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レーヴァティン

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第百九十一話 東国のことその四

「違和感があるんだよ」
「だがその違和感をか」
「俺達はそれが文化の違いだって割り切ってな」
「やっていっているな」
「ああ、まあなおすべきところはなおしてな」 
 そのこともしてというのだ。
「やっていってるけれどな」
「衛生等だな」
「ちゃんと下水道とか汲み取りもな」
「進めていっているか」
「道の端に捨てるとかやるとな」
 そんなことをすればとだ、久志は顔を顰めさせて述べた。
「本当にペストが流行る」
「それがあるな」
「ああ、飯それもカレー食ってる時の話じゃないけれどな」
「構わない、俺はどんな話をしながらでも食える」
 英雄は久志にいつもの調子で返した。
「何でもな」
「それは凄いな」
「俺はそんな人間だ、だからだ」
「このことはか」
「気にするな」
「じゃあな、まあ兎に角な」
「なおすべきところはなおしてか」
「そしてそのままでいいところはな」
 主食のこともというのだ。
「そうしていっているな」
「そういうことか」
「ああ、それでジャガイモを栽培させて」
「食ってもらってか」
「満腹にしてもらってるぜ、それでお前のところは」
「サツマイモだ」
 芋は芋でもこちらの芋だというのだ。
「それを食ってもらってな」
「そのうえでか」
「領地を豊かにしている、そしてだ」
「今からか」
「そのことを話すがいいか」
「ああ、話してくれ」
 久志はカレーの中の肉を食べつつ英雄に応えた、その肉は牛肉でわりかし大きい。薄くスライスされたカレー用の肉だ。
「それじゃあな」
「わかった、ではな」 
 英雄は一呼吸置いてから久志に話した。自分達のそれを。
 英雄はこの朝にだった、朝食を食べつつ周りに問うた。
「そろそろ東海や甲信も落ち着いてきたな」
「はい、北陸も」
「実に整ってきました」
「幕府の領地に加わりです」
「幕府の政に馴染んできました」
「そうだな、そして産業もだな」
 白い飯を卵焼きで食べつつ言った。
「そちらもだな」
「出来てきました」
「農業も商業も」
「無論林業も漁業もです」
「手工業も力が入り」
「生産が上がっています」
「特に米の収穫高が増え」
「酪農も進んでいます」
「それはいいことだ、卵もだ」
 今食べている卵焼きのそれもというのだ。
「多いとな」
「それだけ安く」
「かつ誰もが食べられますね」
「その様になりますね」
「どんなものも多くあると安くなる」 
 久志は世の中のこの摂理も話した。
「それだけな」
「左様ですね」
「だから卵もですね」
「多いならいいですね」
「それだけ」
「そうだ、だから鶏を多く家畜にしてだ」
 そうしてというのだ。 
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