レーヴァティン
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第二百十一話 全軍集結その二
「全くね」
「ならいいさ、やっぱりな」
「そうしたことはだよね」
「絶対にな」
何があってもとだ、久志も答えた。
「あってはならないからな」
「いつも言ってる通りにね」
「そうしたことがなくてな」
それでというのだ。
「いいさ」
「そうだよね」
「敵を民も含めて皆殺しにし壊し尽す」
進太がまた言ってきた。
「これはでござる」
「どうにもな」
「拙者達には出来ないでござる」
「宗教が違うとか一度歯向かったからってな」
そうした理由でというのだ。
「皆殺しってのはな」
「創造の範疇外でござる」
「十字軍とかモンゴル帝国みたいにな」
「どうにも」
こうしたことはというのだ。
「出来ないでござるな」
「ああ、というか戦の後でな」
「帝国のものになるでござる」
「そうなるからな」
「そうしたことはしないでござるな」
「ああ」
絶対にいうのだ。
「これまでもこれからもな」
「そうでござるな」
「元々そうしたのはな」
「はい、ここにいる全員がでござる」
進太は率直な声で答えた。
「戦で敵を倒すのなら兎も角」
「武器を持たない奴を攻撃したりな」
「そして破壊するなぞ」
「無闇にな」
「そうした趣味はないでござる」
「武器を持ってる、腕力を持ってるでな」
そうしたことでというのだ。
「調子に乗ってそうのがない相手をいたぶるなんてな」
「外道でござるな」
「弱いものいじめだよ」
それに他ならないというのだ。
「そんな奴が何になるんだ」
「下衆になる」
こう言ったのは正だった。
「それになる」
「人間の屑にな」
「誰もが二十年生きていれば一人はそんな奴を見て来た筈だ」
「それで嫌な思いしてるな」
「それならな」
嫌な思いをしたならとだ、正は言った。腕を組み語っているその顔は事実嫌なものを見る顔であった。
「自分はならないことだ」
「そうだよな」
「自分より弱い奴を攻めてもだ」
例えそうしてもというのだ。
「そいつに武器を持たせてドラゴンの前に立たせてみろ」
「絶対に逃げるな」
「そうする」
間違いなく、そうした言葉だった。
「確実にな」
「そうだよな」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「俺もだ」
「今そう言うんだな」
「そんな行為は恥でしかない」
「負けるとわかっている奴と戦わないのはいいさ」
久志はこれはいいとした。
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