機動6課副部隊長の憂鬱な日々
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第14話:僕らの出会いは・・・
《マスター,起きてください》
「ふぁー,ねみぃ。にゃんだよれーべん」
俺はレーベンに起こされた。時計を見ると,ちょうど起床時間だった。
「なんだ時間か。ありがとうレーベン」
《いえ,デバイスとして当然です。マスター》
俺は,身支度を整えると,朝食をとるべく食堂に向かった。
部隊発足からだいたい1週間たって,隊舎から浮ついた感じが
だいぶ無くなってきた。
食堂に向かう途中,後ろからスバルに声をかけられた。
「あ,ゲオルグさーん。おはようございまーす」
振り返ると,トレーニング服姿のフォワード達が歩いてきた。
「よう,おはよう。早朝トレーニング明けか?」
「「「「はい」」」」
「そっか,お疲れさん。」
「「「「はい,ありがとうございます」」」」
(どうでもいいけど,コイツら妙に揃ってるな・・・)
「ゲオルグさん。私たちこれから朝食なんですけど,
よかったら一緒にどうですか?」
スバルがそう言って俺を朝食に誘ってきた。
「俺もこれから朝食の予定だったからいいけど,いいのか?」
俺は,誘ってくれたスバルはともかく他の3人の意向を確認したかった。
今は,フォワード同士のコミュニケーションの方が大事だと考えたのもある。
「私も是非ご一緒したいです。ゲオルグさんのお話も聞きたいですし」
ティアナはそう言って,スバルに賛成した。
「僕も,ぜひご一緒したいです」
「・・・あの。わたしも」
エリオとキャロも同意してくれたので,
俺はフォワード4人と一緒に朝食をとることになった。
食堂への道すがら,俺は実質初対面の2人に対して,自己紹介をすることにした。
「そういえば,ライトニングの2人はまだ俺と話したことなかったよな。
俺は,ゲオルグ・シュミット。知っての通りここの副部隊長だな。
階級は3等陸佐だ。ゲオルグと呼んでくれていいぞ」
「エリオ・モンディアルです。」
「キャロ・ル・ルシエです。」
「「よろしくお願いします。」」
2人はそう言って,軽く頭を下げた。
「おう,よろしくな。エリオにキャロ」
食堂について,5人で1つのテーブルに座ると,目の前に小高い
山のようになったパスタがあった。
「これ,何人前?」
俺が誰ともなしに尋ねるとスバルが,10人前だと教えてくれた。
(若いからよく食う・・・って量じゃねえよな)
ちなみに,俺はいつもの朝食セットを食べることにした。当然1人前だ。
山盛りの大皿から自分の取り皿にどっさりパスタを盛り付けているスバルの
横にいるティアナが,俺に話しかけてきた。
「ゲオルグさんって,6課の前はどちらに居たんですか?」
「本局の情報部だよ。んで,はやて・・・八神部隊長に引き抜かれて
ここに来たってわけ」
「情報部ですか。どんなことをされてたんですか?」
「んー。それは,話しちゃいかん決まりになってるんだよ。悪いね」
俺がそう言うと,ティアナは残念そうな顔をした。
だが,情報部特務隊はその存在そのものが特秘だから,当然その任務内容も
特秘事項に該当する。おいそれと話せる内容ではないのだ。
(ま,聞いてもあまり気分のいい話じゃないしね・・・)
「でも,ゲオルグさんって陸戦Sランクの魔導士なんですよね。
しかも,空戦もそこそこできるって聞きましたし。
なのに情報部って,珍しいんじゃないですか?」
「よく知ってるね,ティアナ。なのはから聞いたのかな?」
ティアナに確認すると,ティアナは頷いた。
「まぁ,俺は2ランクのリミッタかかってるから,陸戦ランクもAA相当だし,
空戦はちゃんとしたランク取ってないけど,リミッタかかっちゃうと
いいとこCランクだからね。あんまり実戦では役に立たないよ。
あと,確かに情報部にいる魔導師は多くないけど,
全く必要ないかというとそうでもないんだな,これが」
「ほういへば,本局の情報部って,なんか特殊な戦闘任務を専門にしてる
部隊があるって,噂で聞いたことがあるなぁ」
スバルがパスタをほおばりながらそう言うと,
ティアナがスバルの頭を小突きながら文句を言った。
「あんたね,ちゃんと飲み込んでから喋りなさいよ。
こっちに飛んできたじゃない。あとね,あんたの言ってるのは
都市伝説みたいなもんでしょ。鵜呑みにしないでよ」
(・・・都市伝説なんかじゃなく,現実に存在するんだけどね・・・)
俺はそう思いながらも,そ知らぬ顔で目の前のソーセージを食べた。
「ゲオルグさんって,フェイトさんたちと前からのお知り合いなんですよね?」
次にエリオが尋ねてきた。
「うん。6課にいる連中は結構知ってるよ。
隊長陣は前から知ってるし,フェイトつながりでシャーリーなんかとも
会ったことはあるからね。あ,シャーリーとはもう会った?」
「はい,初日の訓練前に。ところで,フェイトさんたちとは
どうして知り合ったんですか?」
「みんな仕事がらみだよ。最初に知り合ったのはフェイトかな?
で,なのはとはフェイトの紹介でだね」
フェイトと俺が知り合ったのは,7年前になる。
その当時,俺は三尉でフェイトは執務官になりたてだった。
俺が魔導師として配属された時空航行艦の執務官としてフェイトが居た。
フェイトになのはを紹介されたのは,そのすぐ後だから,
例の事故から復帰してすぐのころだったと思う。
もっとも,俺がその事故について知ったのは少し後になってからだったが。
「じゃあ,八神部隊長とは・・・」
今度はキャロがおずおずといった感じで聞いてきた。
「はやてとも仕事でだね。あいつが追ってた事件に絡んでね」
はやてと出会ったのは,はやてが上級キャリア試験を受ける直前だから,
約6年前になる。当時あいつが追っていたテロリスト集団の拠点を
攻略する作戦に,作戦部の下級参謀として同行したのが最初だ。
「じゃあ,皆さんと出会ったのはたまたまなんですね」
「そうだね。今考えるとすごい偶然だね」
そのあとも,5人でいろいろ雑談をしていると,入口から
グリフィス駆け込んできた。で,俺を見つけると俺の方に走り寄ってきた。
「シュミット副部隊長,こんなところにいたんですか。
もう,会議始まりますよ」
俺は時計を見た。確かに,俺が主催の会議が始まる時間になっていた。
「ごめんな,グリフィス。話し込んでてすっかり忘れてたよ。
じゃあ,みんな。悪いけど俺は先に行くな」
「「「「はい!」」」」
フォワード4人は相変わらず揃った返事を返してくれた。
俺は,カップに残ったコーヒーを一気に飲むと,グリフィスと会議室に向かった。
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