DQ8 呪われし姫君と違う意味で呪われし者達(リュカ伝その3.8おぷしょんバージョン)
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第二十四話:胃薬を買い占めろ!
前書き
新たな仲間が加わった。
その名はククちゃん。
(マイエラ地方・マイエラ修道院)
ラングストンSIDE
オディロ院長の葬儀も終わり、一段落付いたこの段階で“マルチェロ”ことデコッぱち殿が今後の事を話したいと申し出てきた。
葬儀が終わった途端の呼び出しに、我らが宰相閣下は大層不機嫌である。
きっとまた一悶着あるだろう事は予想に難くない。
「今回の葬儀参列、感謝する。お疲れの所呼び出してしまい申し訳なく思っているが、早急に話を進めなければならない事があるので、どうか許してもらいたい」
初っぱなからの低姿勢に、我らが宰相閣下も発言を出来ないで居る。
「いえマルチェロさん、気にしないでください。話というのはドルマゲスの事でしょうから、我々も早急に話を進めたいと思っていた所です」
「『我々』だぁ?」
アハト殿の言葉に、若干一名が不服そうに呟いた。あぁ勿論、宰相閣下の事ですよ。
「ゴホン。あの道化師……ドルマゲスの事はトロデ殿を初め、皆さんから悪行の数々を聞きました。追ってる理由も勿論……」
「うむ……ワシ等も彼奴が憎いだけで追っている訳では無い。勿論憎さもあるが、彼奴の恐ろしさ……そして危険さも、追っている理由でもある」
「『ワシ等』だぁ~?」
デコッぱち殿とトロデ殿の会話にも、不機嫌そうに呟く我らが宰相閣下。
我々異世界組は違う立場である事を、不機嫌さを通してアピールしているらしい。
ウルフ殿とリュリュさんの共通点は、その子供っぽさだろう。
「……わ、我が修道院もドルマゲスを放置しておく事は出来ん。討伐隊を結成して我々独自に追いそして討伐しなければならない……のだが、現実的にそれが出来ない状況だ」
「そうですね、オディロ院長という統率者が居なくなり、組織として再編の必要がありますからね」
「あぁ……アハト殿の言う通りで、統率者が居ないという空白期間を作る訳にはいかない」
「ではドルマゲスの事については我々に一任して頂けると……?」
「丸投げかよ」
「ゴホン! 基本的にはお任せするのですが、我々も出来るだけの助力をするつもりです。勿論、大部隊を随行させる訳のはいかないので、代表で一人……皆さんの旅に付いて行かせようと考えております」
「一人だけかよ」
「ゴホンゴホン! 一人とは言え、歴戦の騎士殿を随行させて頂けるのは大変心強い!」
「修道騎士として……と言うよりも、騎士として能力は申し分ない者を付かせます」
「如何だか(失笑)」
「ず、随行させるのは、皆さんも接点があるククールを行かせるつもりです……ククール、入れ!」
(ガチャッ)「どうも……今日より一緒に旅をするククールです」
宰相閣下の横槍にも挫けずに話を進めて入室してきたのはククール殿。
「ククール……話した通り、お前がアハトさん達と一緒にドルマゲスを追うんだ。迷惑を掛けることの無い様にな!」
「やぁ、これは心強いでs「何が『助力』だよ……お前が個人的に厄介払いしただけじゃねーか!」
私もそう思う。この二人の不仲は誰もが知っているからね……でも普通の者なら口には出さないだろう。
「それ言っちゃうぅ?」
流石にゼシカ殿も小声でだが呟いた。
「べ、別に……個人的不仲で人選したのでは無い! コイツはお前等……ゴホン、皆さんとは縁があったから選んだ結果だ。能力的な問題だって嘘偽り無い!」
「別にお前の人選にケチ付けてるわけじゃぁない。お前のことを心配してやってるだけだよ(ニヤニヤ)」
心配してる人間の顔じゃ無い……ニヤけるのを止めなさい。
「し、心配とは如何言うことだ!?」
ニヤけ顔が気になって、そっちへのツッコミを忘れてた。
本当に一体如何言う事だろうか? まぁどうせ何時もの口から出任せだろうけど。
「考えてもみろ。お前等の不仲はこの修道院だけで無く、近隣の街でまで知られ渡ってる。そして今回、あの道化師が危険かもしれないと言うことに、一番初めに気が付いたのがククールだ。その危険に対する策……まぁ俺等の事だが、対応策を講じたのもコイツだと一部の者は既に知っている。にもかかわらず対応策である俺等を投獄したのはお前だ。そして危険な道化師を招き入れたのもお前だデコッぱち!」
「つ、つまり……何だ!?」
「つまり、お前が修道院の実権を全て手に入れる為に、オディロ院長を殺す者を雇い招き入れ、邪魔しそうだった俺等を投獄し、事が済んだ今……計画を知り得そうなククールを追い出した。 ……そう思われる可能性が大きいって事だよ」
「わ、私はそんなことはしていない!! 院長は……オディロ院長は、私にとって掛け替えのない大切な方だったんだ!」
「俺に言うなよ」
じゃぁ誰に言えばいいんだよ?
「俺等はお前が裏で暗躍していたなんて思ってない。ドルマゲスはアイツなりの価値観で行動してるから、誰かに雇われるなんてあるわけない。だが、それを知ってるのは俺達だけだ。他の者はドルマゲスという者以外の情報で、あれやこれやと推測するしか無い(ニヤ~)」
他人の不幸を、こんなにも楽しむ人間は他にいないだろう。
「あぁ……今更、別の奴にしないでくれよ。一緒に旅をするのなら、他の馬鹿共より、多少なりとも共闘したククールの方が良い」
だったら素直に彼の参入を黙って受け入れてれば良いのに……
「ウルフ……楽しそう……」
「ウルポンは誰かを苛立たせるのが大好きなのよ。クズでしょ」
女性陣が小声で会話してる。
「オディロ院長は無償で皆に博愛を振りまく御仁だった……それは周知の事実。なのに、この修道院では『お布施』や『寄付』等と言って信者から金を巻き上げている……そしてそれも周知のこと。お前が権力を握った今、その額は上がること間違いなし。それで『自分は無罪だ』と言い張っても説得力が皆無」
確かに……
院長がご存命の時ですら、お膝元とも言える修道院内で『終末に助かりたければお布施を払え』と恐喝紛いの事をしていたのを目撃した。
「し、仕方ないだろ! 修道院を運営するのにも金は必要だ……その為に信者からご寄付を募っているのだ」
「『ご寄付を募る』だぁ? そりゃ修道僧がやることで、武器を携えた修道騎士がやる事じゃねーだろ。あれはただの恐喝だ」
「ぐっ……」
「寄付やお布施ってのは、こっちから求めちゃダメなんだよ! 要求するな! 期待するな! 脅し取るな!」
「お、脅して等……」
「脅してんだよ! 武器携えた大男が『不幸から守ってやるから金出せ』って言ってれば、ただのみかじめ料を要求してるゴロツキと変わらない!」
流石のデコッぱち殿も、何も言えなくなっている。
この男に口喧嘩で勝てるのはリュカ様くらいだろう。
ラインハットの王太子妃殿下でドローだ。
「まぁいい。俺達は早々に出立する。ドルマゲスを見失う訳にはいかないからな……ククール君、大好きにお義兄ちゃまに今生の別れをしておきなさい」
「こ、今生の別れ!? この旅で俺が死ぬとでも?」
「それは如何なるか知らんが、お義兄ちゃまの方が鎌や鍬を手にした信者様方に力一杯ナデナデされる可能性が大きいからねぇ……クククッ」
そう言うと端正な悪人面野郎は、この部屋から出て行ってしまった。
「……今日から俺はあの男と旅をしなければならないのか?」
「頑張ってククちゃん。なるべく関わらない様にするのがお勧めよ」
またリュリュさんが勝手に渾名を付けている。
「ワシ等が立ち寄った街々からは胃薬が買い占められる現象が起きている。原因は奴じゃ」
なるほど……トロデ殿は行く先々で胃薬を買い占めてるのか。
効果の程は如何なものだろうか?
我がグランバニアでは、胃薬だけが爆発的に進化しているって噂を聞いたことがある。
当然だろう……二人も居るからなぁ。
パッケージに『王太子殿下御用達!』とか『○○大臣推薦』とか書いてるしなぁ。
是非とも輸出してあげたい。
まぁ元凶が国に帰れば不要になるか。
ラングストンSIDE END
後書き
このパーティーは、
胃薬に金をかけてしまってて
装備が貧弱になってる。
なので弱い……という噂もチラホラ。
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