私はいじわる 小悪魔が住みついた
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7-⑶
月曜日、練習が終わった後、穣先輩が私と鈴花ちゃんに
「さっき、クラブの部長会議があってな 女子サッカー部の翠が 野球部の女の子達が部室が無くて苦労しているから、何とかしてやれないかと提案したんだ。空き室もないし、どこも使えるような余裕なくてな ちゃんとしたクラブでも無いからって、みんな、消極的でな。だから、翠はプールの女子更衣室を案として提案してきたんだ。一つのクラブでなくても、現状 野球部は男子と女子が同じ部屋を使っているのは、今時おかしいんじゃぁないかと だから、部長会議の議決案として、プールの女子更衣室を使えるように、学校側に認めるよう要望しようと 最初、部長会議の議決事項じゃぁ無いとかで反対する者も居たんだけどな 翠が頑張って、強引に決めてしまったよ 勿論、俺も慎也も頑張ったよ」
「そうなんだ 翠ちゃん ウチ等のために・・さすが、ウチのあこがれのお姉ちゃんだわ」
その日、家に帰って、お兄ちゃんにお礼を言ったら
「ウーン 期待に添えるかどうかわからんけどな 翠がいきなり、言い出すんだから・・ まぁ 確かに、妹が苦労してんの 見てるわけにいかんからな」
「そーだよ 可愛い妹が 男の前で着替えてんのって嫌や やろー」
「男の前って 交代で着替えるって言ってたやんか それに、カーテンで仕切ってるって」
「そうや 言ってみただけ でもな みんな オーバーパンツ穿いているし 別に見られてもええかーって 交代ってのも、面倒臭そーなってきてん」
「そうか みんな 女捨ててきてるんやな」
「ちゃうわ 野球やる時だけや そんなん気にしてたら、と男の子に勝てへんやんか そやけど、部室使こうてんのん ウチと鈴花とオーカだけやでー 他の子は保健室」
そして、予選1回戦のベンチ入りメンバーが末永先生から発表され、今度は、鈴花ちゃんとオーカがベンチ入りになっていた。シートパティングの時、センターには、鈴花ちゃんが、オーカはバッターボックスに・・。美智佳さんと私も、時折、守備についていた。
昂がバッターボックスに立った時「来ないで 昂 ウチのところには、打たないで!」と、思っているのに、いきなり、打ちそこねのゴロがショート寄りに・・なんとか、ファーストに送れた。次は、ピッチャーの上を超えてセンターに、そして、バシッと三塁側にライナーが・・動けなかった。取れる訳ないじゃん、あんなの・・と、思ってたら、私の正面にライナーがワンバウンドしてクラブを構えたんだけど、顔をめがけて・・私のおでこに当って、帽子も飛んだ。でも、梶原先輩が直ぐに、拾ってファーストに送ってくれたんだけど。私は、頭が白くなって、うずくまっていた。
最初に、声を掛けてくれたのは、梶原先輩だったのだけど、直ぐに、昂の声が聞こえた。
「真珠 真珠 大丈夫かよ 意識あるかー」と、私の肩を握りしめて
「うーん 痛い けど 大丈夫みたい」
「ちょっと 横になってろ 落ち着いたら、保健室にいけよな」と、肩を支えて、ベンチ横に連れて行ってくれて、先生が私のおでこに冷たいタオルを当ててくれた。
しばらく、寝ていて、保健室に先生が連れて行ってくれて、彩乃先生がおでこを冷やして、寝かしてくれた。その後、私は、寝てしまったのかもしれない。気が付くと昂君が横に居てくれていた。
「起きた? 気分は悪くないかー?」
「うん 大丈夫 普通 誰かがね、ウチの手を握っていてくれてるような感じだったからね」
「そうか 良かった お前、ドンくさいんだよ おでこで受けてどうすんだよ」
「だって 昂が身体で受け止めろ って ゆうてたやん」
「だけど グラブやろー おでこでどうすんねん」
「だってさー 昂 ウチを狙ってたやろー」
「そんなこと 出来るかー こっちだって、必死やでー たまたまやー」
「そんでもなー ウチは、昂が打ったんやから 絶対取ってやろ 思ってな―」
「バカ だからー 顔で受けてどうすんねん まぁ それで、お前の顔が歪んでも、面倒見てやるけどなー」
「えっ 今 何 ゆうてくれたん ウチ ずーと 昂に付いて行ったらええんかー?」
「ちょっと あなた達 ここで イチャイチャと何してんのん さっきから、ずーと 昂君は真珠ちゃんの手を握っていたしな 見てられんわー こっちが恥ずかしくなるのよ」と、彩乃先生が・・。
「ちゃうねんよ 先生 ウチ等 幼なじみやから・・」
「もう いいわよ 昂君 ちゃんと帰り 付いて行ってあげてね 明日 真珠ちゃん お岩さんみたいに、顔変わっているから驚かないでね」
昂君に送られて、家に帰って、おでこを冷やしていたら、お母さんが帰ってきて、大騒ぎだった。
「どーしたの 真珠 転んだの― ちょっとー 青くなってるじゃぁ無いの」
「うーん ちょっと ミスってね ゴロ受け損ねた」
「もーう だから 野球なんて 無理なんじゃぁ無いの どうすんのよ 跡残ったらー 女の子なのに・・」
「顔 歪んでも 昂が面倒見てくれるって」
「バッカじゃぁ無いの そんな話してるんじゃあないわよー もうー 病院は?」
「保健室の彩乃先生も 別に気分も悪くなんないのなら冷やしておけば、大丈夫だって」
「うーん 冷やして、寝てなさいね あー リビングでね 急に何かあったら、嫌だもの―」
私は、少し寝てしまったのかも知れない。
「真珠 ご飯よー 食べられる?」と、お母さんに起こされた。
「さっきね 昂ちゃんが来たわ あの子が打ったんだってー? だからって、文句言えないじゃあない 真珠がぼーっとしてるから悪いのよって言っておいたわ それから、末永って先生からも電話あったわ 不行き届きで申し訳ないって 今後は、もっと、ちゃんと指導しますだって ハア としか言いようないじゃあない ねぇ 慎也」
「えっ なんで俺! でも、真珠はうまくなってるよ 球から逃げないで、向かって行くから こんなこともあるよ それで、又、うまくなるんだよ あんなに、一生懸命やってんだから、応援するしかないよね ねぇ お母さん」
「お兄ちゃん やっぱり ウチのお兄ちゃんなんだ」と、思っていた。
次の日、起きると、瞼辺りまで腫れていて、彩乃先生が言って居たように、お岩さん状態だった。
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