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機動6課副部隊長の憂鬱な日々

作者:hyuki
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第11話:結成!機動6課

いよいよ,機動6課結成の日が訪れた。
俺は,隊舎のロビーで結成式の準備を進めていた。
準備といっても幹部陣の乗るお立ち台をロビーに置き,
部隊長挨拶のためのマイクなどを用意する程度だったので,
30分ほどで概ね結成式の準備が終わった。

俺が,外で一服しながら一息ついていると,はやての副官である
グリフィス・ロウラン准尉が近づいてきた。

「シュミット副部隊長。部隊員全員の着任を確認しました。」

「よし。じゃあ予定通り始めようか。全員をロビーに集めておいてくれ。
 俺は幹部連中を呼んでくるから」
 
俺はグリフィスに指示を出すと,はやてのいる部隊長室に向かった。
ブザーのボタンを押すと中からどうぞという声が聞こえたので,
ドアを開けて中に入った。

はやての部屋には隊長・副隊長が全員揃っていた。

「お,ゲオルグくんやないか。どうしたんや?」

「結成式の時間になったから呼びに来たんだが,全員ここに居たのか。
 ちょうどよかったよ」
 
「よっしゃ。ほんなら行こっか」


俺は隊長陣を伴ってロビーに向かうと壇上に上がった。

「これより,遺失物管理部機動6課の結成式を行う。
 私は,副部隊長のシュミット三佐だ。以後,よろしく。
 それでは,機動6課の幹部陣を紹介する。」
 
フォワード隊から順に隊長・副隊長陣が自己紹介をして,全員分が終わると,
最後にはやての挨拶の番となった。

「それでは最後に,機動6課の部隊長である八神はやて二佐より
 挨拶をいただく。八神部隊長,お願いいたします」
 
はやては壇上に上がると,ロビーに勢ぞろいした機動6課の全メンバーを
見渡してから,話し始めた。

「皆さん,今日は集まってくれてありがとう。
 本日ここに誕生する遺失物管理部機動6課は,特定遺失物の広域搜索を行う,
 機動1課から5課までの各課からの情報に基づき,特定遺失物の
 対策および維持管理を目的として,即時展開と迅速な解決の能力を持つ
 部隊として設立されました。
 そのために,実戦経験の豊富な隊長陣とフォワード陣から
 後方支援やバックヤードスタッフに至るまで,一流といえる
 優秀な人たちに集まってもらったつもりです。
 皆さんには,法秩序の使者として恥じない活躍を期待しています。
 それでは皆さん,これから力を合わせて頑張っていきましょう」
 
「以上で,結成式を終了する。解散!」
俺のその宣言で機動6課の結成式は終了した。


ロビーの後片付けが終了した後,俺は一息入れようと隊舎の屋上に向かった。
そこには,シグナムとヴィータが居た。

「よう,お二人さん。こんなとこで何やってんだ?」

俺がそう聞くと,ヴィータがついついと下の方を指さした。
そこには,教導隊の制服を着たなのはとフォワード4人がいた。

「おっ,早速訓練開始か。張り切ってるなぁ。2人は行かなくていいのか?」

「私は人に何かを教えるというのは苦手だからな。
 いずれ,模擬戦には参加するだろうが,まだ先になるだろう」
 
「あたしも訓練に参加するのはまだ先だな。あいつらはまだまだよちよち歩きの
 ひよっこだ。当分はなのは一人で十分だろ。それに,あたしも自分の訓練を
 しないとな」

ヴィータはそう言うと両手の拳をぎゅっと握り,フォワード4人と話している
なのはを真剣な目で見つめていた。
俺は,その様子を見て気になることがあったので,
念話でシグナムに尋ねることにした。

[なあ,シグナム。今いいか?]

[かまわんが,何だ?]

[ヴィータはまだなのはが墜とされたときのことを気にしてんのか?]

[そのようだな。まぁ,私や主はやてには何も言わないが]

[やっぱりそうか・・・。あれは,なのはの自業自得みたいなもんなんだから
ヴィータが気にすることはないと思うんだけどな]

[理屈ではそうだろうが,ヴィータは目の前でなのはが墜ちるのを見ているんだ。
そう簡単に割り切れるものでもないだろうな]

シグナムの話を聞いている限りでは,シグナムもヴィータの様子に
忸怩たる思いを抱えているように感じた。

「ところで,ゲオルグこそこんなとこで何してんだ?
 聞いた話じゃお前も教導官の資格は持ってるんだろ」

シグナムとの話が終わったところで,ヴィータが俺を見上げてそう聞いてきた。

「俺は,結成式の片付けが終わったから仕事に戻る前に
 一休みしようと思ったんだよ。ちなみに,フォワードの訓練には
 まだ参加しなくていいって,なのはから直接言われたよ。
 今俺が参加しても,自信喪失させるだけだってな」

「そりゃそうだな。ゲオルグは一切手加減しねーしな」

「ヴィータには言われたくねーよ。お,そういえば,訓練だったら
 俺が付き合おうか?久々にヴィータともやってみたいし」

俺がそう言うと,ヴィータは嬉しそうに笑った。

「ほんとか?じゃあ,あいつらの訓練が終わったあとにでもやるか」

「おう,いいぞ。あ,でも今日ははやてがフェイトと中央に出かけるから,
 その間はダメだぞ。部隊長代理として発令所に詰めてないといけないからな。
 だから,多分夕方だな」

「わかった。じゃあ,訓練スペースの準備はあたしがやっとく。
 シグナムはどうする?」
 
ヴィータはシグナムも誘ったが,シグナムは首を横に振った。

「今日の夕方からなら,私はダメだ。今晩は当直だからな」

「そっか。残念だけど仕事ならしょーがねーな。
 じゃあ,ゲオルグ。夕方だぞ。約束だからな!」
 
ヴィータはそう言うとシグナムと屋上を出ていった。

「んじゃ俺も,発令所に行きますか」

俺はフォワード達が訓練を始めた訓練スペースを一瞥して,屋上を出た。


その日の夜,ヴィータとの模擬戦を終えた俺は,寮の自室でシャワーを浴びた後
寝る前にニュースでもチェックをしようと個人用の端末を立ち上げると,
ユーノからメールが届いていた。

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ゲオルグへ

この前頼まれた例の調査の件なんだけど,
ちょっと見てもらいたいものが出てきたんだ。

忙しいとは思うんだけど近いうちに,来てくれないかな。

              ユーノ
              
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(資料が出てきたんなら,送ってくれればいいのに・・・。ま,いいか)

俺は疲れていたこともあって,深く考えずにそのまま寝てしまった。

 
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