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レーヴァティン

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第二百二十六話 関を通りその一

                第二百二十六話  関を通り
 英雄率いる本軍は白河の関を越えた、ここで関とその辺りを治めている国人は一族郎党を引き攣れて英雄の前に平伏した。
 英雄は本陣で彼等と対した、そのうえで国人に告げた。
「幕府に従うならいい」
「そうでありますか」
「そうだ、まずは顔を上げろ」
 初老のその男に告げた。
「いいな」
「わかりました」 
 国人は顔を上げた、すると。
 顔には深い皺があり痩せた顔だった、その彼に言うのだった。
「今言った通りだ」
「幕府に従うならですか」
「禄も命もだ」
「全てをですか」
「認める」
 こう告げた。
「幕府の臣としてな」
「左様ですか」
「お前だけでなく一族全員のな」
「民達も」
「無論だ、民を護ることが幕府の責だ」
 それ故にというのだ。
「そうする」
「そうして頂けますか」
「以後もこの地を治めよ」
「そうさせて頂きます」
「以上だ、城に戻り政に入れ」
「戦のことは」
「必要ならば命じる」
 その様にするというのだ。
「それを待て、その間はな」
「この領地の政をですか」
「これまでするのだ、いいな」
「その様にさせて頂きます」
 国人は深々と頭を下げて応えた、こうしてだった。
 英雄も奥羽に入りこの地での最初の政を行った、そうしてだった。
 本陣において軍議を開いたがここで紅葉が英雄にある話をした、その話はどういったものかというと。
「白河の民は驚いているとか」
「幕府が大軍でだな」
「その武具もよくまた静かだと」
「暴れないことにもだな」
「大いに驚いています」
「いいことだ、俺はあくまで戦が目的でだ」
「狼藉はですね」
「考えていない」
 一切というのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「兵達にも許していない」
 一切というのだ。
「だからだ」
「軍勢もですね」
「静かだ、何十万もいるから音はするがな」 
 それでもというのだ。
「暴れることはない」
「若し暴れるなら」
「暴れた奴に容赦しない」
 一切というのだ。
「そう定めているからな」
「だからですね」
「白河の民達が驚くのも当然だ」
「左様ですか」
「そうだ、では水戸城からの道はな」
「守り」
「そのうえで進む」
 そうしていくというのだ。
「いいな」
「それでは」
「そしてだ」
 英雄はさらに言った。
「ここからな」
「会津にですね」
「進む」
「さて、その会津までの道じゃが」
 当季は右目を瞑り顎の先に右手を当てて言った。 
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