星河の覇皇
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第八十二部第二章 国債その二十一
「時間がかかる」
「だからですね」
「今は時間が必要です」
「少しでも先に進まねばならない」
「進撃を行えばならないので」
「だからだ」
こう参謀達に言うのだった。
「今はな」
「そうしてですね」
「機雷を撤去していき」
「先に進む」
「少しでも先に」
「そうだ、しかし」
アッディーンはさらに言った、その目は進む先を見ていてそのうえで参謀達にも強い声で語っているのだ。
「用心はだ」
「必要ですね」
「ましてここは敵の領土です」
「それならばです」
「余計にですね」
「地の利は敵にある」
ティムールにというのだ。
「やはりな」
「左様ですね」
「それではですね」
「警戒しつつ」
「そうして先に進んでいきますね」
「今はな、それとだが」
アッディーンはさらに言った。
「シャイターン主席だが」
「戦場にはおられない」
「左様ですね」
「閣下が言われるには」
「左様ですね」
「そうだ、だがだ」
それでもというのだ。
「何故戦場にいないか」
「そのことは」
「確かに我々にとって大きいですが」
「何故そうした事態に陥ったか」
「そのことが気になりますね」
「私としてもな、一体何があった」
彼は怪訝な顔で言った、そうしてだった。
全軍を警戒させつつも進ませていっていた、オムダーマン軍は国境を破った後でさらに進撃を続けていた。
そのオムダーマン軍に対してティムール軍は目標とするラインまで向かっていた、その中でアブーはフラームに極秘通信から話した。
「兄上、宜しいでしょうか」
「あのことだな」
「はい、メフメット兄上ですが」
「まだだ」
「目覚めておられませんか」
「お命に別状はないとのことだが」
それでもというのだ。
「熱が高く」
「昏睡ですか」
「そう言っていい状況らしい」
「左様ですか」
「インフルエンザもな」
これもというのだ。
「過労が重なるとな」
「危険ということですね」
「そもそも死ぬこともある病気だ」
インフルエンザはというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「兄上はな」
「今もですね」
「目覚められることはなく」
そうしてというのだ。
「戦場に出られることもな」
「ないのですね」
「こうした状況だがな」
「無念ですね」
「我等にとって、そして」
「兄上にとっても」
「兄上はな」
フラームはシャイターンのことをさらに話した。
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