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レーヴァティン

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第二百二十九話 姿を隠しその九

「ない」
「そうなのですね」
「最初からな」
「この浮島では古来よりそうですが」
「むしろ人を去勢する考えもないな」
「はい」
 その通りという返事だった。
「まさに」
「そうだな」
「家畜は去勢します」
「牛も馬もだな」
「豚も」 
 そうした家畜達はというのだ。
「そうします」
「そうだな」
「ですが確かに人はです」
「そうはしないな」
「左様です」
 こう言うのだった。
「絶対に」
「女を襲う様な奴はそうしてもいいがな」
 英雄は冷徹に言い切った。
「別にな」
「それはいいですか」
「俺は罪人に情けはかけない」
 一切というのだ。
「だからな」
「そうした罪人には」
「そうしてもいい」
「だからですね」
「そうした奴は麻酔なしでな」
「切り取っていますか」
「そして潰している」
 その様にしているというのだ。
「痛みも与えている」
「悪人には容赦するな」
「微塵もな、罪を犯してしまった者と敢えて犯す奴は違う」
 言葉を完全に変えてだ、英雄は語った。
「犯してしまう者は過失かだ」
「仕方なくですね」
「だが犯す奴はだ」
 此方の輩はというと。
「確信犯でだ」
「行っている」
「同じ罪を犯していても全く違う」
「まして女性を襲うなぞ」
「それが一時の欲によるものでもな」
「確信犯ですね」
「しかもだ」
 それに加えてというのだ。
「これは癖になるそうだ」
「そうした輩は多いですな」
 僧侶も否定しなかった。
「ああした悪事は」
「人には好みがありだ」
「色のことでもですな」
「俺は何人もの女を一度にそれも何度もが好きだが」
 英雄は自分の色の好みも話した、彼はその外見や口調からは全く違い自分でも色好みであることを自覚している。
「中にはだ」
「襲うことを好む輩もいる」
「そうした奴はな」
「一度罰してもですな」
「罪を犯すからだ」
 そうした輩が多いからだというのだ。
「だからだ」
「罰しますか」
「そうする」
「切り潰してですか」
「痛みを与えたうえでだ」
 まさにそうしてというのだ。
「死ぬまでもな」
「去勢をしますか」
「そうすればだ」
「二度と襲わなくなる」
「色への欲がなくなるからな」
 それ故にというのだ。 
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