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レーヴァティン

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第二百五十六話 宴を楽しみつつその十二

「読解出来る、難しい文章を書くのが凄いか」
「むしろ簡単な文章書けだよな」
「物事をわかりやすく伝えるのも才能だ」 
 そのうちの一つだというのだ。
「その思想家はそれがない」
「それだけだな」
「それだけで駄目だ」
「ましてそうした文章はな」
「実は中身がないものだ」 
 それが常だというのだ。
「読まなくていい文章だ」
「読むだけ時間の無駄でな」
「買うこともな」
「金の無駄だよな」
 久志はソーセージを食べつつ応えた。
「本当に」
「そうだ、権威ある思想家という肩書きにもだ」 
 それと共にというのだ。
「一見難しそうな文章にもな」
「惑わされないことだな」
「俺は強く思う、まことに真理は明快だ」
「わかりやすいな」
「そうだ、それを知ることだ」
 重要なことはというのだ。
「それでいい」
「全くだな、しかしな」
 ここで久志はこう返した。
「それをわかってない奴がな」
「世の中多いな」
「そうだよな、俺もな」
 自分もと言うのだった。
「そこがな」
「言いたいか」
「いつもな、宗教だってな」
 これもというのだ。
「どの宗教もまともなのはな」
「言っていることはわかりやすいな」
「仏教だってな」
「キリスト教もな」
「言ってることはわかりやすいんだよ」
 このこと自体はというのだ。
「本当にな、難しいのが実践だよ」
「そうだな」
「そうだけれどな」
 それでもと言うのだった。
「確かに殆どの宗教はな」
「わかりやすいな」
「そうだよな」
「訳のわからないことは言っていない」
 聞いても理解出来ない様なというのだ。
「そもそも世の中はインテリゲンチャだけではない」
「学問があるとされるな」
「小難しい言葉を聞くか」 
「忙しいとね」
 清音はワインを飲みつつ憮然として話した。
「本を読む時間ないしね」
「そうっちゃな」
 愛実が応えた。 
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