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DQ8 呪われし姫君と違う意味で呪われし者達(リュカ伝その3.8おぷしょんバージョン)

作者:あちゃ
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第二十五話:産まれる先は選べない

 
前書き
リュリュちゃんの頭の中には
お花畑が満開なのが分かります。 

 
(アスカンタ国領・地方の教会)
リュリュSIDE

早々にマイエラ修道院を出立した私達は、日が暮れた頃にアスカンタ国と言う名の土地にやって来た。
ここまでの道中何も無く、今日は野宿かと思われた矢先の教会発見である。
街や村がある訳でも無く、一軒の教会と一軒の民家のみが存在する、アスカンタ国領の端っこ。

民家に『泊めてもらえないか』と頼んだところ、教会ならばベッドも沢山あるので泊めて貰えるとの事。
確かに、この民家では我々大人数は泊まれない。
何より人の良さそうなお婆さんの一人暮らしに、この世の災悪的な男を泊まらせる訳にはいかない。

とは言え、簡単な食事をご馳走してくれるという事なので、遠慮せずにご相伴に与った。
図々しいと思われるかもしれないが、断る方が失礼かなと思ったので……
でもウルポンも同じ考えだったので、ちょっと気分は複雑。

とは言え私より遙かに図々しいウルポンが『こんな辺鄙な所に一人暮らしって、色々と不便じゃねぇの?』と、他人様のプライベートに土足で上がり込む最低男なので、私はまだマシな方だと思えた。

お婆さんはウルポンの失礼極まりない質問にも笑顔で答えてくれたよ。
何でもこの家の裏で畑を営んでいるらしく、そこで採れた野菜をアスカンタ国のお城でメイドとして働く孫娘さんに、逐次送ってるそうです。

孫娘さんもお婆さんの野菜が大好きらしく、畑を止める訳にはいかないと力強く仰ってました。
ご馳走になったお料理も美味しいし、孫娘さんもお婆さんの野菜を楽しみにしてるんだろうなぁ……
この野菜でなら私も料理が上手くいくかも………………無理か。

そう言えば孫娘さんの事で心配な事があるらしい。
何でも年に2~3回はお婆さんの家に帰ってきたのに、ここ2年ほど一度も帰省してないらしいんです。手紙は返事が返ってくるので、息災なのは確からしいんですけど、何かトラブルに巻き込まれてないか心配です。

結局のところ、ドルマゲ君の行方も解ってないし、もしかしたらアスカンタ国の城下町に何か足取り的なモノがあるかもしれないし、孫娘さんに会ってこようと思います。
キラちゃんって名前の孫娘さんだそうです。

因みに、そんな提案をして次の行き先を決めさせたところで、何かと文句を言うウルポンに『何か文句はある!』と睨み付けてやったら……『俺、今文句を言ってましたか? 俺の事好きだからって、一々気を引く為に突っかかってこないでくださいよ。面倒臭い』って言われた!!

好きじゃねーし! ってか大っ嫌いだし!!
そう力一杯否定したけど『はいはい。そういう事にしておきますよ。可愛いなぁもぅ』って言われた!!
ムカつく! ホンッとムカつく!!

そしたらね、ククちゃんが……
『なるほど……関わり合わないのが得策というのは、こういう事か』
って納得してた。

そして教会に移り一晩泊めて頂く事に……
外から見ても教会としては普通の大きさだったけど、私達の大所帯でも寝られるベッド数。
とは言え、宿屋じゃないので全員雑魚寝状態。

私が奥のベッドに入ろうとしたら、ウルポンが『リュリュさんは入り口から2番目のベッド、ラングはその隣の入り口から1番目のベッド……俺は3番目で寝る。異論は許さん』と勝手に寝る場所にまで口を出してきやがった。

私が異論を唱えようとしたら『万が一、族が侵入してきても、入り口に近いラングが素早く撃退するだろうし、数が多くても俺が後方から援護できる。如何なる事態でもリュリュさんを守れる布陣です』って言うの。

ブッ飛ばしたい。
私は守って貰わなくても大丈夫なのに……
でも下手に反発すると、また修道院の時みたいに“立場が解ってない”とか言われそうだし、たった一晩の事なんで許してやる事にし、大人しくベッドに潜り込んだ。

そう言えば思い返せば敵が現れると、何時(いつ)も同じ布陣で身構えてる。
ラン君がスッと私の前に出て、ウルポンが全体を見渡す様に後ろへ下がる。
そんなに戦闘をさせてくれない。私を守ってたって事?

暫くそんな事を考えてウトウトしてたら、外から人の声が聞こえてきた。
マジで族かと思ったけど、声の主はククちゃんとトロデさんです。
あ、トロデさんは見た目がアレなんで、外でミーティアちゃんと野宿です。

話の内容はククちゃんの身の上話。
何でもククちゃんは元々領主の家に産まれたそうです。
今は没落しちゃったらしいけど。

デコちゃん(マルチェロ)も同じお父さんだったらしいんですが、デコちゃんは仕えてるメイドさんとの間に産まれたみたいで、最初の内は待望の息子として可愛がられてたらしいんですが、奥さんとの間にククちゃんが産まれ、心労からかお母さんが他界されちゃってデコちゃんは家を追い出されたそうです。

最低な父親です!
私のお父さんとは天と地との差以上のクズっぷりです!
まぁ私のお父さんと比べたら世界中の父親は平均以下ですけどね。

でも、よくよく考えるとお父さんって凄い。
私のお母さんはお父さんの奥さんじゃ無いし、住んでる国も違う田舎の女性だけど、何か困った事があれば直ぐに助けてくれるし、どの子にも常に愛情を振りまいてくれてる。

話はククちゃんに戻るけど、そんな溺愛されてたけど結局彼が子供の頃に家が没落しちゃって、デコ兄ちゃんと同じように修道院に行ったみたい。
院長が優しかったから、そんな孤児とかを受け入れてたんだって。

で、あんなに仲が悪い原因は、ククちゃんが産まれた事でデコちゃんが居場所を失って、辿り着いた先にもククちゃんがやって来て『また俺の居場所を奪うのかよぅ』って逆恨みしてるんだってさ。ククちゃんも産まれたくて、そんな最低親父の元に産まれた訳じゃないのにね。

そう言えば隣で寝てるウルポンも、彼女が2人居て片方を孕ませ、しかもそっちとは結婚しないとぬかしやがった。
最低クズ親父道まっしぐらじゃん!
既にクズなのだから、どんなに足掻いてもクズじゃん!

こんなクスを父親に産まれてくる赤ちゃんが可哀想。
産まれてくる先を選べないからね。
あぁそっか……だからあの時、私の態度にお父さんが怒ったんだわ。

ウルポンの子供が産まれるって聞いただけで、思わず拒絶反応的にお母さんになるリューノちゃんに失礼な態度をとってしまった。
寧ろあんなクズの子供を産み、あんなクズの子供として産まれる母子には同情すべきだったわ。

元の世界に戻ったら、リューノちゃんに優しくしよう。
赤ちゃんも生まれたら、私を初め周囲の常識人で、父親の様なクズにならない様にサポートしよう。
もう一人の彼女……マリーちゃんにも注意を促そう。

彼女は自分の意思で、このクズを好きになったのだから仕方ないとしても、産まれる先を選べない赤ちゃんの為に、ウルポンと子作りだけはしない様にって……
あの()、私達姉妹の中じゃ一番常識に欠けてるから、周囲の常識人でサポートしないとね。

お兄ちゃん(ティミー君)は親馬鹿過ぎて当てにならないし、一番頼りになるお姉ちゃん(ポピーちゃん)は嫁いじゃってて当てにする訳にもいかないし。
やっぱりそうなると、身近にいる一番のお姉ちゃんたる私が、妹たちの幸せを守らなくっちゃ!

「よし!」
決意が漲り思わず声を出してしまった。
大声では無いにしろ、夜中に声を出せば他の寝てる方々に迷惑。

一番文句を言ってくる隣のウルポンに目をやる。
気付かず寝てれば問題なし。
だけどウルポンは寝てなかった。

私の声に反応し、顔をこちらへ向けてくる。
目が合って見つめ合ってる様な感じが嫌だったので、私は慌てて顔を背ける。
だが視界から嫌な奴が消えても、声は聞こえてくる。

私はウルポンの嫌味が来る事に身構えた。
「はぁ~……やれやれ」
だが嫌味は無く、ただ溜息を吐いただけ……勿論これからかもしれないけど。

「アンタ自分の事は何も解ってないな……やっぱり」
如何(どう)言う事?
夜中に声を出してしまった私に嫌味を言うんじゃないの?

何を以て急に『何も解ってない』と言ったの?
ククちゃんの身の上話をウルポンも聞いてて、それに対して私が『よし!』と言った事に対しての台詞? だとしたら意味が解んないわ!

「言っとくがアンタだって姉妹の中じゃ、群を抜いて非常識だぞ。一番の常識人はティミーさんとポピーさんだ」
何! 如何(どう)言う事!?

私……声に出してたの?
いやそんな訳無い。
頭の中だけで、ティミー君の頼りなさや、ポピーちゃんの当てに出来なさをぼやいてたわ!

なのに何でそんな事言うの?
か……考えてる事が……解るとでも言うの!?
だって……あり得ない! あり得ないわ!!

こ、この男……怖い……

リュリュSIDE END



 
 

 
後書き
ウルポンって
有能ではあるんですよねぇ……
ヘタレのくせに性格極悪だけどね! 
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