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フェアリーテイルに最強のハンターがきたようです

作者:ブラバ
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第1章 始動編
  第3話 エーテリオン

評議会を出たアレンは目的に向かって動き出す。100年クエストを行う中で黒竜の情報も集めていた。先程まで歩いていたジメジメしていた洞窟とは一変、広大な土地が広がっていた。一面に茂る緑の草原に色鮮やかな花が咲き誇る。そんな美しい光景を前にしても、アレンの目にはそれらは一切入っていなかった。
アレンが見つめるのはそんな美しい景色の中にいる巨大な黒い生物。1度しか会っていないが見間違えるはずがない。この時を待ち望んでいたのだから。
アレンはアクノロギアに「久しぶりだな」。アクノロギアはその声を聴き、「やはり生きていたか」と返した。
両者は特にそれ以上語り合うこともなく、激突する。
戦いは、広大な土地と、横にそびえる山を吹き飛ばすほどの激闘となり、地図を書き換えなければならないほどの被害を、地上に残していた。
この2回目で分かったことは、単純な戦闘能力は、アレンの方が若干上だということであった。それはアクノロギア自身も感じていたことであり、悪態を付くようにアレンを見つめる。だが、例え戦闘能力がアレンより劣っていても、アクノロギアは何一つ恐れることなくアレンへと攻撃を仕掛けてくる。その意図が分かるのはまだ先であったが、アレン自身も正面から立ち向かってくるアクノロギアに敬意を表するように戦いを繰り広げていた。

さて、アレンとアクノロギアとの戦闘が評議院に伝わるのに、そう時間はかからなかった。戦闘は山の奥深くであり、周辺には人が住む場所がないこと。加えて、評議院はアレンが勝てる確証がないという理由で、エーテリオン投下を決行した。唯一、フェアリーテイルと親交のあるヤジマが猛反発したが、投下の結論は覆らなかった。

アレンとアクノロギアは、互いに最後の力を振り絞り、すべての力を込めて衝突する。アレンはアクノロギアの爪に腹を抉られ、アクノロギアは胸から腹にかけて深い斬撃を喰らう。
両者とも倒れ、意識はあるものの起き上がることができずにいた。すると、その上空に、何やら奇妙な光が生まれる。その尋常じゃない魔力を察知したアレンは、力を振り絞ってモドリ玉を出し、それを地面へと投げつける。
その日大陸の一部が地図から消えた。黒き竜と、1人のハンター魔導士とともに。

「アレン・イーグルは勇敢な魔導士であった。その数々の栄誉、そして黒竜討伐の偉業を讃え聖十大魔道の称号を永久に与えることとする」
大陸中に届いたニュース。それは世界中の人々に衝撃を与えた。フェアリーテイルの世界最強魔導士とも言われつつあったアレンの死。天災ともいわれる黒竜の討伐。そして、互角に戦っていたアレンも含めてエーテリオンで攻撃したということ。
評議会には批判の声が殺到していた。アレンによって救われた人々やアレンの活躍を楽しみにしていたファンの者達。評議会はとにかく謝罪し、「人類の悲願のため」と伝えた。評議会の印象は悪くなる中で、同時に伝説とも言える竜の討伐に喜ぶ者もおり、良くも悪くも世界中が注目することとなった。

フェアリーテイルは、深い悲しみに包まれていた。
アレンの死。そんなものは到底受け入れられる話ではなく、いつもの騒がしいギルドは、静寂に包まれていた。
評議会がエーテリオンによる攻撃で、アレンを利用して黒竜を倒したという話を聞いて、メンバー全員が憤慨した。評議員が直接ギルドまで足を運び、土下座をして謝ったことで、さらに怒りのやり場を無くし、悲しみだけが残っていた。
ナツが評議員に対して「お前らは俺達の家族を殺したんだぞ!」と言って飛びかかろうとするが、周りの者に止められる。その目から涙が溢れており、止めた者達もまた涙をながしていた。
アレンに深い恋心を持っていた女性たちは、一生分ともいえる涙を流していた。例え涙が枯れても、嗚咽は留まることを知らず、1か月ほど正常な生活ができなかった。
エルザは「約束…したじゃないか…」と、枯れ果て光を失った花の入った瓶を抱えながら泣きていた。ミラに関してはほぼ同時期にリサーナを失ったこともあり、魔導士として生きていくのが難しい程の状態となり、ギルドのウェイターとなり、性格も変わった。
他の者も皆同じ気持ちであり、暫くフェアリーテイルは魔導士ギルドとしての機能を失うに至った。

死んだと思われた男、アレンとフェアリーテイルのメンバーが再会を果たすのはまだ少し先になる。その時メンバーは何を思い、どんな行動をするのか、今はまだ分からない。

「あの光は何だったんだ・・・」
戦いが終わり、張っていた緊張の糸が切れたことで気を失っていたアレンが、起きて最初に思い出すのは最後に見た光景であった。
そんな風に考え込んでいると、一人の青年とであう。歳の頃は20代であろうか?あれんより少し年下と思えるその人物は、アレンを見つけるとひどく怯えたような表情を見せた。アレンはそんな青年が心配になり、近づくが、「来ないでくれ!!」という言葉と共に、黒い波動のようなものが発生する。アレンはその波動に不快感を覚えながらも、「大丈夫か?」と声を掛ける。青年は驚いた様子で「なんで生きているんだ?」と聞くと、アレンは今のが命を奪う魔法、波動であることを理解し、「俺はそんなもんじゃ死なない」と返す。そんな様子のアレンに、心底驚いた様子であった青年だが、互いに自己紹介をし、会話を始める。
彼の名前はゼレフ。黒魔導士ゼレフであるらしく、どうやら命を尊く思えば思うほど、周りの命を奪ってしまう呪いを掛けられてしまったという。アレンは自身の力でそれを解こうとするが、全く歯が立たなかった。
アレンは、一度諦めると、この世界について詳しく聞くことにした。どうやらここは先ほどまでいた世界の100前の世界であることを知り、モドリ玉が時空を超えてしまったことw理解した。アレンはゼレフに自分が100年後の世界の人間であることと、元の時代に帰りたいことを伝えると、協力すると言ってくれた。ゼレフもまた、アレンという存在に強く惹かれ、一緒に行動したいと思ったのだ。
そうして黒魔導士ゼレフと魔導士のハンターアレンという不思議なコンビは様々な研究を行っていくのだった。

その頃、アレンのいる時代から100年後の元居た世界。
フェアリーテイルには、新しい仲間、ルーシィーが加入した。ルーシィーは昔、アレンに助けてもらったこともあり、フェアリーテイルに加入するのが夢だったのだ。ひと悶着ありながらも無事にフェアリーテイルに入ることができたルーシィーは、カウンターにいるミラにアレンの話を聞く。箱入り娘だったルーシィは、世情に疎く、なぜアレンが死に至ったのかを知らなかったため、ミラの、「評議院の攻撃に巻き込まれて死んだ」という言葉に、酷い怒りを覚えた。
だが、ミラ含め、多くのメンバーはアレンが今もどこかで生きており、必ずフェアリーテイルに帰ってくることを信じていた。
ルーシィーはその強い信念に心打たれ、「私もアレンさんに会いたい!」という気持ちが芽生えた。

アレンとゼレフは様々な方法で、未来へ行くための研究を行っていた。アレンは自分の居るべき場所に帰るために、ゼレフは溢れる知識欲を満たすために、目的は違うが互いに協力していた。そして、4年の月日が経った。その間、アレンは自身の持つザ・ナイト以外の魔法についても調べ、いくつかの魔法を習得したほか、女神より与えられたもう一つの魔法も併せて、熟練度を増すように鍛錬した。
「おそらくこれで戻れるはずだよ」
「ゼレフが自信をもって言うなら間違いないだろう。ここまで長かったな」
そう言ってゼレフが手に持つ玉のようなものを見る。アレンが出せるモドリ玉はなぜかどこへ移動するか分からず、ゼレフの魔法を交えながら効果を特定させようと研究を繰り返してきた。そうして得られたデータをもとに、アレンが行きたいという時代へ移動する手段を作りだすことが出来たのだ。
「これでお別れだね。僕にとって君は初めての友人で親友ともいえる存在だった。そんな相手に頼むことではないのはわかっているけど、僕を殺してくれないか?君と過ごした時間以上の喜びは、もう味わえるとは思えないんだ。それに、僕はこの先何をしでかすかわからない…。ならいっそ今君の手で…。そう、僕はもう満足したんだ」
そう言ったゼレフにアレンは詰め寄った。
「そんなもんまだわからないだろう。この世界はまだまだ未知に溢れてる。もっと楽しいことなんていくらでもあるさ。それでも死にたいのであれば自分で方法を探せ。本当にどうしようもなくなったら未来の俺に頼め。そして、もしお前が大きく道を踏み外したとき…その時は友としてお前に引導を渡してやる。」
そう言ってアレンはゼレフの手から、モドリ玉をとる。そして「それじゃあな」と告げ弾を地面にたたきつけた。ボフッという音とともに煙が出てきてそれが晴れた時そこにアレンの姿はなかった。
「僕ももう少し努力をしてみるよ。駄目だった時は…その時は…僕も相応の決断をしよう」
1人になった森の中でそう言うと、歩き出した。
アレンのこの選択が正しかったのか、間違っていたのか。それは神のみぞ知る…。

幽鬼の支配者の滅竜魔導士、鉄竜のガジルがシャドウギアの3人に危害を加えたことで、フェアリーテイルとの全面戦争となった。
フェアリーテイルは苦戦しながらも、幽鬼の支配者を下すことに成功する。ナツとの戦いで敗れたガジルは、「なんでそんなに強い!」と質問すると、「アレンに鍛えられていたから」と答えた。ガジルが「アレンは死んだんだろ」と答えるとナツは激高したように怒り、「いつか絶対に戻ってくるんだ」と声を張り上げた。
ナツは、アレンに会いたいというガジルをフェアリーテイルに誘った。
また、グレイが下したジュビアも、グレイに惚れたということで、フェアリーテイルへの加入を決めた。

その後、六魔将軍の討伐依頼がフェアリーテイルに届く。闇の最大勢力であり、バラム同盟の1つである六魔将軍を相手にするということで連合を組むこととなった。複数のギルドで協力して行われるこの依頼に、FAIRY TAILからはカグラ・エルザ・ジェラール・ナツ・ウルティアが代表として向かうこととなった。
六魔将軍との戦いは熾烈を極めたが、フェアリーテイルの活躍が大きく、終始連合軍優勢の状態で続いた。
そんななかで、ウルティアはソラノという星霊魔導士が、苦しそうに戦っているのを見抜き、なぜそんな苦しそうな顔をして戦っているのを問うた。
すると、妹を人質に取られているらしく、六魔将軍マスターのブレインから無理やり戦わされているという話を聞く。
ソラノは、アレンさんが助けに来てくれるまで耐えるんだ!と叫ぶと、ウルティアは驚いた様子を見せた。
ウルティアはその話を聞き、今日ブレインは倒れる。一緒にフェアリーテイルでアレンさんの帰りを待とうと提案する。ウルティアの言葉に、ソラノは涙を流して感激し、結果として、ウルティアの言う通りブレインは下され、ソラノはまだ幼い妹のユキノと共に、フェアリーテイルへ加入することとなった。

六魔将軍を下した後、化猫の宿が、実は幻影で作り出したギルドであることをしったウェンディは、今まで共に過ごした仲間が光と共に消えていく様を見て、深い悲しみに涙を流した。そんな光景を見ていたフェアリーテイルは、アレンを失った時のことを想い、ウェンディの気持ちに寄り添い、声を掛けた。
ウェンディとシャルルにフェアリーテイル加入を呼びかけ、2人もそれを承諾する形で話が進んだ。
その後、それぞれのギルドが無事に生還を果たし、フェアリーテイルのメンバーも新たな仲間を加えながら、日常を送っていた。
 
 

 
後書き
・評議院:アレンの力を少し恐れながらも、できる限り力になる思いに、互いに協力しあう仲。だが、実際には評議院側がアレンをいいように扱うことも多いとか多くないとか…。だが、それに対してアレンは悪い感情を抱いておらず、それを評議院側もわかっているため、アレンと評議院との関係は悪くない。だが、アレンの関係者からすると、アレンをいいように扱っているように見え、怒りの矛先となっており、嫌悪感を抱かれている。アレンの実力を、アクノロギアを少し下回る程度と思っている。その誤解が解けるのは、まだ先の話。
・ゼレフ:フェアリーテイル原作より100年前の世界にて出会う。アレンのことを特別な友人と思っており、自分を殺せる力を持つ数少ない存在と認識している。だが、実際は…。
・ルーシィ:アレンに助けられた記憶から、フェアリーテイルに加入。アレンに対して尊敬の気持ちが強いが、恋心があるかは不明。
 
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