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レーヴァティン

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第二百三十話 飢饉その四

「してきているしな」
「それにより」
「しかと動いていきますね」
「そして攻めていく」
「左様ですね」
「そうしていく、またいつも言っているが飯はだ」 
 英雄はこちらの話もした。
「熱く栄養のあるものをな」
「多くですね」
「多く食うべきですね」
「左様ですね」
「そうだ、たらふく食いだ」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「戦う」
「満腹でかつ身体を温め」
「英気を備えたうえで」
「そうしていくことだ、俺もだ」
 他ならぬ英雄自身もというのだ。
「そうしているしな、それで今夜の俺の飯だが」
「はい、軍鶏鍋です」
 周りの者の一人が言ってきた。
「そちらです」
「そうだったな」
「軍鶏にです」 
 それをはじめとしてというのだ。
「葱に白菜、茸に豆腐に糸蒟蒻を入れた」
「その鍋だな」
「城の者達もです」
 彼等もというのだ。
「同じです」
「軍鶏鍋だな」
「皆同じです」
「そうだな」
「左様です、ただ上様は」
「兵達と同じものを食ってもか」
「よいのですね」
「いい」
 これが英雄の返答だった。
「これもいつも言うがな」
「贅沢はですね」
「興味がない、食いものは美味いと思えばだ」
 それでというのだ。
「構わない」
「そうなのですね」
「俺は贅沢よりもだ」
「ご自身が満足されれば」
「それでいい」
「そうでしたね」
「だからだ」
 それでというのだ。
「贅沢はいい」
「それよりもですね」
「美味いかいいと思うことだ」
「それだけですね」
「服も同じだ、絹でなくともな」
 それでもというのだ。
「綿で着心地がいいとな」
「それでいいですね」
「上様は」
「だから御所も質素で」
「何もかもが」
「いいかどうかだ、銭や人を使っていいものになるか」
 それはというのだ。
「そうとも限らないな」
「確かに」
「そこはそれぞれです」
「それぞれの好みです」
「あくまで」
「充分ならいい、だから今日の飯もな」
 夕食であるがそれもというのだ。 
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