レーヴァティン

「そうしてな」
「吉報なら」
「それでいい、まず吉報が来る」
　つまり幕府に入るというのだ。
「相手が飲んで欲しい条件は飲むからな」
「だからでありますな」
「だがそうでないのなら」
　話を受けないのならというのだ。
「それならだ」
「その時はでありますな」
「暫くいい」
「放っておくでありますな」
「武蔵はな、今東国で欲しいのはあの国だけだしな」
　そして江戸の街と江戸城そして武蔵の田畑である、英雄は関東攻めの前に武蔵を手に入れこの国を関東攻めの最大拠点としかつ楔を打ち込みたいのだ。
「豊かなだけでないからな」
「欲しいでありますが」
「手に入れられないならな」　
　それならというのだ。
「もうだ」
「いいでありますな」
「欲しいが」
　そう考えているがというのだ。
「それでもでありますな」
「しかしだ」　
　それでもというのだ。
「こだわらない、やがて手に入れるしな」
「だからこそでありますか」
「ここであちらが頷かないなら」
　それならというのだ。
「もうだ」
「それでいいでありますか」
「俺はな、ではな」
「次男殿の件を受けるとして」
「使者に話してな」
　当然ながら茶器等は渡さないこともだ。
「そしてな」
「そのうえで」
「返事を待つ」
　武蔵側のそれをだ、こう言ってだった。
　英雄は武蔵からの使者に自分達の考えを述べた、そのうえで武蔵に戻らせた。すると武蔵はすぐに返事を送ってきた。
　その返事を聞いてだ、英雄は仲間達に言った。
「これでよしだ」
「武蔵はそれでええって言うた」　
　耕平が応えた。
「それならや」
「俺は満足している」
「武蔵が手に入ったしな」
「それならやな」
「すぐに江戸城に多くの兵糧や武具を入れ」
　そしてというのだ。
「そのうえでだ」
「戦に備えるな」
「江戸湾にもな」　
　即ち港にもというのだ。
「多くの船をだ」
「入れるな」
「今からな、そして道もな」
　これもというのだ。
「この場合は中山道になるが」
「それを整えてやな」
「甲斐からすぐにだ」
「多くの人やものが行ける様にする」
「そうする、港も整えてな」
　江戸のそれをだ。
「大軍を置くぞ」
「ほなな」
「そして今から街や田畑をな」
「よおしてくな」
「武蔵に幕府の政を敷く、そして豊かにして」
「人の往来も増やしてな」
「江戸の街はこれまでも東国最大の商業都市でもあったが」
　江戸の街がそれだけ賑わっているというのだ。
「これまで以上にな」
「ええ街にするな」
「そして情報もな」
「集まる様にするな」
「そうする、そして戦になれば」　　
　その時はというのだ。