レーヴァティン

　　　　　　　　　　　　　　　　第二百五話　　配備と調略
　帝国は内政を行いつつ騎士団との戦の準備を進めていった、久志はその中で淳二の話を聞いて言った。
「国境の騎士団はか」
「うん、こっちの話を聞いてね」
　そうしてとだ、淳二は久志に話した。
「こっちにね」
「ついてきてるか」
「そうなってきているよ、だから従う騎士団も」　
　そうした者達もというのだ。
「これから出て来るよ」
「それは何よりだな」
「騎士団領を出て」　
　そしてというのだ。
「そのうえでね」
「帝国に入る騎士団もか」
「出るよ、戦の前にね」
「それは何よりだな」
「特にチロルと」
　この地域と、というのだ。
「ウィーンの西がね」
「そうか、じゃあな」
「それならだね」
「ああ、このままな」
「調略を続けていくね」
「本当に戦わずしてだよ」
　久志は強い声で語った。
「勝つのがな」
「理想だね」
「目的を達するのがな」
　それこそがというのだ。
「一番いいからな」
「だからだね」
「ああ、調略を進めて」　
　これからもというのだ。
「それでな」
「騎士団とは出来るだけ戦わずに」
「領土をな」
　それをというのだ。
「手に入れていくな」
「そうしていって騎士団領は」
「やがて全部だよ」
「手に入れるね」
「これまで通りな、しかしチロルは出来たら今のうちに」
「手に入れるね」
「そうしてな」
　そしてというのだ。
「先の戦が順調な様にな」
「していくね」
「やっぱり戦をするなら」
　それならというのだ。
「まずはな」
「調略だね」
「それとな」　
　久志はさらに言った。
「道も整えておいたしな」
「この時に備えて」
「領内のな」
「チロルとかウィーンへの道もな」
「整えたし」
「これで軍もものも」
「すぐに多くね」　
　即ち的確にというのだ、淳二も久志に話した。彼もそうした政に深く関わっているのでよく知っているのだ。
「送れるよ」
「川もあるしな」
「それでね」
「じゃあな」
「軍勢はものは」
「戦の前には」
「即座に大軍を送れる様にするな」
　物資も含めてであるのは言うまでもない。
「騎士団領との戦の前にも」
「実際にそうしてるしね」
「もう戦ははじまっている」
　久志はこの言葉を出した。