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レーヴァティン

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第二百三十二話 北の端までその十二

「そこはな」
「そうだな」
「自分でいけてると思っててもな」
「周りから見ては駄目だ」
「そういうこと多いからな」
「そうだな」
「世の中そういうことばかりや」
 耕平は軽い口調だがこうも言った。
「自分では出来てると思ってて」
「実は駄目だった」
「客観は他人が見る他人のことや」
「突き放して見るな」
「だからその評価もや」
 これもというのだ。
「かなりや」
「冷めたものになってだな」
「正しい場合もある、ただその逆にな」
「周りはわかっていないこともだな」
「ある、自分だけがな」
「そうした場合もあるな」
「ガロア然りや」
 十九世紀のフランスの数学者だ、天才であったが若くして決闘で世を去りその才能は死語に評価された。
「天才やったが」
「周りには理解されなかった」
「そやった、しかしガロアだけはな」
「わかっていたな」
「自分だけはな」
「そうだったな」
「もっとも天才を見抜くのも大事や」
 このこともというのだ。
「それが出来たら天下も統一出来る」
「劉邦然りや」
「そや、劉邦は周りが取るに足らんと思った人材もや」
「見抜いて重く用いたな」
「人に言われてでもな」
 韓信もそうだった、蕭何が見抜いて彼に用いる様に言ったのだ。
「そやった」
「だから項羽に勝った」
「あの項羽にな」
 史記に書かれた人物の中でも最強とも言われる彼にだ。
「そうも出来た」
「天才を見抜くのも大事だな」
「誰も軽く見てる様なな」
「そういうことだな」
「しかし主観と客観がちゃうのはな」
「常にあることだ」
「それで自分もや」
 英雄もというのだ。
「それがし達は出来てるってな」
「思っているか」
「充分な、自分でも思っててな」
「そうしてだな」
「それがし達もや」
「主観と客観が同じか」
「その場合はええ、滅多にないことかも知れんが」
 それでもというのだ。
「それやとな」
「いいな」
「そや、それでや」
「俺はこのことには安心していいか」
「ああ、よお出来たで」
 奥羽の戦全体の采配がというのだ。
「ほんまにな」
「ならだな」
「ああ、これからはな」
「俺達でだな」
「ことを進めてくで」
「奥羽の戦の後始末をな」
「その為の政をな」  
 それをというのだ。 
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