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八条学園騒動記

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第六百四十六話 最後はカレーその七

「言えます、ですがそれで女性に言い寄ることもです」
「しなかったのね」
「一切、まことに当時のインドに生まれていれば」
 そうであったならというのだ。
「どうなっていたか」
「わからないのね」
「どういった身分でもです」
 カーストがどうであってもというのだ。
「世に出ていたでしょう」
「それを乗り越えて」
「彼にはそこまでの力があったので」
 その為にというのだ。
「僅かの間にあそこまでなったのですから」
「頭の回転が速く記憶力も抜群か」
「そして人を見る目もありましたね」
 カムイに話した。
「そうでしたね」
「ここぞというところにここぞという人材を用いたらしいな」
「はい、演説も」
「それは有名だな」
「凄かったので」
 それでというのだ。
「あそこまでなったのですから」
「インドにいてもか」
「頭角を現わしていた筈です」
「そう聞くと」
 ルシエンはカレーを食べつつ言った。
「ヒトラーはソーセージよりカレーが似合ったかな」
「そうかも知れないですね」
「菜食主義だからソーセージは食べなかったかも知れないけれど」
「いえ、菜食主義が基本でも」
 セーラはルシエンの今の言葉に訂正を入れた。
「ソーセージ位はです」
「食べていたんだ」
「そうでした」
「じゃあ菜食主義者といっても」
「極端ではなかったです」
「そうだったんだ」
「ただあまり肉類それにお魚はです」
 そういったものはというのだ。
「好んで口にはしませんでした」
「そのことは事実だったんだ」
「そして極めて清潔で」 
 それでというのだ。
「毎日何度もお風呂に入っていました」
「奇麗好きでもあったんだ」
「趣味は音楽鑑賞と読書で」
 そうしたものでというのだ。
「芸術が好きでした」
「そう言うと」
「個人としてはですね」
「悪い感じはしないね」
「他人に意地悪やいじめもしませんでした」
 そうしたこともしなかったというのだ。
「しっかりと相手を見て登用もしました」
「じゃあ政治家としても」
「ですから当時のマウリアにいてくれれば」
 独立前のインドにというのだ。
「アーリア人、インド人として」
「貢献してくれたんだ」
「そう思います、あの人に今近い人は」
 ここでセーラはカレーを食べつつ話した。
「人類社会にいますね」
「あいつ?」
 ウェンディは今現在ヒトラーに近い人物がいるというセーラの言葉を受けてすぐに顔を顰めさせて言った。
「エウロパの」
「ギルフォード総統ですか」
「あの極悪人ね」
「ギルフォード総統も悪人ではないです」
「セーラから見たら」
「はい、決して」
 そうだというのだ。 
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