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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第7話

 
前書き
尻尾攻略はゼノバースを元にしています。 

 
悟空と別れた3人はカメハウスへと向かい、後少しでと言うところで悟林は異変を察知した。

悟空とベジータの気が激しく上下し、ベジータの気が大きく減ったかと思えば大幅に上昇した。

「あれ…何だろう…?」

「俺達がやって来た方向だ…やけに明るいな」

「星じゃないようですけど…」

「…あのベジータって奴の気が大きく減ったと思ったらグンと大きくなった。」

「ほ、本当だ…!何だよこの馬鹿でかい気は…!」

「お、お父さん大丈夫かなお姉ちゃん…」

悟林は何も言わず、ただその場所を見ている。

どうすればいいのかは分かっているが、どうしなければいけないのかも分かっている。

「私、戻るよ!大分離れてるけど、今の私が目一杯飛ばせばすぐに行ける!」

「ぼ、僕も行く!」

悟林がオーラを纏うと、悟飯は咄嗟に悟林の手を掴んだ。

「ちょ!?2人共!待てよ、俺も行くよ!!」

クリリンが空いている悟林の手を掴むと悟林は一気にフルスピードで悟空とベジータのいる戦場に向かう。

途中で凄まじい大爆発が起きたことで悟空の気が更に小さくなった。

「お父さんの気がさっきより小さくなった…!急がないと!!」

「す、凄えスピードだ…もう着いちまった……あっ!?悟林ちゃん!止まってくれ!」

目的地に着いて視界に映った物に見覚えがあるクリリンは悟林は急停止させた。

「な、何なの…?あれ?」

「あのベジータって奴が大猿になったんだ!でも月がないのにどうやって…!」

「月って…あれじゃない?」

悟飯は大猿に驚愕し、クリリンは月がないのにベジータが大猿になっていることに疑問を抱くが、上空に浮かんでいる光の玉が原因ではないかと悟林は指差した。

「あれが月の代わりを果たしてるのか?とにかく悟空を助けないと!悟林ちゃんは悟空を助けに行ってくれ、俺と悟飯は何とか奴の尻尾を切る!サイヤ人は尻尾を切れば元に戻るんだ!」

「分かった!」

近付いて分かったが、悟空の気はほとんど残っていない。

もし少しでも遅れていたら取り返しのつかないくらいの重傷を負っていただろう。

悟空がベジータに弾き飛ばされて岩に叩き付けられて動けないところをベジータが踏み潰そうとしたギリギリで悟空を助けることに成功した。

「悟林!?」

助けられた悟空はカメハウスに向かわせたはずの娘がここに来たことに驚く。

「こいつは驚いた。カカロットのガキじゃないか!なるほど、父親と一緒に死ぬために来たってわけか!よーし、ならばお望み通りにしてやろう。俺は優しいんだ」

「な、何で来たんだ…!?」

「大丈夫、悟飯とクリリンさんがサイヤ人の尻尾を切ろうとしてるの。サイヤ人は尻尾を切れば元に戻るんだって…」

最後に見た時と比べれば、悟空は酷く疲弊していてボロボロである。

きっと限界ギリギリまで闘っていたのだろう。

「尻尾を切れば…?」

「お父さん、私の気をあげるから頑張って…!」

悟空は悟林の気を分けてもらったことで少しだけ体に力が戻ったような感覚を覚えた。

「す、すまねえ…あいつの尻尾をクリリン達が切るまで持ちこたえりゃいいんだな?」

「うん!」

「よし、行くぞ悟林!」

2人は同時にベジータに気弾を発射した。

「痒いぞ!」

巨体な上に戦闘力が大きく上回れているからか、気弾が直撃してもベジータには蚊に刺された程度だ。

悟飯とクリリンはタイミングを狙うが、ベジータの動きが速いせいで狙いが定められない。

「うわあっ!?」

ベジータの拳をギリギリでかわすが、風圧で岩に叩き付けられてしまう。

「死ねっ!!」

殴り潰そうとするベジータの拳が迫る。

「避けろ悟林!!」

悟空の声に反応して慌てて回避したが風圧でバランスを崩しかける。

2人はベジータの周囲を飛び回りながら気弾で攻撃し続け、ベジータが攻撃の構えを取ればすぐに全速力で逃げ回る。

こちらは一撃でも喰らえば一巻の終わりなのだから。

「そうだ!かめはめ…波っ!!」

何か閃いたのか、悟林はベジータにかめはめ波を放った。

防御するまでもないと気を抜いていたベジータは悟林が腕を動かしたことで軌道が変化したかめはめ波に対応出来ずに右目に直撃した。

「うぁぎゃーーーっ!!」

「気円斬!!でりゃあああーーっ!!」

目を焼かれたことでベジータは苦しんで動きを止め、そこをクリリンが気の刃…気円斬で尻尾を切り落とした。

「ぐ…っ!畜生…!お…俺の尻尾を~…!」

体が縮んでいくベジータを見てクリリンは悟空達と合流する。

「これであいつは元に戻るぞ…」

「そうか…クリリン、今のうちにおめえに渡す…オラが地球中から集めた元気玉を…!」

「え?な…何を渡す…って!?」

「元気玉…地球中から少しずつ集めた気だ。半分くらい逃げちまったけど、今のあいつなら倒せると思う。」

クリリンの手を掴むと悟空の手から元気玉の気がクリリンの手に宿った。

「わわっ!なっ、何だっ!?こ…これ…!すす…凄え…!物凄え気だっ…!」

「オラ達がベジータを食い止めるから隙を見てあいつに元気玉を当ててくれ。そいつを手のひらを上に向けて集中させるんだ。そうすれば玉が出来る…悟林、悟飯…力貸してくれ。父ちゃんは体がガタガタで限界が近え…でもおめえ達が力貸してくれれば何とか戦えそうだ。」

本来なら元気玉の使い手である悟空が良いのだろうが、いくらダメージと界王拳の乱用でボロボロでもこの中では充分強い。

しかし、ベジータも疲弊したとは言えまだ闘える状態だ。

押さえ込むには悟空も闘わなければならない。

「分かった。悟飯、私とお父さんがあいつに突っ込むから悟飯は離れた場所で攻撃して気を逸らしてくれる?」

「そうだな、頼めるか悟飯?あいつの気を少しでも逸らしてくれればオラ達も大分助かる」

「は、はい…!分かりました…!」

そして体のサイズが元に戻ったベジータが怒りに身を震わせて悟空達を睨み付ける。

「き、貴っ様らぁ~…俺を怒らせてそんなに死にたいか~…だったら望み通りぶっ殺してやるぞーっ!屑共めーーーっ!!」

「「はあああああーーーっ!!」」

ベジータが超スピードで悟空達に突っ込み、悟空と悟林は悟飯に援護を任せてベジータに突撃した。

クリリンも何とか元気玉の玉を作り終え、攻撃のタイミングを狙う。

3人が激突し、同時に吹き飛ばされるものの、悟空と悟林はベジータに猛攻を仕掛ける。

「この落ちこぼれがあっ!!」

「ぐおっ!?ぐっ!」

ベジータの拳が悟空の腹にめり込むが、悟空はベジータの腕を掴んで動きを止めると、ベジータの顔面に悟林の蹴りがお返しとばかりに炸裂する。

「よくもお父さんを!」

ベジータに連続で拳や蹴りを繰り出すが、ベジータも負けじと悟林を殴り返す。

「ぐっ…この糞ガキが…っ!」

「いい加減に倒れてよね…!悟飯ーーーっ!!」

「魔閃光ーーーっ!!」

悟林の声に悟飯は魔閃光をベジータに直撃させて幾分か後退させる。

「はあっ!!己……!?」

魔閃光を気合いで消し飛ばすと正面に悟空と悟林はいない。

「「だあっ!!」」

そして次の瞬間、真横からの2人の同時攻撃を受ける。

「ぐ…!うおおおおーーーっ!!」

悟空を蹴り飛ばし、悟林も上空に殴り飛ばして悟飯との距離を詰める。

「あっ!」

「死ねっ!」

咄嗟に悟飯は気弾でベジータを攻撃するものの、それをかわして悟飯の腹を殴り付けた。

「…が……」

あまりの威力に蹲る悟飯。

ベジータがとどめを刺そうとするが、それよりも速く悟空がベジータとの距離を詰めた。

「うおおおおおーーーっ!!」

「ぐおおおおっ!?」

界王拳のオーラを身に纏い、ベジータに突進して悟飯から引き離す。

「悟飯!大丈夫!?」

「う、うん…」

ベジータとの闘いのダメージでふらつきながら悟林が少しだけ悟飯に気を分けると痛みが多少はマシになったのか悟飯が立ち上がる。

「悟飯、あれやるよ。」

最大威力の魔貫光殺砲は悟空と悟飯に気を分けたり、ベジータとの戦闘ダメージで消耗しているので後一発が限度だろう。

「あ、あれ?あいつに当たるかな…?」

「当たらなくても隙を作れれば良いの。クリリンさんの元気玉を当てられれば良いんだから」

早くしなければ悟空がやられてしまう。

界王拳で誤魔化しているが、元々限界が近い状態では長続きしない。

岩が砕ける音に2人はハッとなって向こうを見ると、ベジータに殴り飛ばされた悟空が岩に叩き付けられていた。

2人は慌てて技の体勢に入った。

「うぐ…ぐっ…!」

「落ちこぼれの屑の癖に手こずらせやがって…貴様を始末したら貴様のガキ共…そして俺様の尻尾を切りやがった野郎だ!」

拳に気を纏わせて悟空の息の根を止めにかかるベジータだが、悟空は最後の力を振り絞った。

「界王拳…5倍だあーーーっ!!」

「何!?」

ベジータとの距離を一気に詰めると、超スピードでの頭突きを喰らわせた。

「ぐがあっ!?」

額から血を流しながら仰向けに倒れたベジータ。

「あ…うう…っ!」

5倍界王拳の代償で身動きすら取れなくなった悟空。

ベジータは額を押さえながら何とか立ち上がった。

「お、己…カカロット如きに…俺の気高い血が…!絶対に許さんぞカカロット…!」

動けない悟空に歩み寄るベジータ。

「「ベジーターーーっ!!」」

「っ!!」

双子の声にベジータの視線が双子に向けられた。

「魔閃…」

「光殺砲!!」

ベジータに向けて発射された魔貫光殺砲と魔閃光の合わせ技。

魔閃光に魔貫光殺砲の気功波が螺旋を描き、そして1つとなってベジータに迫る。

「や、やばい!!」

高速で迫る魔閃光殺砲の威力は疲弊しているベジータでは受け止めることも相殺も出来ず、ベジータに回避を迷わず選択させた。

ギリギリで回避し、岩山を跡形もなく粉砕した威力はベジータさえも戦慄させる程だったが、回避直後の気の緩みを狙った元気玉がベジータに直撃した。

「ぐわあああ~っ!!」

閃光が走って遥か上空にベジータの体をそのまま持っていった。

「……やった…んだよね?」

「た、多分…」

悟林の呟きに悟飯が答えるとクリリンの歓喜の声が聞こえてきた。

「ひゃっほーっ!やったぁーっ!!やった!ははっ、やったぞ悟空ーーーっ!!」

クリリンは界王拳のダメージで倒れている悟空の元に駆け寄り、双子も気のほとんどを使い果たしたことでふらつきながら悟空の元に歩み寄った。

「とうとうやったな…」

「大丈夫?お父さん?」

悟林が尋ねると、悟空は苦笑しながら答えた。

「はは…指を動かすことも出来ねえや…やっぱ、5倍の界王拳は…無理があったなぁ…」

「でも、もう大丈夫だ。何回も駄目かと思ったけどさ、あれを喰らったら流石のあいつもおしまいだ」

それをクリリン達に確信させるだけの威力があの元気玉にはあったのだ。

次の瞬間、ベジータが地に落ちてきた。

受け身も何もなく、元気玉の強烈なエネルギーに全身をやられ、ただ地面に仰向けに倒れている。

「サ、サイヤ人が…!」

「生きてるのかな…?」

双子が不安そうに呟くとクリリンが何気なく近づき、小さく息を吐いた。

「大丈夫、死体だ。くそったれ…とんでもねえ奴だったけど…墓ぐらい作ってやるかな…」

「……貴様らの墓をか!?」

「!?」

聞こえるはずのない声に悟林は身を強張らせてぎょっとする。

ベジータは、元気玉を喰らって尚、生きていた。

「随分酷い目に遭わせてくれたな…い…今のは俺も死ぬかと思ったぜ。か…かなりのダメージは喰ったが…貴様らゴミを片付けるぐらいの力は残っているぞ。貴様らを殺した後、体力の回復を待って…この星を徹底的に破壊してやる!」

クリリンが殴り飛ばされ、殴り飛ばした者など気にもせずに、ゆっくりと近づいてくるベジータ。

「悟飯!お父さんをお願い!」

2人を守るように前に出る悟林。

「貴様ら~、このベジータ様の力を限界近くまで使わせやがって…数人掛かりとは言えゴミ共を相手にこれじゃあプライドが傷付いたぜ…いい加減にしてくたばっちまえ…!」

「だあああああっ!!!」

悟林は拳を構えてベジータに突撃した。

「ずあっ!!」

ベジータは全身の気を放出し、自分の周囲を爆発させた。

気爆破を至近距離でまともに喰らった悟林は大きく吹き飛ばされてしまう。

体に蓄積したダメージも手伝って、悟林は動く事が出来ない。

他の仲間がどうなったのかを確認しようと、目を必死に開けるが、見えたのは地面だけだ。

ベジータの気が、悟飯の気に近づいていく。

このままでは悟飯が殺されると思った瞬間、聞き慣れない声が届いた。

悲鳴ではなく、攻撃の際の叫びであり、状況を見ると何者かが攻撃したのか、ベジータは地面に伏していた。

しかしベジータはすぐに立ち直り、何者かを攻撃した。

元々の驚異的なパワーは削がれているため、一撃で死ぬような事はないようだ。

他の面子を確認すると、とてもじゃないが動けそうにない。

悟林も気爆破を諸に受けてしまい、まともに動けない。

「悟飯ーっ!!空だ…!空にある光の玉を見るんだーーっ!!」

悟空の声が響き渡り、仰向けになっていた悟飯がそれに従って空を見ると、変貌を始めた。

驚きに目を瞬かせ、大猿化したのが悟飯なのかと本気で訝る。

大猿にならせまいと、ベジータは必死に悟飯の尻尾を引っ張っていたが、焦っていたのもあってか失敗した。

大岩を持ち上げ、凶暴に吠える弟に向かって叫んだ。

「悟飯!ベジータを……サイヤ人を攻撃して!!」

暴れていた悟飯が、ぴたりとその動きを止めて声のした方角を見た。

「サイヤ人を倒して…みんなで帰ろう!!」

悟林の言葉が通じたのか、悟飯は標的を絞ってベジータに向かって岩を投げつける。

悟林の傍に何とか来ていたクリリンはその様子を見て小さく笑った。

「そ、そうだよ…っ…悟飯は…半分は地球人なんだもんな…!」

悟飯がベジータに向かってジャンプした。

尻尾が重力で下に垂れ下がり、そこを狙って、ベジータがクリリンの気円斬のような物を作り出した。

「くそったれーーーっ!!」

悟飯に向けて投擲され、音を立てて尻尾が切れる。

だがベジータは力を使いすぎた反動か動けなくなり、小さくなりながらも、まだ大猿の状態が続いている悟飯の体の下敷きになった。

虫の息状態のベジータは何かリモコンを操作し、宇宙船を呼び出した。

ようやく戦いが終わったのだと悟林の意識は安堵と共に途切れた。 
 

 
後書き
ヤジロベー、尻尾切りさせてやれなくてすまんかった。 
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