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レーヴァティン

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第二百三十一話 平泉からその十二

「自分達だけとはな」
「やはりそれは」
「人としてどうか」
「それに幾ら交流が薄いとはいえです」
「交易等では利益もありますし」
「そうしたことを考えますと」
「世界は救われてだ」 
 そうなってというのだ。
「そしてだな」
「多くの者が復活し」
「そして動いて働いて欲しいです」
「そのうえで、です」
「交易等もしたいです」
「そうだな、道徳と利益は共にある」
 人の中にというのだ。
「それが人というものだ」
「左様ですね」
「正しいと思うことに従い」
「そのうえで利益を求める」
「そうしたものですね」
「中にはどちらかだけの者もいる」
 人の中にはというのだ。
「そうなるとおかしくなる」
「左様ですね」
「道徳だけですと偏ります」
「人としてそうなります」
「そして利益だけならです」
「浅ましくなります」
 幕臣達も答えた。
「堂々と己さえよければいいと言いその様に動いている者なぞ」
「付き合いがあってもその付き合う者も内心疎ましく思います」
「真の付き合いなぞ有り得ません」
「自分だけの輩なぞ」
「そうなるものだ、そして道徳だけだとな」
 良心のみならというのだ。
「それだけで偏りが出来てだ」
「おかしくなりますね」
「人として」
「妄信してしまえば」
「妄信は忌むべきものだ、やがて自分の良心以外を認めなくなり」
 そうなってというのだ。
「やがてはな」
「己だけの輩と同じですね」
「そうなりますね」
「結果として」
「そうなる、人は道徳と利益があるからだ」
 相反すると思われる二つがというのだ。
「それでいいのかも知れない、だからこそだ」
「この世界が救われたい」
「そう思うのですね」
「左様ですね」
「そうだろう、では俺もだ」
 英雄もというのだ。
「この世界を救い蘇った世界と交易をしてだ」
「利を得ますね」
「そうしますね」
「そうする」
 必ずというのだ。
「俺もな」
「そうされますね」
「その利の為にもですね」
「この世界を救う」
「そうされますね」
「そうする、それにだ」
 英雄は表情を崩さずこうも言った。
「今は人間の女だけを抱いているが」
「他の種族の女達もですか」
「抱いてみたいですか」
「そうなのですか」
「そうも思っている」
 女のこともというのだ。
「俺は女が好きだからな」
「それ故にですね」
「人間以外の種族の女も抱いてみたいのですね」
「そうなのですね」
「多くの種族がいるならだ」 
 この世界のというのだ。
「その中のな」
「美しいおなごならですね」
「抱いてみたい」
「種族に関わらず」
「俺はそうした偏見はないつもりだ」
 種族が違えどというのだ。
「現に人間でもだ、髪や肌や目の色に関わらずな」
「抱かれますか」
「そうされていますか」
「上様は」
「西の浮島の女はだ」
 彼女達の話もした。
「肌は白く髪はな」
「金や茶、赤、白、銀と様々ですね」
「黒もありますが」
「そして目もです」
 こちらの話にもなった。
「様々です」
「青や緑。灰色、紫、水色と」
「実に様々です」
「そうした女達も抱かれる」
「だからですね」
「人間以外の女も同じだ」
 そうだというのだ。
「ではその女達に会い抱く為にもな」
「この世界を救って下さいますね」
「そうして下さいますね」
「必ずな」
 幕臣達に告げた、そうした話もしつつ英雄は今自分がやるべきことを行っていった。世界を救うことを目指して。


第二百三十一話   完


                    2021・10・23 
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