ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
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第6話
前書き
サイヤ人編の悟空が一番人間臭かった気がする。
まあ、神様が死んでドラゴンボールがないからそれの影響もあるんだろうけど
悟林達は界王での修行を果たした悟空の飛躍に目を見開いた。
戦闘力をベジータ曰く8000以上にまで上昇させた悟空は自分達が苦戦したナッパの猛攻を物ともせずに逆に痛打を与えていく。
「な、なあ……悟飯、悟林ちゃん。今の、見えたか?」
「い、いえ……お姉ちゃんは?」
「ちょっとしか見えない…かな?」
謎のパワーアップを果たした悟林にも微かにしか見えないくらいに今の悟空は速い。
今度は悟空が猛攻を加えてナッパを岩山に叩き付けたが、ナッパは岩を払いながら立ち上がった。
悟空の攻撃は確実にナッパにダメージを与えていると言うのにまだまだ倒れる程ではない。
ナッパは恐ろしく強いが、特筆すべきは驚異的なタフネスだろう。
いくら戦闘力に差があるとは言え、悟林達が追い詰められたのはナッパのこのタフネスによるところが大きく、このナッパのタフネスには流石の悟空も驚いた。
しかし、ナッパを肉体的にも精神的にも追い詰めているのは事実だ。
「クリリンさん、お父さん凄いよ!」
「ああ!これなら勝てる…勝てるぞ…!」
「は、はいっ…!」
3人にも希望と余裕が戻り始め、下級戦士に圧し負かされているという怒りから、完全に頭に血が上っているナッパに、ベジータが激しい怒号を飛ばした。
「愚か者め!頭を冷やせナッパ!冷静に判断すれば捉えられんような相手ではないだろう!落ち着くんだっ!!」
ベジータの鋭いの声に、ナッパは少々冷静になったのか息を整え、悟空にまず、気による爆発の攻撃を仕掛けるが、先ほどまでとは多少違って、動きを捉えられている。
上空で戦っているために詳しくは分からないが、冷静さを取り戻したところで、どう見ても悟空が優勢だ。
「お父さんと渡り合ってる…でも…」
「ああ、それでも悟空には余裕がある…!勝てるぞ…!」
「っ…!」
興奮気味にクリリンが言い、悟飯が喜んで頷く。
ナッパがかぱっと口を開き、悟空に向かって凄まじい威力の気砲を放ったが、かめはめ波によって切り返されて逆にダメージを受ける結果となる。
しかし、実力差のある悟空のかめはめ波を多少は受けたにも関わらずまだ闘えそうなナッパのタフネスには驚くしかない。
悟空もナッパのタフネスが予想外だったのか少し表情が険しくなっている。
それを見たベジータが、苛々しながら大声を出した。
「もういい、ナッパ、降りて来い!貴様では埒が明かん!俺が片付けてやる!!情けない奴だ…まさかあのカカロット相手にこの俺がわざわざ動くことになるとはな…」
「い…いよいよあいつが…あ…あのでかい奴さえあいつには怯えていた…」
「………」
悟林はベジータではなくナッパに視線を向けていた。
あの男がいくら命令だからと大人しく引き下がるとは到底思えない。
何やら喋っていたナッパはゆっくりと下降し、ナッパの視線が、悟林達を捕らえて3人に向かって突進してきた。
悟空も慌てて追い掛けるものの、追い付けない。
しかし、ナッパを警戒していた悟林は既に気を溜め終えていた。
「ピッコロさんやみんなの仇だーーーっ!!」
「うおおおおっ!?」
フルパワーの魔閃光が不意を突かれたナッパに直撃し、押し返していく。
「でかしたぞ!界王拳!!」
そして悟空も赤いオーラを纏ってパワーとスピードが向上した状態で魔閃光によって押し返されているナッパの背に突進による強烈な一撃を与えた。
前後からの攻撃によってナッパの背から骨が砕ける音がした。
背骨が砕けたことで動けなくなったナッパを持ち上げるとベジータの横に投げられた。
「界王拳…?」
「もう闘えないはずだ…連れてとっとと地球から消えろ!」
ほんの僅かな時間だったが、パワーもスピードが急激に上がったことに悟林は目を見開いた。
後ろのクリリンや悟飯も同様のようだ。
「凄いじゃないか悟空!界王拳だっけ?ど、どうなってんだ?界王様って人に教えてもらった技なのか?」
「ああ、界王拳は体中の全ての気をコントロールして瞬間的に増幅させるんだ。上手くいけば力もスピードも破壊力も防御力も全部何倍にもなる…」
「す、凄いねお父さん…でもそんなに急に強くなって体は大丈夫なの?」
人は自分の体を壊さないように無意識に力をセーブすると聞いたことがある。
急激なパワーアップに悟空の体は大丈夫なのだろうか?
「大丈夫だ…って言いてえけど、上手く気を抑えながらコントロールしねえとオラ自身が参っちまうんだ…限界を超えた界王拳は体にかかる負担が大きすぎるんだ。界王拳に体がついてけなくなっちまって体がぶっ壊れちまう。今のオラは2倍の界王拳が限界なんだ」
「ふうん……」
悟林は取り敢えず界王拳で無理はしてはいかんということだけは理解した。
次の瞬間。
ナッパの体がベジータによって大きく空に投げ飛ばされた。
4人の視線が、一気にベジータとナッパの2人に引き寄せられる。
「わあああーっ!!なっ、何を…!ベジータ!ベジーターッ!!」
「動けないサイヤ人など必要ない!死ね!!」
ベジータは全身にエネルギーを纏うと、上空のナッパに向けてエネルギー波を放ち、爆砕した。
悟空は双子を抱え、悟林は悟空に抱えられた時クリリンの腕を咄嗟に掴んでいた。
あの一瞬で舞空術を使って上空に退避しなければエネルギー波の余波でダメージを受けていただろう。
「な…なな…何て奴だ…じ…自分の仲間までこ…殺しちまいやがった…」
あの異常なまでのタフネスを誇ったナッパが一撃で消し飛ばされる様は悟空の勝利の余韻を吹き飛ばすには充分過ぎる程だ。
ベジータの力の片鱗を見た悟空は3人を安全な場所に避難させることにした。
「おめえ達は今すぐカメハウスに帰ってくれ!」
「「え?」」
双子が同時に悟空を見上げ、その理由を察したクリリン。
「…そ…そうか…2人共、聞いただろ。早く行こう!」
「え!?だ…だって…」
「でも、お父さん1人で…」
「あいつは凄すぎるんだよ!俺達がいたって何の役にも立てない!却って悟空が気を遣って邪魔になるだけなんだ!」
ナッパにさえ勝てなかった自分達がいたところで闘いの邪魔になるだけなので、クリリンは双子を説得する。
「すまねえな…あいつの強さは思ってた以上みたいなんだ…」
「は…はい…分かりました…」
「…うん、分かった。そうだ、お父さん。場所を変えて戦ってくれる?」
「悟林……いや、それは別に構わねえけど……何でだ?」
クリリンがハッとして悟林を見遣ると後の言葉を引き継ぐ。
「みんなが生き返る可能性があるんだ。だから体が無茶苦茶になったら悪いだろ?」
「生き返った時…って、ピッコロが死んで神様も死んじまった…ドラゴンボールはもう永久に無くなっちまったんだ…残念だけどみんなは二度と生き返りはしねえ…」
ピッコロがいなくなった事で、神様も消えたことでドラゴンボールはもう地球にはない。
けれど、クリリンも悟林も1つの可能性を頭に描いていた。
「…!ク…クリリンさん…ひょっとして…」
「詳しい事は後で話す…!悟空があいつに勝つ事が出来たらら……!」
「勝てたら…か…そうだな……勝たなくちゃな…何としても…」
「何をしている。さっきまでの勢いはどうした!怖じ気づいて逃げ出す相談か!?」
ベジータの言葉にもう話す時間は無さそうだと悟空は大きく息を吐き、動きのないベジータを見遣る。
「さーてと、じゃ、場所を変えて頑張ってみっかな…!とにかくオラに任せてくれ」
横からクリリンがそっと悟空に手を出した。
「悟空よ……いつもお前にばかり運命を任せて悪いな。絶対に死ぬなよ、親友…!」
「ああ!悟飯、生きて帰ったらまた釣りにでも行こうな。悟林もまたオラが修行つけてやっからな」
「は、はい!」
「頑張ってお父さん!」
双子の頭をぐりぐりと撫でると、悟空は下に降りていった。
ベジータと悟空が場所を変え、飛んでいった後に残された3人は、小さく溜め息を吐いた。
「……とにかく、カメハウスへ行こう」
クリリンの言葉に従い移動し始めた。
悟林は悟空の飛んでいった方向をしばらく見つめていたが、悟飯とクリリンを追い掛けた。
後書き
真正面から凄い勢いで押し返され、背後から10000超えの突撃を喰らって原作以上のダメージを受けて再起不能となったナッパ。
そしてとどめを刺すベジータ。
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