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レーヴァティン

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第二百五十話 軌道に乗るまでその十

「いいな」
「それではな」
「メロンが好きな妖しい輩もいるが」
「カルトの教祖なり独裁者なりか」
「北のな」
 これは二代目の話である。
「あの連中を思い出すが」
「メロン好きとなるとな」
「だがそうした連中が好きだからといってな」
 そうであってもというのだ。
「メロンはまずくなるか」
「そんな筈がないな」
「美味いままだな」
「そうだ、そしてだ」
 幸正は英雄に応えて述べた。
「メロンが穢れることもだ」
「ないな」
「悪人や卑しい輩が好きでもな」
「それ自体が穢れる訳ではない」
「穢れているのはそいつ自身でだ」
「好きなものは穢れない」
「またそいつと付き合いがある者もだ」
 そうした者もというのだ。
「同じ考え同じ行動でないとな」
「穢れていないな」
「そうだ」 
 幸正は強い声で述べた。
「あの独裁者は寿司も好きだったというが」
「なら寿司もだな」
「嫌いになるものか」
「なる方がおかしい」
 英雄は一言で言い捨てた。
「それはな」
「その通りだな」
「メロンも寿司もだ」
「同じだな」
「また言うが悪人や卑しい奴はな」
「そいつが問題でだ」
「好きなものはだ」
 それ自体はというのだ。
「何もない」
「まさにな」
「それですね」 
 紅葉も言ってきた。
「メロンに罪はないです」
「寿司にもな」
「そうした人達が好きでも」
「そして俺達が好きでもな」
「問題はありません」
「その通りだ、だから俺はこの世界でもメロンを食うしだ」
 蝦夷で作らせてというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで民達にもですね」
「食ってもらう、俺一人が食うなぞだ」
 そうしたことはとだ、英雄は紅葉に話した。これは彼の確かな考えの一つであり常に思っていることでもある。
「何が面白い」
「美味しいものはですね」
「誰もが食ってこそだ」
 まさにというのだ。 
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