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レーヴァティン

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第二百三十一話 平泉からその四

「やはり違う、人目があるとな」
「違いますね、それでも」
「褒美に加えて」
「飯もよくし休ませて」
「そして目付も置くと」
「それでいいですね」
「皆よく働く、辛い仕事でもな」
 それでもというのだ。
「そうなる、だからこれからもな」
「その様にしてですね」
「皆を働かせますね」
「そうしますね」
「その様にする」
 英雄は城の再建でも人を働かせた、そうして天守閣もそうしていった。彼はいよいよ城を奥羽の戦と政の要にしていったが。
 そこから奥羽全体を見てだ、今度は将帥達に言った。
「敵は平泉からだ」
「北ですね」
「そちらに逃げますね」
「そうしますね」
「だからだ」
 それでというのだ。
「幕府もだ」
「軍を北にやりますね」
「そちらに」
「そしてですね」
「港もですね」
「湖から船で軍をやりな」
 そうしてというのだ。
「抑えていっているが」
「これからもですね」
「そうしていきますね」
「津軽や陸奥の方まで」
「そうしますね」
「そして逃道を塞ぎ」
 そうしてというのだ。
「袋の鼠にしてな」
「徐々にですね」
「追い詰めていきますね」
「奥羽の中で」
「そうしていきますな」
「そうだ、ただ敵は逃げ足が速い」
 英雄はこのことも話した。
「山の中を馬で素早く進むな」
「そうしてきますな」
「優れた馬術で」
「また小さな馬も多いので出来ます」
「そうしたことも」
「だから奴等より先に陸奥や津軽まで至ることは難しい」
 英雄はこのことも述べた。
「それなら無理をせずにだ」
「このまま北上を続け」
「平泉の後もですね」
「無理に津軽や陸奥に進まず」
「一つ一つことを進めていきますね」
「そうする、徐々にでもだ」 
 それでもというのだ。
「ことを進める、そしてだ」
「そのうえで、ですな」
「敵が津軽や陸奥に逃れれば」
「港を抑え」
「万が一蝦夷に行かれない様にする、若しくは港から陸奥や津軽を掌握し」
 そこから兵を進めてというのだ。
「先回りとするか」
「それも手ですが」
「その場合その軍勢の兵糧や武具を送るのは湖からのみとなります」
「陸路からは出来ません」
「それではいささか不安がありますな」
「どうしても」
「すぐに陸とつながればいいが」 
 そちらから進む軍勢と合流してだ。
「しかしな」
「それもですね」
「難しいですね」
「どうしても」
「やはり」
「これまではそうしてきたが」
 それでもというのだ。 
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