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レーヴァティン

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第二百二十九話 姿を隠しその十

「そうする、そして罪を犯したことをだ」
「天下に知らせる為に」
「他の重罪人も同じだがな」 
 他の重罪を犯した者達と同じくというのだ。
「顔にまでだ」
「入れ墨を入れていますか」
「罪人に情けなぞいらん」
 英雄は言い切った。
「敢えて罪を犯した重罪人になぞな」
「だからですな」
「そうしてだ」
 そのうえでというのだ。
「報いを受けさせる」
「顔に入れ墨のある者には何をしてもいい」
「その様に定めている」
 法によってそうしているのだ。
「そうしている」
「報いは徹底的に与えますか」
「そういうことだ、悪人を罰せずしてだ」
「法は成り立たず」
「世も成り立たない、善良な者が幸せに暮らすにはだ」
「悪人を罰することですか」
「悪人に報いを与え」 
 そうしてというのだ。
「罪を犯せばどうなるか」
「それを知らしめるのですね」
「そういうことだ、鉄の様に厳しい法とだ」
 それに加えてというのだ。
「子供が聞いて震え上がるまでの罰がだ」
「世をよくする」
「だからな」
 そうした考えだからだというのだ。
「これからもだ」
「国をその様に治めていきますか」
「そうしていく、これからもな」
「それは軍勢においてもですな」
「無論だ、功には褒美でだ」
「罪には罰」
「そうしていく、かつ休みも与え」 
 そしてというのだ。
「傷は癒したらふく食わせ禄もだ」
「弾む」
「そうしていく、人を大事にすればな」
「その人は長く働くことが出来」
「育ちだ」
 そうしてというのだ。
「やがてはな」
「よき人材にもなりますな」
「軍勢だけでなく民もだ」
「そこは同じですね」
「法と罰は厳しくするが」
「人は大事にしますか」
「そうしてこそ世はよくなる」
 こう言うのだった。
「実際に幕府の政は収まっているな」
「そうかと」
 僧侶は正直に答えた。
「拙僧が見てもです」
「遠慮なく言ってだな」
「上様はここで拙僧が否と言って何かされますか」
「する筈がない」
 英雄は一言で答えた。
「そんなことはな」
「言っただけでは」
「それが人を貶め傷付けるものでもなければだ」 
 そうでない限りはというのだ。
「言えばい」
「まさにそこがです」
「答えか」
「左様です、拙僧が言えたことが」
 まさにそれこそがというのだ。
「左様です」
「そういうことだな」
「はい、では」
「これからもだな」
「その様にです」
「政を進めていきいいな」
「そうかと」
 こう英雄に言うのだった。
「何かあってはです」
「その時にだな」
「言われます」
「そうだな、それではな」
「その時に言われたことも」
「聞く、ではな」
「はい、それでは」
「その様にしていく」 
 今の政の通りにとだ、こう言ってだった。
 英雄は休みもし厳格な法と罰もそのままにしていった、そうして今は会津において戦全体を見て城を建て直していくのだった。


第二百二十九話   完


               2021・10・8 
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