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ワイン勝負

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第一章

                ワイン勝負
 アメリカカルフォルニア州は農業が盛んである、その為多くのサインも造り売っているがある酒屋の親父ドク=トレーパー一七五程度の背でがっしりした体格に金色の髭と髪の毛それに青い目の彼は言っていた。
「フランスのワインがな」
「売れるか」
「ああ」
 知り合いのワインを造っているマイク=ナカオカに話した。自宅でそのワインを飲みながら話している。ナカオカは日系で黒い髪の毛と目である。背はトレーパーと同じ位であるが痩せていて黒髪を整えている。
「やっぱりな」
「そうか、しかしな」
「しかし?どうしたんだ?」
「いや、これがな」
 ナカオカはトレーパーにワインを飲みつつ話した。
「最近外国に売っている連中がフランスのワインと味比べをしようってな」
「言っているのか」
「ああ、そうだ」
 こうトレーパーに話した。
「これがな、一流のな」
「カルフォルニアワインとか」
「フランスワインを比べてみようとな」
「幾ら何でも相手が悪いぞ」
 トレーパーはワインの肴のチーズを食べつつ言った。
「幾ら何でもな、俺がこう言うのもな」
「あんたの店でだな」
「ワインで一番売れているのはな」
 何といってもというのだ。
「今話しているだろ」
「フランスワインだな」
「やっぱり強いぞ」
 売れ行きを見て言うのだった。
「売れるというのはな」
「美味いからだな」
「美味いものは売れるだろ」
「それが世の摂理だな」
「だからな」
 ナカオカに話した。
「俺も地元だから応援したいがな」
「相手が悪いか」
「ああ、勝てないさ」
 トレーパーは確信していた、そうしてワイン勝負のことはもう諦めるどころか考えることすらしなかった、だが。
 後日ナカオカから結果を聞いて仰天した。
「ブラインドテイスティングをしてか」
「ああ、銘柄を伏せて試し飲みしてもらってな」
 ナカオカは驚いているトレーパーに満面の笑顔で話した。
「それでだよ」
「フランスのワインと勝負してか」
「赤の一位はスタグス=リーブ=カスク二十三だ」
「これじゃないか」 
 トレーパーは店にあるカルフォルニアワインの一つを見て言った。
「まさに」
「それで白はな」
 ナカオカはさらに話した。
「シャトー=モンテリーナだ」
「これか」
 トレーパーはそのワインも見た。
「一位は」
「ああ、どっちもな」
「フランスワインに勝ったんだな」
「そうなんだよ」
「それは驚いた」 
 トレーパーは驚いたまま述べた。
「こんなことになるなんてな」
「ああ、ただフランスは不服でな」
「そうだろ、アメリカのワインをコーラとか言ってたしな」
「滅茶苦茶にこき下ろしていたな」
「そうだったからな」
「それで今度は十年寝かせたものを持って来るらしい」
 そこまで熟成させたものをというのだ。
「あらためて勝負するらしいぞ」
「そうか、じゃあ今度は負けるか」
「だろうな、残念だがな」 
 ナカオカは少し俯いて応えた。
「流石に十年のベテランが相手だとな」
「勝てないな、しかし一回勝っただけでな」
「凄いな」
「ああ、本当にな」
 二人でこんな話をした、そしてまた後日だった。 
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