ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
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SAO編ーアインクラッド編ー
13.世界の終焉
前書き
第12話投稿!!!
75層で待ち受けるボス!!!
それを倒した先に現れる男!!!
全てのかけて互いの剣が再び交じり合う!!!
SAO編完結!!!
二〇二四年十一月七日 第七十五層・コリニア 転移門広場
ついにこの日、七十五層のボス攻略。攻略組、十人を一瞬で消した未知数のボスと戦闘の日。
「.......まだ、ほとんど来てないな」
集合時間まであと、一時間.........さすがに早く来過ぎたか。
時間が経つにつれて次々と集まって行く、攻略組のメンバーたち。そこには、聖竜連合のシュミットの姿や風林火山のクライン、エギルの姿もあった。
「よっ!シュウ、元気そうだな。一ヶ月ぶりぐらいか」
「お前らも元気そうだな。クライン、エギル」
「お前こそな!」
俺とクライン、エギルが拳を合わせる。すると、また誰かが転移してくる。転移してきたのは、二人、黒のコートを身に纏い、背中に二本の片手剣を背負う《黒の剣士》、キリトと白のノースリーブに赤のスカートの腰には、細剣をさす血盟騎士団副団長《閃光》のアスナが現れる。
一気に二人にその場にいた全員の目が向く。俺たちは、歩く二人の元へと向かって行く。
「おう!」
「なんだ、お前らも参加するのか」
「なんだってことはねぇだろ?こっちは商売を投げ出して加勢に来たんだぞ。この無視無欲の精神を理解出来ないかい?」
「じゃあ、お前は戦利品の分配からは除外するからな」
「いやぁっ!?それはだなっ!?」
エギルの慌て方に俺とクライン、アスナは笑う。
するとついに現れる.........血盟騎士団団長《神聖剣》の使い手、SAO最強のプレーヤー........ヒースクリフと血盟騎士団の幹部たち。
「コリドーオープン」
集団転移結晶アイテムを掲げ、転移ゲートが姿を現す。
「さぁ、行こうか」
ゲートを潜った先に現れる巨大な扉。これを見るのは、二度目だ。やはり、不穏な空気が漂ってる。今回も嫌なことが起きるような気がする。
今一度、俺たちは装備の確認をする。力を出し惜しみして勝てる様な生半端の敵じゃない。俺の持てる最強の装備、片手剣《シャインフォース》、槍《ロンギヌス》
「準備はいいかな」
扉の前に立つヒースクリフ。
「基本的には、血盟騎士団が前衛で攻撃を食い止めるので、その間に可能な限り攻撃パターンを読み取り柔軟に反撃してほしい。厳しい戦いになるだろうが、諸君の力なら切り抜けられると信じている。解放の日のために」
その場にいる皆が声をあげる。その光景は、第一層のディアベルの時に似ていた。ヒースクリフが重く、大きな扉を開ける。
「死ぬなよ」
「はっ!お前こそ!」
「今日の戦利品で一儲けするまで死ぬ気はねぇぜ!」
「あいつのためにも死なねぇよ」
ついに始まるボス攻略........
「戦闘開始!!」
ヒースクリフの声とともに、俺たちは一斉にボスの部屋に侵入する。部屋の中は薄暗くボスの姿は見当たらない。すると、扉が閉まる。これで俺たちは、逃げられなくなった。ここは結晶無効化エリア.......ボスを倒すまでここから出ることは出来なくなった。
緊張の糸が張り詰める。いつ切れてもおかしくない。
「何も起きないぞ」
微かだが何か音がする。
「上よ!!!」
アスナの声に上を見上げるとそこには..........全身が骨の骸骨のサソリのモンスター。巨大な二本の鎌、長い尻尾。
「.......スカル!?」
「.......リーパー!?」
「........こいつか」
次の瞬間、モンスターの咆哮とともに《The Skullreaper》の文字と五本のHPバーが出現。
「固まるな!!距離をとれ!!」
ヒースクリフの声と同時にスカルリーパーが天井から俺たちのいる場所に落下してくる。恐怖のあまり動けなくなる二人のプレーヤーが。
「こっちだ!!走れ!!」
走り出す、怯えるプレーヤー。.......だが、落下してきたスカルリーパーの鎌が怯え走る、二人のプレーヤーをなぎ払う。
二人は空中に舞い、アスナが受け止めようとした瞬間、オブジェクトの欠片となり消滅。
「い、一撃で!?」
「む、無茶苦茶な」
逃げ惑うプレーヤーたち........だが、一人だけスカルリーパーに立ち向かうプレーヤーが.......ヒースクリフだ。
「まともに近づくこともできねぇぞ」
俺は体勢を立て直し、右に片手剣、左に光の刃、手刀を纏いスカルリーパーに迫る。
「行くぞ、キリト!!!」
「おう!!」
スカルリーパーの鎌が再びプレーヤーを襲う!!
「下がれ!!」
キリトが二本の剣で鎌を受け止める。が、あまりの重さに受け止め切れていない。
「キリト!!避けろよ!!」
左腕を真下から骸骨の鎌めがけて真上に振り上げる。
手刀縦剣技《上波烈》
キリトが受け止める鎌を上空に向け、弾く。だが、もう一方の鎌が俺とキリトを襲ってくる。
それをヒースクリフが守る。
その隙にアスナの一撃が加わる。
スカルリーパーが少し後ろに飛ばされる。
「二人同時に受ければいける。私たちならできるよ」
「お前たちの背中は俺が守る。キリトとアスナは鎌を受け止めるのに集中しろ!!」
二人は頷き、スカルリーパーに向かい走る。
「........今度こそ守って見せる」
「鎌は俺たちが食い止める!!みんなは側面から攻撃してくれ!!」
激しい攻撃の嵐!!だが、スカルリーパーのHPは全く減っていない。
(あれを使うしかない!!!)
「キリト、アスナ、スイッチ!!」
鎌を弾くと同時にキリト、アスナは後ろに飛び退く。武器を手放し、手刀を両腕に纏わせる。そして地上を踏みしめ二つの光がシステムを起動するのを感じる。二つの手刀が黄色から右が白く、左が黒く色を変化させ、全てを飲み込む混沌の力が終わりを告げる。
二手刀流最上位剣技《覇凰終刃》
覇王と鳳凰の二つの伝説が終わりを告げる混沌の刃にして《手刀術》最終奥義。
「覇凰終刃!!!」
激しい戦いの末、スカルリーパーは倒された。強敵を倒し、普通なら歓喜の声をあげるものがいてもおかしくないが、そんな余裕があるものは誰一人おらず、全員床に倒れこむ。
「.......何人やられた......?」
ぐったりと座り込むクラインが言う。
「......十四人.....死んだ.......」
キリトの言葉に誰も信じられなかった。
「嘘だろ......!?」
皆が絶望の顔色を浮かべる。
「.....あと、二十五層もあるんだぞ......」
「本当に俺たちは......てっぺんまでたどり着けるのか......!?」
絶望するプレーヤーたち。.......一人を除いてはな。この疲れ果て絶望感がこの場全体を支配する中、ヒースクリフは平喘とした顔で立っている。
ヒースクリフのHPバーは、イエローゾーンに陥る寸前で止まっている。あの攻撃を圧倒的な防御力の《神聖剣》で防いだ......のか!?
(待てよ!!?)
あいつは、俺やキリトのデュエルの時もイエローゾーンに突入する一撃が受けそうな時、異常なまでにあいつは、速くなった。スカルリーパーの攻撃を受ける時も異常にあいつは、速かった。それも、イエローゾーンに陥る寸前になった瞬間に..........まさか!?
そう思った瞬間、キリトがヒースクリフに向け、片手剣基本突進技《レイジスパイク》を放つ。
キリトも俺と同じ考えのようだ。キリトの片手剣は、ヒースクリフを貫.........けなかった!?キリトの片手剣は、ヒースクリフに当たる寸前に紫色の障壁、まるで圏内のように攻撃が防がれる。
空中に姿を現す、文字。
【Immortal Object】.........不死を意味する。俺たち通常プレイヤーには、あり得ない表示だ。
つまりこれが意味するのは..........
「キリト君、何を!!」
アスナがキリトに近づく。だがアスナは、空中に浮かぶ文字に驚きを隠せない。周りのプレーヤーたちもその文字に驚きざわつく。
「システム的、不死......!?って、どういうことですか、団長......?」
「この男のHPゲージはどうあろうとイエローにまで落ちないようにシステムに保護されているのさ」
(やはり、そういうことか)
「この世界に来てからずっと疑問に思っていたことがあった。あいつは、今どこで俺たちを観察し、世界を調整しているんだろうって.......だが、俺は単純な心理を忘れてたよ。どんな子供でも知ってることさ......」
キリトの言葉に続けるように俺は言う。
「他人のやってる、RPGを傍から眺めるほどつまらないものはない........そうだろ」
俺とキリトは、声を合わせ言う。
「「......茅場晶彦!!」」
その言葉に再び、全員が驚く。
「なぜ、 気づいたのか参考までに教えてくれないか......キリト君、シュウ君」
キリトが先に話す。
「最初におかしいと思ったのは、デュエルの時だ。最後の一瞬だけあんたあまりにも速すぎたよ」
「やはり、そうか。あれはわたしにとっても痛恨事だったよ。君たちの動きに圧倒されてつい、システムの《オーバーアシスト》を使ってしまった」
ヒースクリフが辺りを見渡し、ついに........
「確かにわたしは、茅場晶彦だ!!」
ヒースクリフ.......いや、茅場晶彦は、さらに衝撃の事実を口にする。
「付け加えれば、最上階で君たちを待つはずだった、このゲームの最終ボスでもある」
またも皆が驚く。
「趣味がいいとは、言えないぞ。最強のプレーヤーが一転、最悪のラスボスか」
「全くだ」
「なかなかいいシナリオだろ。最終的にわたしの前に立つのは、キリト君とシュウ君と予想していた。二刀流スキルは全てのプレーヤーの中で最大の反応速度を持つ者に与えられ、手刀術は全てのプレーヤーの中で最大の連続スキルの使い手に与えられ、そのものたちが魔王に対する勇者の役割を担うはずだった。だが、君たちは、わたしの予測を超える力を見せた。まぁ、この想定外の展開もネットワークRPGの醍醐味と言ったところかな」
「.......俺たちの忠誠.......希望を.......よくも!......よくも!!.........よくも!!」
血盟騎士団のプレーヤーがヒースクリフに剣を向け振り下ろす。その瞬間、ヒースクリフがメニューウインドウを開き、何かを押す。すると、ヒースクリフに剣を向けた男が急に倒れこむ。
そして、HPバーに麻痺を現すマークが......
「.......麻痺?」
そして次々とプレーヤーたちが倒れて行く。
「うっ......!?」
俺も倒れる。
「どういうつもりだ。この場で全員殺して隠蔽する気か」
どうやらキリトは動けるようだ。
「まさか、そんな理不尽な真似はしないさ。こうなっては致し方ない。わたしは最上層の《紅玉宮》にて君たちの訪れを待つことにするよ。ここまで育ててきた血盟騎士団、そして攻略組プレーヤーの諸君を途中で放り出すのは、不本意だが、何、君たちの力ならきっと辿り着けるさ。だが......その前に........」
ヒースクリフが盾を床に立て剣を抜こうとする。
「キリト君、シュウ君、君たちには、わたしの正体を看破した報酬を与えなくてはな......チャンスをあげよう」
「「チャンス?」」
「今この場でわたしと一対一で戦うチャンスだ。無論、不死属性は解除する。わたしに勝てばゲームはクリアされ、全プレーヤーがこの世界からログアウトされる。どうかな.....?」
その条件を呑めば、みんなが助かる。
「ダメよ、キリト君、シュウ君、今は引いて」
アスナの声に俺たちを止めようとするが.........キリトは.......
「........ふざけるな.......いいだろう。決着をつけよう」
「キリト君!!」
「ゴメンな。ここで逃げるわけにはいかないんだ」
「........死ぬつもりじゃないんだよね」
「あぁ、必ず勝つ......勝ってこの世界を終わらせる」
「わかった、信じてるよ.......キリト」
キリトのアスナをゆっくりと床に起き、立ち上がり、背中に背負う2本の剣を抜き、一歩一歩ヒースクリフに近づく。
「キリト......やめろぉぉ!!」
「キリトぉぉぉ!!!」
エギルとクラインの声は、キリトを止めることは出来ない。
(また、俺はあいつの背中を守れないのか..........俺はあの時、βテストの時、キリトの背中を守るって誓ったんじゃねぇのかよ !!結局、守れなかった..........でも、また、この世界に帰ってきた........そして、あの第一層でキリトに会った時、誓ったはずだ。..........今度こそ守るって!!!)
「エギル。今まで剣士クラスのサポートありがとな。知ってたぜ。お前が儲けのほぼ全部を中層ゾーンのプレーヤーの育成につぎ込んでたこと.........。クライン。あの時、お前を........置いて行って.....悪かった......」
「て、テメェ、キリト!!謝ってんじゃねぇ!!!今、謝るんじゃねぇよ!!!許さねぇぞ!!ちゃんと向こうで飯の一つでも奢ってくれねぇと許さねぇぞ!!絶対許さねぇからな!!」
「わかった、向こう側でな」
キリトは、アスナをじっと見る。そして、ヒースクリフの方を向く。
「悪いが、一つだけ頼みがある」
「何か」
「簡単に負けるつもりはないが、もし俺が死んだら.......しばらくでいい......アスナが自殺出来ないように計らってほしい」
「よかろう」
「キリト君!!ダメだよ!!........そんなの......そんなのないよ!!」
ヒースクリフが剣を抜く。
「キリト君!!!」
アスナ声がキリトに届くことはない。キリトはこちらをチラッと見てから小さな声で俺に何かを言う。
「.........シュウ、あとは.......頼んだ」
「..........キリト.......」
俺の前に立つ男.......茅場..........互いに剣を構える。
(これは、デュエルじゃない。単純な殺し合いだ。........そうだ........俺は......この男を.......)
「殺す!!!」
俺は地面を蹴っ飛ばし、茅場に向け、刃を向ける。どんな攻撃をしても、こいつに当たることはない。..........だが、それはシステム状の話だ。二刀流スキルをデザインしたのは、奴だ。システム状で設計された連続技は全て読まれる。だが、裏を返せば俺の力自体はあいつは読めない。
(もっとだ!!!もっと速く!!!!)
二刀流の連撃は全て、奴の盾に防がれる。
「うおおおおお!!!」
絶叫にも似た雄叫びをあげ、切り込む.......が、十字盾がそれをあざ笑うかのように拒み、長剣が俺の頬をかする。
「くそぉっ.......!」
(これならどうだ!!!!)
二刀流最上位剣技《ジ・イクリプス》
太陽コロナのように全方向から放たれる連続二十七連撃を放つ瞬間、奴が不敵な笑みを浮かべた。
全方位から切り込む、斬撃を盾がいとも簡単に守る。
(そういうことか..........ゴメン......アスナ.......君だけは......生きて.......)
最後に放った付きは.......盾に守られ、《ダークリパルサー》が砕ける。
「さらばだ.......キリト君」
動きが止まった俺の頭上に、赤い光を纏う長剣が高々と掲げられ、その剣が振り下ろされる。
その瞬間、振り下ろされる長剣と、立ち尽くす俺の間に、人影が飛び込んでくる。それは、栗色の長い髪の少女.........アスナが宙に浮かび、振り下ろされる長剣を受ける。
倒れるアスナを抱きかかえ、HPバーをみる........が、そこには存在するはずの緑、黄色、赤のどれも存在せず、何の色もない。アスナは、微笑むようにこちらを見る。彼女の体が、光だす。
「........嘘.....だろ.......アスナ......こんな......こんなの......」
「.........ゴメンね.......」
彼女のか細い声が.........
「.......さようなら......」
彼女はそっと瞼を閉じ、光のオブジェクトの欠片となり消滅する。
アスナが........死んだ........
絶望するキリトが、床に膝をつく。
「これは、驚いた。自力で麻痺から回復する手段はなかったはずだがな。こんなことも起きることかな」
キリトは絶望の中、アスナが消滅する時に残した細剣を左で掴み、右で自分の剣を掴み、立ち上がる。
そして、生気のないキリトは、二本の剣を重く振るう。ヒースクリフは、呆れた顔で右の剣を弾き飛ばす。そして、キリトの腹部に長剣を突き刺す。
「キリト!!」
(動け!!!動けよ!!!)
麻痺の体を必死で動かすが動くことはない。その間にも、キリトのHPが徐々に減っていく。
(動け!!動け!!動け!!動け、動け、動け、動けよ!!!!)
だが、俺の願いはシステムの壁に阻まれたまま、キリトのHPが0になる。
「...........キリト」
キリトの体が光り出す。
「.........まだだ.....」
キリトは小さな声でそういうと、光る体で、左で持つ剣.......アスナの細剣を..........
「うおぉぉぉぉ!!!」
ヒースクリフに刺す!!
そして、ヒースクリフのHPが0になる。そして、二人が光のオブジェクトの欠片になり、消滅する。
そして響き渡る機械音のアナウンス。
『十一月七日十四時五十五分、ゲームはクリアされました。ゲームはクリアされました。ゲームはクリアされました..........』
(また、守れな.......かった)
目を開ける。見知らぬ真っ白な天井が視界に映り込む。異常なほど重い体を起こし、頭を触ろうとするが、何かがそれを邪魔する。
「あれ.....?」
その時、自分の視界映る手は、さっきまでの光を纏っておらず、肉などが削ぎ落とされたように皮と骨しか見えない。
そこで俺は、ようやく気づいた。
ここが、仮想ではなく現実なのだと。
力がほぼ入らない手で頭に被る、俺たちを二年間、仮想という現実に閉じ込めた機械.....ナーヴギアを取り外す。そして骨と皮しかない腕でベットを殴りつけた。
「.......クッソ」
二〇二四年十一月七日..........俺たち、鉄の檻《浮遊城アインクラッド》に閉じ込められたプレーヤーたちの長い戦いが終わった。
友の死という最悪の結末で.......
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