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レーヴァティン

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第二百七話 冬の進軍その九

「その方が国が豊かになるからな」
「我々は特にです」
 使者は久志の今の言葉に率直な声で答えた。
「民を苦しめることはです」
「していないか」
「はい」
 絶対という返事だった。
「少なくとも自分達ではです」
「そうか、そういえば周りの農村も豊かだな」
 久志はこのことをここで指摘した。
「家が大きくて家畜も太っていて農具も充実してるな」
「そのことからおわかりですか」
「貧しかったらまず家が小さくなってな」
 そうなってというのだ。
「家畜も痩せていて農具もな」
「みすぼらしいですか」
「どんなに取り繕っても出るものは出るだろ」
「そうしたところにですね」
「だったらあんたも嘘は吐いていない」
 久志は使者に笑って述べた。
「間違いなくな」
「そのことをですか」
「わかるさ、それでな」
「はい、皇帝陛下のお言葉をですね」
「伝えてくれよ、そしてな」
「返事をですね」
「持って来てくれよ」
 こう言うのだった。
「是非な」
「それでは」
 使者は久志に恭しく応えた、そうしてだった。
 一旦ミュンヘンに帰った、そのうえで。
 使者は次の日に戻って来た、彼は久志の前に片膝を吐いて告げた。
「では昨日のお返事をです」
「持って来たな」
「はい、帝国の末席にです」
「そうか、じゃあな」
「宜しくお願いします」
 久志に対して述べた。
「これより」
「ああ、これから宜しくな」
「さすれば」
「じゃあその返事をミュンヘンに持って行ってな」
「そうしてですね」
「門を開けてくれるか」
 ミュンヘンのそこをというのだ。
「そうしてくれるか」
「それでは」
 使者は久志のその言葉にも応えた、そうしてだった。
 久志は主力を率いてそのうえでミュンヘンに入城した、そして宮殿に入ると騎士団の団長達に対して告げた。
「それじゃあこれからはな」
「はい、帝国において」
「この国で、ですね」
「働いていきますね」
「そうしてもらうな」
 このことを告げた。
「いいな、それでまずはミュンヘンを拠点として」
「そうしてですか」
「この街からですか」
「騎士団領の南西部を掌握していってスィーズランドの方もな」
「あの地域もですか」
「帝国に組み入れますか」
「そしてな」 
 そのうえでというのだ。
「俺はハンブルグに向かう」
「あの街ですか」
「そちらにですか」
「それでライン川を東岸を掌握する」
 そうするというのだ。
「俺が率いる軍はな」
「そうして、ですね」
「そこなる騎士団達はですか」
「帝国に組み入れていきますか」
「街や村も」
「そうしていきますか」
「ああ、このミュンヘンみたいな」
 その様にしてというのだ。 
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