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レーヴァティン

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第百九十一話 東国のことその十

「落ちる」
「そうなのよね」
「しかも書く者の字が汚いとな」
「読めなかったりするわ」
「だから印刷はな」
「あるとね」
「あれだけいいものはない」 
 英雄はこう言い切った。
「実にな」
「そういうことだね」
「特に金属印刷はな」
 活版印刷の中でもというのだ。
「いいな」
「そうよね」
「木の印刷よりも丈夫でな」
「よく印刷出来るから」
「いい」
 こう桜子に述べた。
「それで俺もだ」
「金属印刷を進めていっているね」
「そうして多くの書をだ」
「増やしてそれぞれの書庫に保管して」
「多くの者に読ませてだ」
「学ばせているわね」
「書は多いに限る」
 英雄ははっきりとした声で言い切った。
「多ければ多い程だ」
「学問は栄えるからね」
「だからいい、むしろだ」
 こうも言うのだった。
「書がないとな」
「学問は進まないわね」
「書だけが学問ではないがな」
 それでもというのだ。
「やはり多いとな」
「それだけね」
「よくなる、大坂や都に大きな図書館もあり」
「名古屋や福岡、広島、駿府にも図書館を置いていってるね」
「そのそれぞれの図書館にもな」
「印刷した書を置いていって」
「学んでもらう、また学校も多く建てるしな」
 これからはというのだ。
「そこにもだ」
「書は必要ね」
「多過ぎて困るものではない」
 署はというのだ。
「だからな」
「読んでもらうわね」
「そうしてもらう、そして」
「民の学識を深めて」
「資質を高めてだ」
「優れた人材を揃えて」
 そしてというのだ。
「魔神との戦にもな」
「働いてもらうね」
「術を使える者が多ければな」 
 学んで術を得てというのだ。
「それだけ力になる」
「しかもその術が強いなら」
「尚いい、何十万もの術を浴びせれば」
「魔神でもね」
「怯む筈だ、だからな」
 それ故にというのだ。
「ここはだ」
「そうしていくわね」
「学問を進める」
 印刷も使ってというのだ。
「幕府の中でな」
「そうしていくわね」
「これからはな」
「その優れた人材が魔神に対せるのなら」
 奈央は腕を組んで言った、白い袖の衣の上からそうしている。 
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