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レーヴァティン

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第二百六話 冬の進軍その四

「最早な」
「はい、中世のバチカンの腐敗はあまりにも酷かったので」
 夕子も言うことだった。
「ですから」
「それでだよな」
「最早です」
「そこまで至ってたな」
 久志はあらためて言った。
「実際に」
「十字軍に搾取に異端審問に」
「あと学問の専横にな」
「それによる思想統制も」
「十字軍とか異端審問で虐殺もあったな」
「搾取もです」
 これもというのだ。
「ドイツ、神聖ローマ帝国は教会の牝牛でした」
「搾れば搾るだけ出るだな」
「そこまで搾取を受けていました」
「それで十字軍はあれだな」 
 久志は口をへの字にさせて述べた。
「異教徒も異端も皆殺しでな」
「挙句はカトリックの信者でもです」
 夕子は暗い怒りがある顔で述べた。
「殺してしまえと」
「神があの世で見分けられる、だな」
「そう言いまして」
「それでだよな」
「虐殺しました」
「殺し方一つ一つ無茶苦茶だったしな」
「そこまで腐敗していましたので」
 それ故にというのだ。
「最早比叡山なぞ」
「足下にも及ばなかったな」
「比叡山はそこまでしていません」
「ああ、全くな」
「ですがこうなることは」
「どの宗教でも有り得るな」
「時と状況が許せば」
 それでとだ、夕子は久志に話した。
「そうなります」
「宗教の危険な面だな」
「そしてイデオロギーの」
 夕子はこちらの話もした、イデオロギー即ち思想である。その思想もまた宗教と同じ危険な面があるというのだ。
「危険な面です」
「そうだよな」
「それで、です」
「腐敗するとな」
「横暴を極め」
「そうしたことをするな」
「自分達を絶対として」
 そのうえでというのだ。
「さらにです」
「絶対的な権力を持つとな」
「それで、です」
「そこまで腐るな」
「そうです、ですからこの世界でも」
「教会の力は使ってもな」
「コントロールすることです」
 このことが大事だというのだ。
「まことに」
「そういうことだな」
「僕達は全ての宗教を保護しているとしているからね」
 剛がこのことを話した。
「だからね」
「それでな」
「うん、特定の宗教の横暴は防いでいるよ」
「そうだよな」
「その点はいいと思うよ」
「それでカルトは許さない」
「それもね、自分達を絶対視して」
 剛はカルト教団の特徴も話した。
「お金や色にね」
「貪欲だよな」
「禁欲主義を言ってね」 
 建前はそうで、というのだ。
「その実はね」
「教祖だけそうなってるな」
「そうしたところはね」
「潰さないとな」
「そのうちとんでもないことするよ」
「そうだよな、カルトっていうのはな」
 久志は腕を組んで述べた。 
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