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レーヴァティン

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第二百十九話 四国分裂その十一

「これは絶対だからな」
「そうですね」
「ああ、一リットルの容器に一・二リットルの水は入らない」
「そうでござるな」
 進太も頷いて来た。
「それと同じで」
「人間もな」
「自分以上の器の持ち主はでござる」
「使いこなせないな」
「あのお爺さんにしても」
「相当な人物なのは事実でな」
「相当な器でないと」
「だよな、流石にあの二人程でなくても」
 タレーランやフーシェ位ではなくともというのだ。
「やっぱりな」
「相当な曲者なので」
「扱いにくいな」
「そうかと」
「だよな、あの二人はな」
 久志はタレーランとフーシェの話もした。
「俺にはな」
「使えないというのですね」
「ナポレオンで無理だったんだ」
 稀代の英雄と言われた彼でもというのだ。
「だったらな」
「他の誰にもですね」
「ああ、使いこなせないだろ」
 こう言うのだった。
「それこそカエサルでもシャルルマーニュでもな」
「使いこなせないですね」
「そうした連中だろ」
「だからこそ」
「幾ら能力が高くても」
 それでもというのだ。
「しかも政治的倫理観はなくてな」
「裏切りますね」
「実際にあの二人平気で何度も裏切っただろ」
 ナポレオンをだ、当然ナポレオンも彼等の能力は評価していたが信頼していなかった。だが二人の能力を見ると使わざるを得なかったのだ。
「それでも粛清されなかったがな」
「粛清出来なかったな」 
 芳直はこう言った。
「普通の裏切り者なら出来た」
「最初でな」
「しかしな」
「連中優秀過ぎたからな」
「ナポレオン以上の知力と政治力だった」 
 稀代の英雄と言われそちらも優れたいた彼よりもだ。
「それならな」
「使うしかないよな」
「フランスそして自分の野心の為にな」
「そういうことだな」
「幾ら信用出来なくてもな」
 それでもというのだ。
「能力がな」
「あんまりにも高かったからな」
「ナポレオンも使わざるを得なかった」
 そうだったというのだ。
「他に人材がいなかったんだ」
「あの二人以上のな」
 タレーランは外交を、フーシェはそれぞれ内政を担っていた。まさにナポレオン政権の政の両輪だったのだ。
「そんな人間はいなかった」
「だからだな」
「粛清せずにな」
「しようとしても逃げられたよな」
「革命を生き抜いた」
 この二人はというのだ。
「ジャコバン派、ロベスピエールからもな」
「だったらな」
「ナポレオンがどうかしようとしても」
 例えそう考えてもというのだ。
「流石にな」
「無理だったか」
「確実にその前に逃げていた」
「危険を察する能力も高かったんだな」
「だから生きられた」
 フランス革命という人類史上稀に見る激動の時代をだ。 
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