなの」
「みんなはどこにいるんだよ」
ナツの問いかけ。俺はその際目の前の男の一挙手一投足から目を離さない。
「ギルドだろ!?黄金の梟!!俺は妖精の尻尾を捕まえてこいって命令されただけなんだ~!!」
その言葉からはウソを言っているようには見てない。普通の人間から見ればな。
「ギルドの場所は?」
「町を出て北にいけばすぐに見えてくる!!」
「よし!!行くぞ!!」
「お嬢」
「待て・・・ナツ」
鬼気迫る表情と声だったが、それは演技のようにも見えた。いや、一部は本気なんだろうが、どこかは確実にウソを付いている。
「どうも妖精のやり方はぬるいようだ」
そのことをお嬢に伝えると、彼女は以前の悪そうな・・・いや、相変わらずの悪女のような笑みを浮かべると男の頭部を踏みつける。
「まだ隠していることあるよなぁ」
「ふごっ」
「妾は甘くないぞ?」
その圧力はどちらが正義でどちらが悪なのかわからなくなるほど黒く染まっており、味方であるナツですら引いているように見える。
「ナツさんの仲間に手ぇ出してただですむと思うなよ」
「知ってることは全部吐いてもらうぞ」
「俺たちの気を晴らした後にな」
後ろでユキノが止めてくるがレクター、フロッシュ、キセキがそんな彼女を止めてくれる。それにより枷が外れた俺たちはすでに満身創痍の男たちにさらなる追い討ちをかけていく。
「暴れたかっただけじゃねーのか?」
「イヤだなぁ!!ナツさんじゃあるまいし!!」
ギルドもボロボロメンバーもボロボロの散々な炭鉱ギルド。ただ、これは運が悪かったとしかいえない。スティングはマスターになってから外に出れる回数が減ったしお嬢もローグもこの間の天使との戦いの時にほとんど出番がなかった。かくいう俺もあの後しばらく動けなかったせいで久々のバトルだったし、フラストレーションが溜まってたところでのうってつけの相手とありその鬱憤を晴らした次第だ。
「おかげでみんなが連れて行かれた場所がわかった」
「まさか別々の場所とは思いませんでしたね」
「な?暴れて正解だっただろ?」
「結果オーライだけどな」
「フローもそーもう」
ウソを言っているとはわかってたけど、まさか全員が違う場所に捕まっていてそれを隠していたとは気付かなかった。てっきり全員同じ場所に集めるもんだという先入観があったからな。
「けどな・・・一瞬・・・ギルドのみんなと一緒にいる感じがした」
「何ですと!?」
「ホント!?」
最初は呆れていたナツだったが、急に笑顔になってそんなことを言い出した。
「ミネルバはエルザに見えたし」
「わ・・・妾がエルザに!?」
嬉しさ半分恥ずかしさ半分といった表情のお嬢。次に彼はユキノの方へ視線を向ける。
「ユキノはルーシィだろ」
「私がルーシィ様に?」
「グラシアンはグレイっほかったし」
「え?マジ?」
照れるユキノと意外と思った俺。確かにキャラは少し似てるか?とか思ってみたり。
「レクターはウェンディで」
「え?」
「フロッシュはシャルル」
「フローシャルルになるー」
「キセキはセシリーだ」
「わぁ!!ホントに!?」
そう言われて照れているエクシードトリオ。続いてナツはローグに視線を向けると、彼は誰が振られるのか何となく察しが付いているようですでに顔が赤い。
「ローグはシリルーーー」
「よし」
「ーーーのストーカーだし」
「なっ!?ち・・・ちが・・・」
誰に似てるかという話だったはずなのにまさかの発言に大爆笑の俺とスティング。よく見るとお嬢もユキノも口元を抑え、懸命に笑いを堪えていた。
「で、俺がナツさんってわけか」
「お前はハッピーだ」
「なんでだよ!!」
どこからともなく着ぐるみを取り出しそれをスティングへと被せるナツ。そう言ったナツは満足そうな笑みを浮かべていた。
「そう思えばこのメンバーも悪くない。ハッピーみたいに《あい》って言ってみろよ」
「言うかー!!」
「魚食う?」
「あい・・・乗っちまったー!!」
そんな茶番劇を見せられている俺たちはタメ息をつく。今はそれどころじゃないことをこいつはわかっていないのだろうか?
「ふざけてる場合じゃないぞ。ナツもだ」
「全員の居場所がわかったならやることはーーー」
「みんななら大丈夫だ」
早速彼らの救出に向かおうとしたところ、余裕の表情を浮かべたナツがそう言う。これにはお嬢も突っ込まずにはいられない。
「宿ではあんなに取り乱していたのにどうした?」
「もちろんすぐに助けに行くけどな。よくよく考えたらみんな不意をつかれたって話だろ?俺の仲間を甘く見んなよ」
今捉えられているのはエルザとジェラールのペア、シリル、グレイ、ウェンディとシャルルにセシリーのチーム。そしてルーシィとハッピーのペアだがそう考えるとそこまで心配はないか。一組を除いて。
「問題はルーシィくんとハッピーくんですね、ハイ」
「おい!!あの二人を何だと思ってんだ!!」
シリルとウェンディのペアは崩せないにしてもグレイはルーシィと行動しててもよかったんじゃないのか?と思ったが、あの人にはジュビアがいるから気を使ったのかもしれないな。昔ルーシィのことを恋敵とか言ってたらしいし。
「いやいやナツさん。捕らわれた美少女はどうなるか知ってる?」
「??」
最初はルーシィとハッピーからかなと思っていたところ、スティングが何か思い付いたのか、ニヤリと笑みを浮かべて話し始める。
「ちょっと恥ずかしい目にあってるかもしれねぇ」
「!!」
ルーシィはスタイルもいいし顔もいい。どんな奴に捕まっているのかは知らないが、もしここにいる炭鉱ギルドの奴らのような男だとあり得そうなだけに口を挟むのが憚られる。
「いや・・・妾ならもっとこう・・・」
「ちょっと!!スティング様もミネルバ様も!!」
お嬢の想像力は群を抜いているからわずかに耳に入った情報だけでもヤバイと思う。以前シリルとレオンのイタズラでソフィアを泡吹かせたことを思い出すな。
「なんて想像力がエロいギルドなんだセイバーってのは!!」
「あ!!ナツさん!!」
その妄想が響いたのか、ナツは血相を変えて走り出す。
「俺はルーシィとハッピーを助けに行く!!ルーシィっぽいユキノとハッピーっぽいスティングついてこい!!」
「え?」
「ハッピーっぽくねぇよ!!」
文句を言いながらも尊敬している相手には逆らえないようで猛ダッシュしていく彼の後をついていく二人。取り残された俺たちは顔を見合わせていた。
「・・・とのるとエルザっぽい妾がエルザとジェラールのところへいこう」
「グレイっぽいグラシアンくんとシリル・・・っぽいローグくん、それからウェンディっぽい僕とシャルルっぽいフロッシュ、そしてセシリーっぽいキセキが一緒ということですね」
「空気読んだね、レクター」
「シャルルっぽいー」
さすがにストーカー発言はしなかったレクターに感謝を心の中で言いながらも、俺たちはお嬢に視線を向ける。
「気を付けろよ、お嬢」
「一人で大丈夫か?」
「なーに、一番楽なコースではないか。エルザとジェラールだそ?本当に助けが必要だろうか?」
そう言われて納得する。あの二人の力は並以上だし、お嬢も相当な実力者だ。それに納得した俺たちは早速それぞれの担当が捉えられている場所へと駆け足で向かっていった。
後書き
いかがだったでしょうか。
ローグはシリルのストーカー発言がやりたかっただけの今回。でもグラシアンがいる限りグレイっぽさは彼の方が強い気がするのでこれは的確だと思う。「フローもそーもう」
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